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【スペック】C200 ブルーエフィシェンシー アヴァンギャルド:全長×全幅×全高=4640×1780×1430mm/ホイールベース=2760mm/車重=1520kg/駆動方式=FR/1.8リッター直4DOHC16バルブターボ(184ps/5250rpm、27.5kgm/1800-4600rpm)/価格=492万円(テスト車=578万4000円/AMGスポーツパッケージ=40万円/ユーティリティパッケージ=18万円/本皮シート(前席シートヒーター付き)=28万4000円)

メルセデス・ベンツC200/C250 ステーションワゴン【試乗記】

迷える傑作 2011.06.16 試乗記 下野 康史 メルセデス・ベンツC200 ブルーエフィシェンシー アヴァンギャルド(FR/7AT)/C250 ブルーエフィシェンシー ステーションワゴン アバンギャルド(FR/7AT)
……578万4000円/641万8000円

デビューから4年を経て、大幅なテコ入れを実施した「メルセデス・ベンツCクラス」。その仕上がり具合を、セダン/ワゴンの両モデルで吟味した。
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気合の化粧直し

「メルセデス史上最高傑作のC」と銘打って、「Cクラス」が新しくなった。なかなか挑発的なうたい文句に聞こえるが、“自社史上”なら、あたりまえのことを言ってるような気もする。

「アジリティ」(敏しょう性)という言葉をひっさげて現行の3代目Cクラス(W204)が登場したのは2007年。6〜7年がCのライフサイクルだから、これからがラストスパートだ。強敵、「BMW3シリーズ」や「アウディA4」らのライバルにあらためてファイティングポーズを取り直すのが、今回のフェイスリフトである。

まず外観では、前後のライトにLEDが使われるようになった。リアはフルLED化され、フロントのポジションランプはCの字を描く。メルセデスもちっちぇえことやるようになったなあと思うが、それも“時代”か。
インテリアはダッシュボードのデザインが刷新された。シルバーシャドーと呼ばれるメタル素材が多用され、ステアリングホイールの革は、質感の高いナッパレザーに変わった。

今回試乗したのは、新シリーズ第一弾の4気筒モデルだが、直噴1.8リッターターボに大きな変更はない。だが、変速機は「7Gトロニックプラス」にバージョンアップされ、アルミボンネットの採用で約10kg軽くなった。そのため、「C200」「C250」いずれも全モデルがエコカー減税をゲットしている。従来の「C300」に代わる新型3.5リッターV6搭載の「C350」は認定作業中で、今回は乗ることはできなかった。
C350も含めて、新型Cクラスはすべて直噴エンジンになった。従来、直噴を表していた“CGI”のモデル名は廃止され、代わりに“ブルーエフィシェンシー”を名乗る。

同時にマイナーチェンジが実施された、ふたつの車形の「メルセデスCクラス」。セダン(写真手前)、ワゴン(写真奥)ともに4つのグレードが用意される。
同時にマイナーチェンジが実施された、ふたつの車形の「メルセデスCクラス」。セダン(写真手前)、ワゴン(写真奥)ともに4つのグレードが用意される。 拡大
運転席まわりは、デザイン一新。インストゥルメントパネル中央に「COMANDディスプレイ」が配備される。
運転席まわりは、デザイン一新。インストゥルメントパネル中央に「COMANDディスプレイ」が配備される。 拡大
名称の異なる「C200」と「C250」の心臓は、ともに1.8リッターの直4ターボ。エンジンマネジメントを変えることで、後者は前者より出力で約10%、トルクで約15%のアドバンテージを得ている。
名称の異なる「C200」と「C250」の心臓は、ともに1.8リッターの直4ターボ。エンジンマネジメントを変えることで、後者は前者より出力で約10%、トルクで約15%のアドバンテージを得ている。 拡大
写真をクリックするとシートの倒れるさまが見られます(写真はステーションワゴンのもの)
写真をクリックするとシートの倒れるさまが見られます(写真はステーションワゴンのもの) 拡大
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すきのあるカッコよさ

今度のフェイスリフトのテーマをひとことで言えば「よりカッコよく」である。LEDが埋め込まれたヘッドランプで、顔つきはよりシャープになったし、光り物の増えたダッシュボードも、イメージは少し若返った。

だが、撮影のとき、ボディを観察していてあらためて気付いたのは、チリ(パネルギャップ)の大きさである。Cクラスは、A4や3シリーズのボディと比べると、パネルギャップの詰めが甘い。そんなこと、クルマの本質にはなんの関係もないという見方はあろうが、カッコイイ路線で行くなら、つじつまが合わない。もう少し頑張って詰めたほうがいいと思う。

最初に乗ったのは、C200のセダン。これまでのCクラスは6割以上がセダン、エンジンは8割の人が標準の184psを選ぶというから、まさに日本での売れ筋モデルだが、試乗車は上級モデルの「アヴァンギャルド」で、さらに「AMGスポーツパッケージ」が付いていた。

ボディカラーは今後、日本で強力に売り出してゆくというレッド。走り出すなり、C200にしてはやけに乗り心地が荒っぽいなあと思って、試乗車の仕様を調べたら、18インチのAMGスポーツパッケージだったというわけだ。コーナリングの限界は高いだろうが、しなやかに、ゆっくりと伸び縮みする高級な“メルセデス・ライド”は硬さにかき消されて味わえない。C200はノーマルシャシーで味わったほうがいいように思う。

 
メルセデス・ベンツC200/C250 ステーションワゴン【試乗記】の画像 拡大
前をゆくテスト車の「C200」(セダン)は、セットオプションの「AMGスポーツパッケージ」を装備。これには、前後のスポイラーや18インチアルミホイール、パドルシフト、スポーツシートなどが含まれる。
前をゆくテスト車の「C200」(セダン)は、セットオプションの「AMGスポーツパッケージ」を装備。これには、前後のスポイラーや18インチアルミホイール、パドルシフト、スポーツシートなどが含まれる。 拡大
 
メルセデス・ベンツC200/C250 ステーションワゴン【試乗記】の画像 拡大

「史上最高」の再考

C250のエンジンは204ps。同じ1.8リッター4気筒ターボから、チップ・チューンでプラス20psを得る。走り出すとその差は歴然で、C200セダンより動力性能は伸びやかだ。この直噴ユニット独特の、高回転域での乾いたエンジン音が相変わらず気持ちいい。乗り心地もAMGスポーツパッケージ付きC200セダンよりはるかに落ち着いている。

しかし、これが果たして触れ込みどおり「メルセデス史上最高傑作のC」だろうか。今回は箱根ターンパイクを上り下りするだけのショートドライブだったが、「改善箇所2000以上、フルチェンジ並みの大型フェイスリフト」というわりには、正直言って、あまり変わり映えしなかった。

C250でいえば、この直噴エンジンが“CGI”の名で2010年モデルに初めて載ったときのほうが印象は鮮烈だったし、さらに振り返れば、もっと感動させてくれたCクラスも過去にあった。たとえば、2代目(W203)の後期型などがそうだ。

W204がアジリティという聞き慣れない言葉をうたい文句に掲げたのは、スポーティなBMW3シリーズを強く意識してのことだった。今回のフェイスリフトで、内装にシルバーのメタル素材を多用したり、ヘッドランプにLEDを埋め込んだりしたのは、なんとなくアウディの後追いという感じがしなくもない。Cクラス、ブレてないか? 
アイドリングストップ機構をもつ新エンジンのC350に期待しよう。

(文=下野康史/写真=峰昌宏)

 
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メーターのデザインもリニューアル。中央部は車両情報などを示す液晶カラーディスプレイになっている。
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【スペック】C250 ブルーエフィシェンシー ステーションワゴン アバンギャルド:全長×全幅×全高=4610×1770×1460mm/ホイールベース=2760mm/車重=1600kg/駆動方式=FR/1.8リッター直4DOHC16バルブターボ(204ps/5500rpm、31.6kgm/2000-4300rpm)/価格=587万円(テスト車=641万8000円/メタリックペイント=8万4000円/ユーティリティパッケージ=18万円/本皮シート(前席シートヒーター付き)=28万4000円)
【スペック】C250 ブルーエフィシェンシー ステーションワゴン アバンギャルド:全長×全幅×全高=4610×1770×1460mm/ホイールベース=2760mm/車重=1600kg/駆動方式=FR/1.8リッター直4DOHC16バルブターボ(204ps/5500rpm、31.6kgm/2000-4300rpm)/価格=587万円(テスト車=641万8000円/メタリックペイント=8万4000円/ユーティリティパッケージ=18万円/本皮シート(前席シートヒーター付き)=28万4000円) 拡大
下野 康史

下野 康史

自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。

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