ホンダ・フィットe:HEVクロスター(FF)
心地よいミニマル 2020.05.14 試乗記 スペック至上主義から脱却し、乗る人、使う人の“心地よさ”を重視したという新型「ホンダ・フィット」。ライバルにはないそうした開発テーマは、車両のどのような部分に表れ、またどの程度達成されているのか? SUVスタイルの「クロスター」に試乗し、確かめた。あくまで“SUV風”
『webCG』には2020年2月に発売された新型フィットの試乗記が何度も掲載されていて、このタイミングで記事を書くのはいささか気が引ける。でも、仕方がない。フィットには5タイプのモデルがラインナップされていて、それぞれにガソリン車とハイブリッド車があるのだ。掛け合わせると10タイプ、さらにFFと4WDの違いまで考慮すれば、20タイプということになる。
さすがにすべてを網羅するのは無理だし必要もないが、それでも今回の試乗車は取り上げるべきだろう。「クロスター」と名付けられたモデルで、SUV風味のスタイルが特徴になっている。ただし、悪路走破性能を高める機構が採用されているわけではないので、いわゆる“なんちゃってSUV”だ。しかも試乗車の駆動方式はFF。他モデルと明確に異なるのは最低地上高である。FF車では他のモデルより25mm高い。でも4WD車だと5mm差なので、微妙な違いだ。
エクステリアにはアウトドア感を高める演出が施されている。前後バンパーやグリル、ホイールアーチやサイドシルなどは、ブラックのパーツでタフなイメージに。ルーフレールは、クロスター専用のオプションだ。インテリアでは、シートとインパネのソフトパッドに水をはじく素材が使われている。あとはほかのタイプと変わらない。“街にもアウトドアにも似合う”とうたわれているとおり、あくまでSUV風なのだ。
フィットのフロントマスクは柴犬がコンセプトなのだそうだが、クロスターはグリルのせいでかわいらしさが消えてしまった。柴犬というより紀州犬といったところか。ただ、前に茨城県にある犬のテーマパークに「フィット ホーム」を持ち込んだ時、職員の方に「これは柴犬がモチーフなんですよ」と説明してもピンときていない様子だった。そもそも似ていないのかもしれない。
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