クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック

第597回:外装デザインのリーダーを直撃取材! デザインにみる新型「ルノー・ルーテシア」のキモ

2019.11.01 エディターから一言 佐野 弘宗
新型ルノー・ルーテシア
新型ルノー・ルーテシア拡大

第46回東京モーターショーにおいて、日本でもいよいよ公開された新型「ルノー・ルーテシア」。このクルマは、好評を博した従来モデルから何を受け継ぎ、何を刷新したのか? デザインに見るポイントを、モーターショーに合わせて来日したキーマンに聞いた。

5代目となる新型「クリオ」(日本名:ルーテシア)は、2019年3月のジュネーブショーで世界初公開。日本では、第46回東京モーターショーがお披露目の場となった。
5代目となる新型「クリオ」(日本名:ルーテシア)は、2019年3月のジュネーブショーで世界初公開。日本では、第46回東京モーターショーがお披露目の場となった。拡大
さまざまなメーカーで腕を振るってきたアンソニー・ロー氏。メルセデス・ベンツ時代には日本での勤務経験もあり、実は日本語も達者なロー氏である。
さまざまなメーカーで腕を振るってきたアンソニー・ロー氏。メルセデス・ベンツ時代には日本での勤務経験もあり、実は日本語も達者なロー氏である。拡大

あまたのメーカーを渡り歩いてルノーへ

新型ルーテシアが日本初公開された今回の東京モーターショー。その開幕に合わせて来日したアンソニー・ロー(Anthony LO)氏は、ルノーの“エクステリアデザイン担当バイスプレジデント”の肩書をもつ。バイスプレジデントを直訳すると副社長だが、ルノーでは“理事”に相当する役職のようだ。

――公表されているプロフィールによると、ローさんは香港でお生まれになって、イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(国立ロンドン美術大学)を卒業した後、まずはロータスに入社されたとか……。

はい、1987年にロータスに入社して、1990年にアウディに移籍しました。それからメルセデス・ベンツの東京デザインスタジオで7年ほど仕事してから、GMヨーロッパに移りました。GMではサーブやオペルのアドバンストデザインを担当しました。

ルノー の中古車

ヴァン・デン・アッカーが主導した組織改革

――ローさんがルノーに招かれたのは2010年4月とのことですから、そのときはすでにデザイン部門のトップは現在のローレンス・ヴァン・デン・アッカー(ルノー・コーポレートデザイン担当常務)さんだったわけですね。

私が声をかけられた当時のルノーは、フランスのスタンダードからよりグローバルなブランドに脱皮しようとしていました。私のボスであるヴァン・デン・アッカーは2009年5月にルノーにやって来て、デザイン部門の組織を変えようとしていました。私の場合、いろいろな会社で働いた経験や国際的なプロフィールが評価されたのだと思います。

――現在のルノーデザインの組織は以前とは異なるわけですか?

以前はひとつの商品企画に対して3~4名の担当デザイナーでチームを結成して、専属で数年かけてデザインをつくり上げていました。ですが、現在のルノーデザインではコンセプトカーから実際の商品、しかも「メガーヌ」やルーテシアなどの乗用車と「カングー」のような商用車も分け隔てなく、多くのデザイナーが手がけるようになりました。そのなかで、私はルノー全車のエクステリアデザインを統括する立場にいるわけです。

2019年のジュネ―ブショーのプレスカンファレンスにおいて、新型「クリオ」(ルーテシア)の特徴を説明するローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏。
2019年のジュネ―ブショーのプレスカンファレンスにおいて、新型「クリオ」(ルーテシア)の特徴を説明するローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏。拡大
ヴァン・デン・アッカー氏(実は、元マツダのグローバルデザイン本部長である)の主導によって組織改革が進められたルノーのデザイン部門では、以前の少人数チームによる仕事から、より多くのデザイナーがいろいろなモデルのデザインを手がけられるようになったという。
ヴァン・デン・アッカー氏(実は、元マツダのグローバルデザイン本部長である)の主導によって組織改革が進められたルノーのデザイン部門では、以前の少人数チームによる仕事から、より多くのデザイナーがいろいろなモデルのデザインを手がけられるようになったという。拡大
現在では、ロー氏はルノー全車のエクステリアデザインを統括する立場にある。
現在では、ロー氏はルノー全車のエクステリアデザインを統括する立場にある。拡大

大事なのは「ルーテシア」に見えること

――さて、いよいよ日本でも実車が公開された新型ルーテシアですが、第一印象は従来の4代目ルーテシア(ルーテシア4)の正常進化に見えます。

新型ルーテシアの開発プロジェクトを開始するにあたり、われわれはまずユーザーやマーケットの声を集めました。そこで共通して評価いただいたのは、とりわけエクステリアデザインでした。このときに得られたフィードバックを簡単にまとめると、ルーテシア4が選ばれた理由でもっとも多かったのがエクステリアデザインであり、逆に選ばれなかった一番の理由はインテリアのデザインや質感だった……というものです。

――それゆえにエクステリアデザインは正常進化。それにしても、新型ルーテシアは実際にはすべてが新しいのに、われわれ素人には、なぜルーテシアにしか見えないのでしょうか?

新型ルーテシアのエクステリアでルーテシア4を踏襲している最大のポイントはシルエットです。具体的には肉感的なフロントフェンダーやサイドビュー、そして筋肉質な印象を与えるリアのフォルムです。それとサイドウィンドウグラフィックにもルーテシアらしさを感じていただけるはずです。

このように、エクステリアデザインは“ルーテシアに見えること”を大きなテーマとしましたが、逆にルーテシア4から大きく変わったのは商品としてのストラテジーです。簡単にいうと、新型ルーテシアは“モアプレミアム”なクルマとして、すべてを“アップマーケット(=上級移行)”することを目指しました。

これはグレードにもよるのですが、各部のメッキをツヤが控えめのサテンクロームにして、ヘッドライトもフルLEDを基本としました。さらに今回の東京モーターショーに出展しているR.S.ラインでいうと、フロントバンパーのデザインも非常に高級感あるものになっています。

会場に展示された新型「ルーテシア」。従来モデルのエクステリアデザインが好評だったことから、外装についてはそのイメージを踏襲することが重視された。
会場に展示された新型「ルーテシア」。従来モデルのエクステリアデザインが好評だったことから、外装についてはそのイメージを踏襲することが重視された。拡大
従来モデルよりディテールをつくり込むことでプレミアム感を出しつつ、どこからどう見ても「ルーテシア」に見える意匠となっている。
従来モデルよりディテールをつくり込むことでプレミアム感を出しつつ、どこからどう見ても「ルーテシア」に見える意匠となっている。拡大
フルLED化されたヘッドランプ。新型「ルーテシア」は、従来モデルからの上級移行を意図したデザインとなっている。
フルLED化されたヘッドランプ。新型「ルーテシア」は、従来モデルからの上級移行を意図したデザインとなっている。拡大
新型「ルーテシア」のエクステリアデザインについて説明するロー氏。
新型「ルーテシア」のエクステリアデザインについて説明するロー氏。拡大

背景にあるBセグメントの“上級移行”

――そんなエクステリアとは対照的に、インテリアデザインは大きく変わっています。

先ほども申し上げたように、ルーテシア4では好評だったエクステリアに対して、インテリアはあまり評価いただけませんでした。ですので、新型ルーテシアのデザイン的な方向としては、エクステリアは正常進化としながらもよりプレミアムに……そしてインテリアはデザインから大きく変えることにしたのです。

さらにいうと、新しいインテリアデザインでは、まず大きな縦型ディスプレイを装備することが最初から決まっていて、これをいかにデザインに融合させるかが最大の課題となりました。

――確かにBセグメントに不似合い(?)なほど立派なディスプレイだけでなく、インテリアの質感は飛躍的に向上していますね。

ルーテシアのようなBセグメント車にアップマーケットが求められるようになった理由はいくつかあります。ひとつはもちろん、現在ルーテシアや他社Bセグメントに乗っているユーザーに“もっといいもの”を提供するためですが、もうひとつの大きな理由に、日本だけでなく欧州でもダウンサイズ需要が増えていることがあります。

たとえば、今までメガーヌに乗っていたユーザーは、従来のルーテシアにはどうしても物足りなさを感じていました。新型ルーテシアが機能・装備・質感のすべてでクラスを超えて、史上最高のルーテシアになったのは、そんな理由もあるのです。

(文=佐野弘宗/写真=峰 昌宏、ルノー、webCG/編集=堀田剛資)

インストゥルメントパネルまわりについては、ダッシュボード中央に巨大な縦型ディスプレイが備わることを前提にデザインがなされた。
インストゥルメントパネルまわりについては、ダッシュボード中央に巨大な縦型ディスプレイが備わることを前提にデザインがなされた。拡大
ダッシュボードに施された、精緻なカーボン装飾。インテリアの質感は格段に向上している。
ダッシュボードに施された、精緻なカーボン装飾。インテリアの質感は格段に向上している。拡大
新型「ルーテシア」のインテリアは、それまでより上位のモデルに乗っていたユーザーも納得させられる、高いクオリティーが追求されている。
新型「ルーテシア」のインテリアは、それまでより上位のモデルに乗っていたユーザーも納得させられる、高いクオリティーが追求されている。拡大
新型「ルノー・ルーテシア」と、アンソニー・ロー氏。
新型「ルノー・ルーテシア」と、アンソニー・ロー氏。拡大
佐野 弘宗

佐野 弘宗

自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。

車買取・中古車査定 - 価格.com

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

ルノー の中古車
関連キーワード
関連記事
関連サービス(価格.com)

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。