メルセデス・ベンツG350d(4WD/9AT)
やせ我慢はいらない 2019.12.12 試乗記 メルセデス・ベンツの本格クロカン「Gクラス」に、最高出力286PS、最大トルク600N・mの新世代直6ディーゼルエンジンを搭載する「G350d」が追加された。最もリーズナブルなプライスを掲げながらも本命との呼び声も高い、新グレードの実力やいかに?Gクラスの本命
いまさらあらためて説明するまでもなく、Gクラスは1979年に誕生したメルセデスの本格クロスカントリーモデルである。最新型は、2018年に車両骨格にも手が入る大幅改良を受けたもので、同年のNAIAS(北米国際自動車ショー=通称:デトロイトモーターショー)でデビューした。登場当時は「Gクラスがフルモデルチェンジ!」なる表現もさまざまなメディアやSNSで見受けられたが、輸入元であるメルセデス・ベンツ日本はもちろんのこと、本国ダイムラーもあくまで最新型は“改良モデル”であると言う。
強靱なラダーフレームが採用されたボディー骨格や新旧見分けのつきにくいアピアランス、そして“W463”という型式の踏襲をもってメルセデスは商品改良と主張する。しかし、2018年以前の“従来型”から流用されているパーツがドアのアウターハンドルとウオッシャーのノズル、それにリアのタイヤカバーというわずか3点にとどまる事実に照らし合わせれば、それはもう言葉遊びのレベルで、実質“生まれ変わったGクラス”と表現することになんらためらいはない。
今回の試乗車は、改良後のW463に設定された初のディーゼルエンジン搭載モデル。2018年6月の日本導入時点では、最高出力585PSとなる4リッターV8ツインターボ(M177型)の「G63」、同422PSとなる4リッターV8ツインターボ(M176型)の「G550」というともにガソリンエンジン搭載モデルのみのラインナップだったが、G350dは遅れてきた本命といえる。なにせ2017年の──その時点でもすでに新型登場のうわさはあったはず──Gクラス販売構成比においては、70%がG350dであったというのだ。出来の良さが評判の最新型において、ディーゼルモデルを本命といわずして何という。
ということで、「S400d」などにも搭載される3リッター直6ディーゼルターボエンジン「OM656」と、フルモデルチェンジ相当の改良が施されたシャシーやボディーの組み合わせを味わうべく、ガッチリしたハンドルに手をかけドアを開ける。文字通りキャビンによじ登り、収まった先には、泥とは縁遠い12.3インチのワイド液晶を2つ並べたモダンなインストゥルメントパネルがあった。
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