フォルクスワーゲン・パサート オールトラックTDI 4MOTIONアドバンス(4WD/6AT)/アルテオンTSI 4MOTIONエレガンス(4WD/7AT)
真打は遅れて 2018.12.20 試乗記 フォルクスワーゲンが開催したオールラインナップ試乗会に参加。webCG編集部は「パサート」の派生モデル「オールトラック」と「アルテオン」の新グレード「エレガンス」という、いずれもニューフェイスをチョイスした。果たしてその出来栄えは!?フォルクスワーゲンのTDI第4弾
2018年のフォルクスワーゲンを振り返ると、フルモデルチェンジによって6代目に生まれ変わった「ポロ」と同じくらい注目を集めたのが、ついに発売されたディーゼルモデルだ。日本のクリーンディーゼル市場で出遅れていたフォルクスワーゲンが、2月の「パサートTDI」を皮切りに、「ティグアンTDI 4MOTION」「ゴルフトゥーランTDI」と、次々にTDIと呼ばれるディーゼルエンジンモデルを投入。その反響は大きく、パサートでは「セダン」の40%が、「ヴァリアント」と呼ばれるステーションワゴンの45%がTDIなのだという。
ガソリンエンジンのFF車のみだった「ティグアン」も、ディーゼルエンジンと4WDの組み合わせの登場で、すでに4分の1がTDIになった。発売から日が浅い「ゴルフトゥーラン」は、まだ販売データが出ていないが、今後低燃費と力強い走りを兼ね備えたTDIが増えるのは容易に予想できる。
そんな、TDIで盛り上がりを見せるフォルクスワーゲンから、パサートヴァリアントをSUVスタイルに仕立て上げたクロスオーバーワゴン、パサート オールトラックが発売になった。TDIエンジンと4WDの「4MOTION」を搭載する、待望の一台である。
派手すぎないのがフォルクスワーゲン流
パサート オールトラックのエクステリアは、ベースのパサートヴァリアントとは明らかに違ういでたちである。例えば、クロスオーバーらしく、前後バンパーにはアンダーガードが備わり、前後ホイールアーチとサイドシルにはコントラストカラーのガードが備わっている。最低地上高も30mm高められて160mmとなり、パサートヴァリアントよりもひとまわり大きく見えるほど存在感が増している。それでいて、ギラギラと派手な感じがしないのがフォルクスワーゲンらしいところ。どちらかといえば地味な印象のパサート/パサートヴァリアントだけに、このパサート オールトラックくらいがちょうどいいかもしれない。
一方、室内には専用のデコラティブパネルが装着されるものの、それ以外はいつものパサートと同じ眺め。自慢できるとすれば、センターコンソールの「ALLTRACK」のロゴくらい。しかし、ひとたび走らせれば、その実力に目を見張るはずだ。
パサート オールトラックに搭載されるのは、最高出力190ps、最大トルク400Nmの2リッターエンジン。エンジンを始動すると、ライバルよりも少しノイズが目立つかなと思うものの、もちろんかつての日本のディーゼル乗用車に比べたら格段に静かである。早速走りだすと、低回転から豊かなトルクを生み出す「2.0 TDI」エンジンのおかげで、動き出しからスムーズで力強い。1680kgの車重を軽々と加速させるのは、さすがフォルクスワーゲン自慢のTDIだ。
ベスト・オブ・パサートかもしれない
その大トルクを生かし、軽くアクセルペダルを踏み込むだけでグイッと加速するTDIエンジンは、街中ではガソリンエンジンよりも扱いやすい。一方、低い速度域ではノイズや振動がガソリンエンジンよりも明らかに大きいが、スピードが上がるにつれて気にならなくなる。
ディーゼルエンジンとしては高回転まで加速が伸びるフォルクスワーゲンの2.0 TDIは、高速への合流や追い越しなどのシーンも得意。そして、巡航に移れば、100km/h、6速でエンジンの回転数は1750rpmと低く、そのぶんノイズも低く抑えられるので、むしろガソリンエンジンよりも快適なくらいだ。もちろん、燃費の良さも魅力のひとつで、別の機会に高速走行したときには約20km/リッター、ペースを抑えてエコドライブを心がけたときには25km/リッター近くまで燃費が伸びた。
ベースモデルに比べて地上高が高く、タイヤも245/45R18とロープロファイルなだけに、乗り心地の悪化が心配されたが、電子制御ダンパーの「DCC(アダプティブシャシーコントロール)」が装着される上級グレードの「アドバンス」は、マイルドな乗り心地と落ち着いた挙動を両立しており、クロスオーバーの弱点を見事に克服。デザイン、走りともにその満足度は高く、個人的にはこのパサート オールトラックが“ベスト・オブ・パサート”だと思った。
アルテオンらしい一台
2018年はTDI以外にもいくつかのモデルが追加になったが、このアルテオンTSI 4MOTIONエレガンスは個人的に注目したい一台だ。4ドアクーペスタイルのアルテオンは、フォルクスワーゲンらしからぬ(!?)スタイリッシュなデザインでジワジワと人気が高まっている。
実際に走らせてみても、280psを発生する2リッター直噴ターボと4WDの組み合わせにより、なかなかスポーティーな加速を見せるし、乗り心地もマイルドで快適と、とてもバランスよくまとまっている。そして、テールゲートを備えるハッチバックボディーのおかげで、広く使いやすい荷室を備えるのも見逃せない。
そんな見どころたっぷりのアルテオンだが、デビュー当初はスポーティーな内外装が特徴の「Rライン」のみのラインナップで、上級グレードの「アドバンス」を選ぶとアルミホイールは自動的に20インチのブラックとなった。このスタイル、男性ウケはいいが、「もう少しエレガントなデザインがいい」という意見を女性から聞いたことがある。そんな声に応えるように追加されたのが、アルテオンTSI 4MOTIONエレガンスだ。アルテオンTSI 4MOTION Rライン アドバンスと同等の装備で、バンパーもアルミホイールも少しおとなしいデザインのモデルである。
デザイン以外はアルテオンTSI 4MOTION Rラインと同じなので、走りの印象は当然同じだが、デザインで選ばれるクルマだけに、今回のバリエーション追加を歓迎する人は少なくないだろう。かくいう私もエレガンスのほうが好みである。新たにオプション設定された「Dynaudio(ディナウディオ)プレミアムサウンドシステム」も耳に心地よく、フォルクスワーゲンのイメージを変えてくれそうな、魅力的なクルマの登場である。
(文=生方 聡/写真=荒川正幸/編集=藤沢 勝)
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テスト車のデータ
フォルクスワーゲン・パサート オールトラックTDI 4MOTIONアドバンス
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4780×1855×1535mm
ホイールベース:2790mm
車重:1680kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:190ps(140kW)/3500-4000rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/1900-3300rpm
タイヤ:(前)235/45R18 94W/(後)235/45R18 94W(コンチネンタル・コンチスポーツコンタクト5)
燃費:17.3km/リッター(JC08モード)
価格:569万9000円/テスト車=575万3000円
オプション装備:なし ※以下、販売店オプション フロアマット<プレミアムクリーン>(5万4000円)
テスト車の年式:2018年型
テスト開始時の走行距離:1068km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(軽油)
参考燃費:--km/リッター
フォルクスワーゲン・アルテオンTSI 4MOTIONエレガンス
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4865×1875×1435mm
ホイールベース:2835mm
車重:1720kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:280ps(206kW)/5600-6500rpm
最大トルク:350Nm(35.7kgm)/1700-5600rpm
タイヤ:(前)245/35ZR20 95Y/(後)245/35ZR20 95Y(ピレリPゼロ)
燃費:13.3km/リッター(JC08モード)
価格:599万円/テスト車=631万4000円
オプション装備:ラグジュアリーパッケージ(24万8400円) ※以下、販売店オプション フロアマット<プレミアムクリーン>(7万5600円)
テスト車の年式:2018年型
テスト開始時の走行距離:1246km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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