メルセデス・ベンツGLC300d 4MATIC(4WD/9AT)/GLC300 4MATICクーペ(4WD/9AT)/AMG GLC63 S 4MATIC+(4WD/9AT)/GLC F-CELL(RR)
窮すれば通ず
2019.07.03
試乗記
デビューからおよそ4年がたち、メルセデスの中核SUV「GLC/GLCクーペ」にマイナーチェンジが施された。しかし“単なるマイチェン”と思うなかれ。ドイツ国内でステアリングを握った筆者は、その変わりっぷりに驚かされたのだった。
環境対策は待ったなし
「○○年以降、弊社が発売する新型車はすべて電動化されます」
ヨーロッパのプレミアムブランドがそんな発表をするのを耳にしたことがあるだろう。CO2低減のために電動化に取り組む姿勢は称賛されるべきだが、そのいっぽうで、現在の世界的な潮流を見るとそうせざるを得ない側面もある。
自動車メーカーごとの平均燃費を定めたCAFE(Corporate Average Fuel Efficiency:企業別平均燃費基準)、もしくは販売台数の一定量を電気自動車(EV)もしくは燃料電池車(FCV)にすることを定めたZEV法などがヨーロッパ、北米、中国などで施行もしくは強化されるため、プレミアムブランドがこれに対処するには電動化を避けて通ることができないからだ。例えば、ヨーロッパで2021年から導入されるCAFEの規制値は95g/kmで、これはガソリン車の燃費に換算すると24.4km/リッターに相当する。コンパクトカーならいざしらず、それ以上のサイズでこの規制をクリアするには電動化以外にほとんど解決策がないのが実情だ。
ちなみに、48Vシステムを用いたマイルドハイブリッドは価格が安いので今後の普及に期待がかかるが、燃費向上の効果は限定的。それよりも燃費規制や排ガス規制の強化に伴って悪化したドライバビリティーを補うのに効果がある。
いっぽうで、熱効率の高いディーゼル車であればCAFEをクリアするのはもう少し楽になるが、ヨーロッパでは排ガス規制がさらに強化されるので、これに対応するには燃焼の改善や後処理装置の充実などが必要となっている。
メルセデス・ベンツGLCファミリーが今回のマイナーチェンジで「パワープラントのアップデート」を図ったのもその辺に理由がある、ということを踏まえたうえで、以下の試乗記をお読みいただければ幸いである。
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