走行中ワイヤレス給電を実現に近づけるソリューション

一般的なEVは“オンボードモーター”といって、エンジンの代わりにモーターを載せているような構造をしている。そこにワイヤレス給電を組み合わせると、車体下に受電コイルを取り付けて、そこで得た電気エネルギーをいったんバッテリーに送り、そこからモーターを駆動させて、ドライブシャフトやデファレンシャルギアを物理的に動かすという機構になるため、エネルギー変換に伴うロスが多かった。また、車両側の重量変化もロスの原因になった。受電コイルと送電コイルは距離が近い方が効率がよく、その意味で大勢が乗って車体が沈んだ状態が最適だが、いつもそうとは限らない。少人数で乗っている場合はコイル間の距離が遠くなり、効率低下を招いてしまう。これらの課題を解決するアイデアが、走行中給電とIWMの組み合わせだ。

IWMはホイール内にモーターを置いて直接動かすため、ドライブシャフトやデファレンシャルギアが不要になり、エネルギーロスの低減と軽量化が期待できる。応答性にも優れる上、個々のホイールを独立制御できるのでクルマの動きも自由自在。すべての車輪を90度回転させれば、真横に進むこともできる。さらに、オンボードモーターよりも車内空間を広くとることができ、乗員の快適性も増す。

受電コイルと送電コイルの距離にしても、クルマがジャンプでもしない限りはほぼ一定。車体の沈み込みを考慮する必要はなく、受電コイルを常に路面に近い位置にキープできる。特にホイール外給電のタイプは、ホイールの内側、サスペンションにつり下げる形で受電コイルが置かれるので、既存のタイヤやホイールを使用できるのもメリットだ。

一方、ホイール内給電のタイプにも大きなメリットがある。ゴムタイヤとホイールの間に受電コイルを置くことで、受電コイルと送電コイルの間に異物が入るリスクを極限まで低減させたのだ。ワイヤレス給電では、両コイルの間に金属などの異物が混入すると、給電がうまくいかなくなるのが大きな課題なのだが、ホイール内給電では、そのリスクが大きく低減されることになる。ほかにも、ホイール外給電と違って飛び出す部分がないので、見た目にもすっきりした印象だし、段差やごみにコイルをぶつけて損傷させるリスクもない。ただ、タイヤおよびホイールは専用品が必要で、さらなる技術革新がほしいところだ。

会場に用意されたデモンストレーション用の車両。オンボードモーター式と比べ、インホイールモーター式はシステムがシンプルで、軽さや省スペース性の点で優れている。
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ホイール外給電のモックアップを、車体の内側から見たところ。サスペンションのロワアームの下、板状の出っ張った部分が受電コイルとなっている。
ホイール外給電のモックアップを、車体の内側から見たところ。サスペンションのロワアームの下、板状の出っ張った部分が受電コイルとなっている。拡大
ホイール内給電タイプの走行中ワイヤレス給電インホイールモーターの図解。(写真:ブリヂストン)
ホイール内給電タイプの走行中ワイヤレス給電インホイールモーターの図解。(写真:ブリヂストン)拡大
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