第188回:レーダーに頼らず有視界飛行セヨ
2020.09.02 カーマニア人間国宝への道6年目にしてバッテリーを交換
少し前、わが家のエリート特急こと先代「BMW 320d」が故障したことを書きました。走りだして間もなく、ABSや歩行者検知機能などの警告灯が5個同時に点灯し、「ポーン」という警告音が5連発で発せられたのです。
購入した激安中古車店に持ってったところ、「テスターかけたら低電圧状態というエラーコードが出まして、1時間ほどアイドリング充電したら直りました」と言われて拍子抜け……というところまでリポートさせていただきました。
ところが、修理(アイドリングしただけ)を終えた愛車に乗り、お店を出て30秒後には、まったく同じ警告灯5連発をお見舞いされてしまったのです!
担当者には、「また警告が出るようでしたら、バッテリー交換したほうがいいと思います」と言われてたけれど、まさか30秒しか持たないとはぁっ!
道端に止めて整備記録を調べてみたら、この子、まだ一度もバッテリー交換をしていない! つまり6年!
バッテリーの寿命は2~3年とかよくいわれます。それはバッテリーを売りたい側のうたい文句なれど、6年はさすがに寿命だべな。
そのまま激安店近くのカー用品店へ駆け込んで、交換してもらいました。お代金は約6マンエン。高いけど是非もなし。
すると、さすがに全快したようで、警告灯もつかないしACCも復活! 元のエリート特急に戻った~! わーい。
やっぱりドイツ車の警告灯がいっぱいついてるのって、なんか気分が乗らない。イタフラ車なら逆に気分が乗ってくるんだけど、ドイツ車はアカン。ドイツ車は完璧であってこそ価値がある! エリート特急最高!
ところが。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
ウチでは手に負えません
数日後、千葉方面に出撃中、またもあの警告灯5連発が復活したのです。エエ~~~~ッ、どぼじでどぼじで?
チップに悪い記憶が残ってて、その残像で悪夢でも見てるんじゃないかと思い、バッテリーの配線を一晩外してみたりしたけれど全然ダメ。
こういう「悪い記憶を忘れさせる作戦」は、イタフラ車にしか効かないのだろうか。昔、「フェラーリ348tb」がよく片バンク止まりまして、いったんエンジンを切って10分くらい放置すると復活したのですが、ドイツ車には通じないようです。
どうしよう。もう激安店に持っていく気にはなれない。よし、取りあえず近所のカー用品店でテスターにかけてもらおう!
「お客さま、エラーが9個も出てます。右リアウィンドウも動きがおかしいです。コンピューター本体が狂ってるかもしれません。ウチでは手に負えません。ディーラーに持ち込んでください」(カー用品店のメカニック)
コ、コンピューター本体が狂ってるの!? 発狂してるの!? ドイツ車が発狂すると最後はやっぱり独裁体制で暴走するの~~~~っ!?
正規ディーラー様の修理見積もりは?
さすがに万策尽き、正規ディーラー様の整備工場に電話させていただくことにしました。ドイツ車の発狂なんぞ、日本人のオレにはどうにもならん。ドイツ人にまかせよう! たぶん日本人だけど。
私:あの~、警告灯がいっぺんに5個点灯してしまったんですが。
ディーラーのサービス担当者:お客さま、それは4輪に1個ずつ付いているスピードセンサーの、どれか1個が故障したとみて間違いないと思います。
ええ~~~~~っ!
実は、この故障発生をSNSでリポートしたところ、「スピードセンサーの故障ではないですか。私もいまそれで修理中です」と教えてくれた方がいらっしゃったのです。まさにそれだったんですかぁ! それを激安店では「低電圧」と誤診され、カー用品店では「発狂」と誤診され、堂々巡りの末、正規ディーラー様が電話口で一発ご名答! まだ予測段階ではあるけれど、たぶん同じトラブルが頻発してるってことだべな。
サービス担当:ただ、いま工場が大変込み合っておりまして、一番早くて3週間後の入庫になるんですが、よろしいですか?
オレ:はぁ……。警告灯がいっぱいついてるのは、走行には問題ないですか?
サービス担当者:まったく問題ありません!
ま、まったく問題ナシ! ABSは利かず、ACCは使えず、自動ブレーキも利かないけど、走行にまったく問題ナシ! ドイツ正規軍がそう断言! レーダーに頼らず有視界飛行セヨということでありますねうおおおお~!
もちろんですね、「新車でもアプルーブドカーでもなく、激安店で買った激安車なんだから、3週間くらい待てや!」って含みもゼロじゃないでしょう。自分が正規ディーラーの社員だったら間違いなくそう思うであります!
はい、待たせていただきます! 待つしかありません! 激安店にもカー用品店にも手に負えないのでありますから!
入庫から2日後、お電話にてお見積もりが連絡されました。
サービス担当者:やはりスピードセンサーの故障でした。費用は3万円弱になりますが、よろしいですか?
よ、よろしいですよろしいです! 複雑精緻なドイツ車の警告灯5連発が、たったの3万円で直るなんて夢みたいです~~~~!
(文と写真=清水草一/編集=櫻井健一)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
第336回:やっぱり絶交! 2026.5.25 清水草一の話題の連載。夜の首都高に200台の台数限定で販売される「マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R」で出撃した。手作業で組まれた2リッター直4エンジンを搭載するマツダ入魂のスポーツモデルに、カーマニアは何を感じた?
-
第335回:水平尾翼が効いてるのかな 2026.5.11 清水草一の話題の連載。フルモデルチェンジで2代目となった「シトロエンC5エアクロス」で、夜の首都高に出撃した。最新のデザイン言語を用いて進化した内外装とマイルドハイブリッドの走りに、元シトロエンオーナーは何を感じた?
-
第334回:親でもここまではしてくれまい 2026.4.27 清水草一の話題の連載。先日試乗した「トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ」はすごかった。MTと縦引きパーキングブレーキの組み合わせを用意してくれるトヨタは、カーマニアにとってもはや神である。
-
第333回:毛が生えようが、ハゲようが 2026.4.13 清水草一の話題の連載。「ジープ・アベンジャー」に追加設定された4WDモデル「アベンジャー4xeハイブリッド」で夜の首都高に出撃した。ステランティスで広く使われるマイルドハイブリッドパワートレインと4WDの組み合わせやいかに。
-
第332回:クルマ地味自慢 2026.3.30 清水草一の話題の連載。最近、年齢とともに地味なモデルが大好きになった。そんななか、人気の「フォレスター」や「クロストレック」の陰にひっそりと隠れたスバルを代表する地味モデル「インプレッサ」に試乗。果たしてその印象は?
-
NEW
第290回:商用バンで砂漠を行く親子が向かうのは天国か地獄か 『シラート』
2026.6.4読んでますカー、観てますカー失踪した娘を探して親子はモロッコの砂漠へ。砂漠で開催されていたレイブパーティーが最高潮に達した頃、軍隊がやってきて中止させられる。親子が乗るFFの商用バンは次のパーティー会場にたどり着けるのか……。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(前編)
2026.6.4あの多田哲哉の自動車放談ひさびさに日本市場に戻ってきた、ホンダを代表するSUV「CR-V」。最新世代の仕上がりを、トヨタの車両開発者だった多田哲哉さんはどう評価する? まずは、ワインディングロードを走らせた第一印象から。 -
NEW
第964回:フィアットグッズのコレクターから学ぶ人生訓
2026.6.4マッキナ あらモーダ!イタリア在住の大矢アキオが、トリノで著名なフィアットグッズのコレクターを取材。若き日の苦労を経て大成した人物が語る、人生で大切なものとは? フィアットやイタリアの歴史を物語る、貴重なコレクションの数々とともに紹介する。 -
NEW
気づけばすでに4モデル スバルのBEV戦略と水平対向エンジンの未来を考える
2026.6.4デイリーコラム「ソルテラ」に続き、「トレイルシーカー」「アンチャーテッド」「ゲッタウェイ」と、いつの間にか4モデルが顔をそろえたスバルのBEV。伝統的な水平対向エンジンやシンメトリカルAWDはこの先どうなるのか? スバルの未来戦略を探る。 -
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】
2026.6.3試乗記「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。 -
ミドシップ化で運動性能はどう変わる? 「GRヤリスMコンセプト」の現時点での完成度を体感
2026.6.3デイリーコラム「GRヤリス」をベースとしたミドシップ4WDとして市販化を目指す「GRヤリスMコンセプト」。現在もスーパー耐久に投入されるなどして鍛えられているが、その開発車両をドライブできた。普通のGRヤリスとの運動性能の違いや、新開発エンジンの印象などをリポートする。








































