ポルシェ・マカン(4WD/7AT)
勢いは止まらない 2019.07.31 試乗記 ポルシェファミリーの中で、いま最も売れている「マカン」。モデルライフ半ばのマイナーチェンジで持ち前の商品力はどのように高まったのか? ベーシックな2リッター直4モデルに試乗し、その完成度を確かめた。SUVという名の救世主
「『カイエン』に乗りてぇ」とはしゃいだプロ野球ルーキー選手の姿が、ネット上で話題になったことがある。ちょっと調べてみると、ウワッ! もう8年も前のことか。光陰矢の如し。それはともかく、そのトピックに接した際、「いまどきの若者は、ポルシェはポルシェでも、「911」じゃなくてカイエンに憧れるのかァ」と、なんだか寂しく感じたものです。
ご存じのように、21世紀のポルシェは、スポーツカーメーカーというより高級SUVメーカーとして経営を立てているから、「ポルシェといえば911」という常識は、“ちょっと古い”クルマ好きの感傷にすぎない。とはいえ、高級SUVの“高級”の部分を担保するのが、伝統を誇るスーパーツアラーたるナインイレブンなのだから、昨今のポルシェSUVの好調ぶりは、911フリークにとっても喜ぶべきニュースだろう。
いまでは信じられないことだけれど、1990年代には、「ポルシェ、倒産か!?」といった観測が、何度も現実味を帯びた。一方で、自動車専門誌には、「ポルシェ復活のカギ」と称して開発中4座モデルの想像イラストが掲載されたものだが、その不格好だったこと! いやァ、5人乗りのポルシェがSUVとして登場してくれて、本当にヨカッタです。
さて、ポルシェ・マカンは、いうまでもなくカイエンの弟分。プレスリリースによると、2013年の東京モーターショーでお披露目されて以来、2017年末までに世界中で31万8000台のマカンを売ったという。ちなみに、2017年に販売されたポルシェ車の総数は、24万6375台。うちマカンは約9万7000台と、カイエン(約6万4000台)を抑えて、堂々の1位を獲得している。この数字は、「718ボクスター/718ケイマン」(約2万5000台)と911(約3万2000台)を合わせたスポーツカーポルシェの合計より多い。お手ごろなミドルクラスSUVは、シュトゥットガルトの経営陣の期待に、みごとに応えたわけだ。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |