第121回:われら中高年カーマニア
2019.01.29 カーマニア人間国宝への道フェラーリ大健闘のワケ
それにしてもナゼ、「カッコだけで全然速くない」と思われていた「フェラーリ328GTS」が、R32「GT-R」に5連勝し、「ランエボVI」に惜敗できたのか!?
いまさら古いクルマの加速がどーたらなんて、まったくどうでもいいことではありますが、懐かしのスポーツカーとなると目の色が変わってしまう世代ですので、ウルトラ真剣に原因を探ってみたいと思います。
まずはカーマニアの基本に返って、スペックを比較してみよう!
<R32 スカイラインGT-R>
最高出力:280ps
最大トルク:36.0kgm
車両重量:1500kg(VスペックII)
<ランサーエボリューションVI>
最高出力:280ps
最大トルク:38.0kgm
車両重量:1360kg
<フェラーリ328GTS>
最高出力:270ps
最大トルク:31.0kgm
車両重要:1350kg(車検証記載値)
パワーウェイトレシオだけを見ると、328とランエボVIはほとんど同じ。いっぽうR32 GT-Rは、ボディーが重い分スペックが落ちる。つまり、今回の加速対決の結果とズバリ合致する。そ、そーなんスかね!?
ちなみに、フェラーリの公式スペックは全然アテにならないというのが定説だったが、この車両重量は車検証記載のものなので大丈夫なはず(公式スペックでは1286kg?)。馬力やトルクも、高速カムで触媒のないヨーロッパ仕様なら、おおむね信用していいのではないか。
ゼロヨン加速タイムで比較
しかし加速は、どっちかっていうと、馬力よりトルクが重要というのも定説だ。トルクウェイトレシオで比べると、ランエボVI、GT-R、328の順になり、今回の結果が説明できなくなる。
いや、トルクが重要なのは、公道でのハーフスロットルみたいな日常的な加速で、全開加速では最大トルクよりトルクカーブが重要、つーことになるのでしょうか? 3台とも5段MT車(懐かし~!)なので、常に回転数は変動しているわけですから。
特に今回は、10km/hくらいからのローリングスタートだったので、1速はアイドリング+αくらいの低い回転からヨーイドンしておりまして、そこでのトルクが鍵を握る……のかもしれない。
そんな回転域のトルクなんて、スペック見てもわかんないので、てっとり早く各車のゼロヨン(0-400m)加速タイムを比較することにした。公式なものはないので、国産車2台はYouTubeでテキトーに見繕った、テキトーな数字です。もちろんノーマル前提で、怪物フルチューンドマシンのものではありません。
<ゼロヨン加速タイム>
R32 GT-R:13.3秒くらい
ランエボⅥ:13.0秒くらい
328GTS:13.609秒(昔自分が黒の328GTSで出したタイム)
GT-Rとランエボのタイムは、4WDの利点をフルに生かすべく、鬼のように半クラを使って、ロケットスタートをキメてたたき出しておりました。今回はロケットスタートどころか、いたわりのご老体スタートだったので、それだけで後輪駆動の328との差は、コンマ数秒は縮まるはずだ。
懐かしのスポーツカー対決
さらに言うと、私が昔、黒の328GTSでゼロヨンをやった時も、半クラなんかほとんど使わず、かなりフツーに発進して13.609秒を出しているので。実質的な差はもっと小さいのかもしれない。
つまり、ローリングスタートなら、328とランエボVIが互角で、R32 GT-Rはそれよりやや遅いというのは、ウルトラ驚愕(きょうがく)でもなんでもなく、物理法則に忠実な、ごくアタリマエの結果ということになるのかもしれないぃぃぃぃぃぃぃぃ! ウルトラ驚愕。
もちろんですね、これがサーキットのタイムアタック勝負になると、328が断然遅くなるはずでありまする。R32やランエボVIとは総合性能がまるで違います。328が頑張れるのは直線加速だけ! 止まったり曲がったりするのはあんまり好きくないもん!
でも、でもでも、それがなんだというのですか!
もはや気合のサーキットアタックは卒業し、スタンディングスタートでの信号グランプリなんかもやるわけない。やるとしたらせいぜい軽い料金所ダッシュくらい。つまりローリングスタートでの加速だ。
それがそこそこ速ければ、われら中高年カーマニア、それ以上何を望むだろう……。それすら望まず、味わいや洗車だけで十分なのが実情だけど。なにしろ中高年+懐かしのスポーツカーなのだから。うむうむ。
しかしそれでも、カーマニアとして、新しいスーパーカーから完全に目をそむけていいとは思っていない。次回からは再び現実を直視しますので、よろしくお願いいたします。
(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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