第666回:“ペルシャ国王”から“スズキのマー坊”まで クルマにつけられた人の名前
2020.07.31 マッキナ あらモーダ!作者が意図せぬ標題
第664回では「スズキ・ジムニー」がイタリアで「スズキーノ」の愛称で親しまれていることを書いた。それにちなんで今回は、人名のニックネームがついた自動車の話を少々。
誰もが知っているベートーベンの『交響曲第5番』の『運命』は、作曲家本人が命名したものではない。
簡単に言うと、彼が弟子と交わした問答の中で「運命」という言葉があったとされることに由来するものだ。
ついでに言えば、筆者が知る限り欧州各国では、日本で呼ぶ『運命』に相当する標題がついているのを見たことがない。『交響曲第5番』のみである。
レンブラントの有名な絵画『夜警』は1642年に制作されながら、題名がついたのは19世紀になってからである。
同じく17世紀のオランダの画家、テル・ポルフによって1654年ごろに描かれたとされる作品には、題名についてより興味深い逸話が残されている。
父母が年ごろの娘を諭しているように見えることから、後世の人々によって『父の訓戒』という名前がつけられた。かのゲーテも道徳的な絵画として著作の中で触れている。
しかし後年それは、父と娘ではなく値段交渉をする客と娼婦であり、母とされたのは日本で言うところの「やり手ばばあ」と解釈されるようになり、今日に至っている。
自動車の世界にも、つくり手の意図とは別に、標題ならぬニックネームが与えられてしまった例が数々ある。
それについては第504回で少し記したので、今回は特に擬人化された、もしくは人名にちなんだモデルに絞って振り返りたい。
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大矢 アキオ
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』、『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。
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