マツダ3ファストバックXD Lパッケージ(4WD/6AT)
一石を投じる存在 2019.09.16 試乗記 「アクセラ」から“グローバルネーム”へと車名が改められ、生まれ変わった「マツダ3」。新世代の世界戦略車と位置付けられるこのモデルは、果たしてCセグメント・ハッチバックのベンチマークとされる「フォルクスワーゲン・ゴルフ」を超えたのか。ルックス優先の代償も
スタイリッシュなハッチバック車という点では、誰もが一目を置くであろう存在――それが、これまで親しまれたアクセラの名を改め、自らのブランドを車名へと入れ込んで新たなスタートを切ったマツダ3の「ファストバック」モデルだ。
全長と全幅は、従来の「アクセラスポーツ」と同様。しかし、ホイールベースは25mm長く、全高は30~40mmほど低くなった。そんなディメンションの変化も手伝ってか、このモデルの躍動感は、もはや従来型……というよりも、あらゆるハッチバックのライバルとは比較にならないほどに高いもの。ファストバックなるサブネームを与えたくなったのも「さもありなん」という印象だ。
一方で、そんな“カッコ良さ”を演じる重要な要素でもあろうワイドなCピラーや小さなサイドウィンドウなどが、その見た目から連想させる通りに視界を狭める結果となっていることは否定のしようがない。実際、ドライバー席に腰を下ろし大きく首を振ってみると、まずは左後方、次に側方、そしてルームミラー越しの後方視界に関しても、決して「広々」とは言い難いものだ。
ドアミラーの角度調整次第で左後方の視界はかなりカバーできるし、グレードを問わずリアバンパー内蔵のレーダーを用いたブラインドスポットモニターが標準装備されるので、個人的にはそれがさほど大きな問題になるとは思えなかったのは事実。しかし、あくまでも直接の目視を望みたいという人や、車線変更時の“首振り確認”がマストとされるアメリカの市場などでは、やはりこの点が問題視される可能性は残りそうだ。
加えれば、開口部下端の丸みが強く、ひと目で「ライバルよりも積めなさそう」と想像できるラゲッジスペースや、ベルトラインの高さと窓面積の小ささゆえに閉塞(へいそく)感が強い後席居住空間なども“見た目優先の代償”と実感せざるを得ない部分である。
ファストバックというネーミングは、イコール「クーペ風の要素が詰まっている」と、そのように解釈すべきなのかもしれない。
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