「GT-R Club Track edition」がオーナーの手に
2011.05.18 自動車ニュースサーキット専用車「GT-R Club Track edition」引き渡し式&レーシングスクール開催
2011年5月14日、千葉県の「袖ヶ浦フォレストレースウェイ」にて「日産GT-R」のサーキット走行専用車「クラブトラックエディション」のオーナーへの引き渡しを兼ねた、第1回レーシングスクールが開催された。
■単なるサーキット専用車ではない
「納車までは受注後3〜4カ月程度かかります」
「クラブトラックエディション」は、2010年10月に実施された「日産GT-R」のマイナーチェンジで、ゴージャスな「エゴイスト」とともに追加されたサーキット走行専用車。販売を担当するニスモのオフィシャルサイトには、このクルマを紹介するページの片隅に、小さな文字でこう記されていた。
その言葉どおり、クラブトラックエディションは2011年3月に、オーナーを招いて引き渡し式を行う予定だった。それが延期されたのは、言うまでもなく東日本大震災が理由である。そして今回、5月14日に千葉県の「袖ケ浦フォレストレースウェイ」で、仕切り直しのイベントが行われた。
いま一度クラブトラックエディションの説明をしておくと、それは単なるサーキット専用車ではない。4点式ロールケージ、6点式シートベルト、跳ね上げ式ステアリングホイール、専用コンピューター(エンジン/トランスミッション/ABS/VDC)、前後デフクーラー、ビルシュタイン製専用ショックアブソーバー、スリックタイヤ、フロントリップスポイラーなど、走りを極めるための装備に抜かりはない。
そのうえでメンテナンスや車両保管/輸送、ショートレースを含めた年5回(今年のみ6回)のレーシングスクールといったソフトウェアも込みで提供するなど、従来の国産スポーツカーには見られない提案を行っている。ちなみに車両価格は約1000万円、スクール年会費は200万円、保管委託料は100万円になる。
■クラブトラックエディション限定のゴールドキー
一方で販売はニスモ、ノバエンジニアリング、ノルドリンクの特約サービス工場3社でしか行われないという、スタンダードの「GT-R」以上に厳格な態勢を敷いているのも特徴になっている。
この日参加したオーナーは6名。まずコントロールハウス2階で、開会式とオリエンテーションが行われた。残念ながら開発責任者の水野和敏氏は欠席だったが、代わりにビデオレターでメッセージを寄せた。
「クラブトラックエディションは、人の心と一体になって感動が味わえるクルマです。メンバー間の親睦を深め、人生を豊かにしてほしいと考えています」
その後、水野氏が考えたというゴールドのキー! と名前入りキャップを手渡されたオーナーたちは、レーシングスーツに着替えると、ピットに並べられた愛車に乗り込み、次々にコースインした。
サーキット走行は昼食や休憩を挟んで4回も実施されたが、オーナーたちは時間をフルに使って走り込んでいた。それどころか、すでに他のサーキットイベントで走り初めを終え、タイヤを履き替えていた人さえいた。“公道を走れないGT-R”を買うオーナーは、予想を上回る猛者ぞろいだった。
■走りに徹するイベント
車両にはビデオカメラやデータロガー、ラップセンサーが搭載してあり、講師の並走と合わせて各車の走りを入念にチェック。休憩時間中には、チーフインストラクターである鈴木利男氏をはじめとする講師陣からアドバイスを受けていた。
この日は初回ということで、ショートレースは次回以降に持ち越され、クルマに慣れることに重点が置かれたが、「世界一のGT-R使い」から直接教えを受けられることは、何物にも変えがたい経験になるはずだ。
ロードスター・パーティレースに出場経験があるという参加者のひとりは、メーカーによってオーガナイズされたメニューであることに価値があるといい、共通の趣味を持つ人たちとのコミュニケーションが楽しみだと語っていた。こちらが気にしていた費用についても、車格や内容を考えればリーズナブルであると断言していた。
輸入スポーツカーのサーキットイベントに比べると、華やかさに欠ける印象もある。でもオーナーたちは皆、生活に余裕があるだろうから、そういう会にも足を運んでいるはず。いうなれば「使い分け」ができる方々である。それを考えれば、走りに徹したこのメニューは、GT-Rの個性を反映したものといえるだろう。
ちなみに日産のGT-Rウェブカタログでは、「おもてなし」のコーナーでGT-Rクラブトラックエディションを紹介している。実に水野氏らしい“おもてなし”である。
(文=森口将之/写真=峰昌宏)
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