第616回:わずか12台の限定生産車「バカラル」が示唆するベントレーのフューオフモデル戦略

2020.04.02 エディターから一言
英国チェシャー州クルーにあるベントレー本社のエントランス。1938年に建築された歴史ある社屋を今も利用している。昔ながらのレンガの壁とモダンな要素を組み合わせたデザインは印象的だ。
英国チェシャー州クルーにあるベントレー本社のエントランス。1938年に建築された歴史ある社屋を今も利用している。昔ながらのレンガの壁とモダンな要素を組み合わせたデザインは印象的だ。拡大

本来であれば2020年3月のジュネーブモーターショーで初披露されるはずだった、ベントレーの2シーターオープン「バカラル」。ビスポーク部門マリナーが手がけた限定生産台数12台というこのモデルの開発意図を確かめるべく、英国クルー本社を訪れた。

エントランスを抜けると、創立100周年を記念して製作されたコンセプトカー「EXP 100 GT」が、ゲストを出迎えてくれる。
エントランスを抜けると、創立100周年を記念して製作されたコンセプトカー「EXP 100 GT」が、ゲストを出迎えてくれる。拡大
創立100周年コンセプトカー「EXP 100 GT」のインテリア。電動化されたパワートレインと完全自動運転を融合させた未来のベントレーだ。
創立100周年コンセプトカー「EXP 100 GT」のインテリア。電動化されたパワートレインと完全自動運転を融合させた未来のベントレーだ。拡大
本社に併設されたミュージアムには英国のロックバンド、ローリングストーンズのギタリストとして知られるキース・リチャーズが愛車(当時)の前でポーズを決めた写真も飾られていた。
本社に併設されたミュージアムには英国のロックバンド、ローリングストーンズのギタリストとして知られるキース・リチャーズが愛車(当時)の前でポーズを決めた写真も飾られていた。拡大
1939年に1台だけ試作された「コーニッシュ」をマリナーが復元。ベントレー創立100周年記念の一環として、2019年にお披露目された完成車がミュージアムに展示されている。
1939年に1台だけ試作された「コーニッシュ」をマリナーが復元。ベントレー創立100周年記念の一環として、2019年にお披露目された完成車がミュージアムに展示されている。拡大

ベントレーの歴史を刻むクルー本社

先日、イングランドの田舎町クルーにあるベントレー本社と、それに併設する本社工場を訪ねた。ベントレーはフォルクスワーゲングループへと再編されたことで確かな成功を収めたが、しかしそれで満足することなく常に未来に向かって戦略的なプランを描き続けている。ここを訪れるたびに、ベントレーのそんな静かなる情熱を感じるのだ。

今回まずわれわれを迎えてくれたのは、住所番号に由来して「CW1」と呼ばれる本社内にあるビジターレセプションエリアに展示されていた、創立100周年を記念して製作されたコンセプトカーの「EXP 100 GT」や新型「フライングスパー」、あるいはビスポーク(特別仕様)部門のマリナーが製作した「コンチネンタルGTコンバーチブル」をベースとした「エクストリアンエディション」といったベントレーの今、そして未来に期待を抱かせてくれるモデルであった。

さらにここから自動ドアで別室に入れば、台数はさほど多くはないがベントレーの歴史を物語る、ヒストリックモデルが並ぶコンパクトなミュージアムも設けられている。

本社工場は、このCW1からクルマで5分ほど走った距離に位置する。茶色いレンガ作りの外壁は、初めてこの場を訪れた時から変わっていない。今回見学することができたアッセンブリーラインは、静かに、けれども正確に時間を刻みながら一台一台のベントレーを組み上げていた。

これまでクルー工場のアッセンブリーラインは、コンチネンタルGTとフライングスパー用、「ミュルザンヌ」用、そして「ベンテイガ」用の3本に分けられていたが、ミュルザンヌの生産が終了したことを受けて、今後そのラインはマリナーが使用することになったという。

ベントレー の中古車
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