第687回:中国市場で大ピンチ! 「四叶草」に願いをかけるフランス&イタリア車
2020.12.24 マッキナ あらモーダ!上海テスラ&瀋陽BMWが欧州へ
2021年、ヨーロッパの自動車業界は「中国製モデルの本格上陸元年」になりそうだ。といっても、中国ブランド車ではない。欧米ブランドの中国生産車の本格上陸が始まりそうなのである。
テスラは2020年10月、上海工場製の電気自動車(EV)「モデル3」をドイツとフランス、イタリア、そしてスイスを含むヨーロッパ10カ国に輸出すると発表した。『フォーブス電子版』が伝えたところによると、実際に11月末、ベルギーの港に7000台がすでに到着している。
BMWも瀋陽にあるブリリアンス(華晨)との合弁工場、BMWブリリアンス・オートモビル(BBA)で生産したEV「iX3」を11月初旬に大連の港で欧州向けに船積みしている。
テスラもBMWのイタリア法人も、目下のところこの件を一般顧客向けにはリリースしていない。
しかし、もはやイタリアの人々にとって、テスラとBMWが中国工場製であったとしても、特に拒否反応を示す人は少ないと筆者は考える。
理由の第1は、目下イタリアでテスラやiX3に購入意欲を示すユーザーは、概して新しいガジェット好きであろうということだ。
彼らは早くから「iPhone」を通じて、たとえ中国製造でも外国企業の製品であれば、品質管理が行き届いていることを体感している人々である。
加えて、そうしたEVをすぐに買えない層にしても、ジェネレーションY(1980年代初頭から1990年代中盤生まれ)や、それに続くジェネレーションZ(1990年代後半から2000年代前半生まれ)のイタリア人の間で、メイド・イン・チャイナに対する抵抗感は限りなく薄い。
中国の改革開放政策が発表されたのが1978年で、社会主義市場経済が導入されたのが1992年。彼らが物心ついたころには、イタリアにもメイド・イン・チャイナがあふれていたのである。
ついでにいえばスクーター大国イタリアには、キムコやSYMといった台湾ブランドが比較的早く進出。若者たちの多くにとって、モータリゼーションとのなれそめとなったのが彼らの製品である。そうしたことも、中華系ブランドへの抵抗感を下げているのだ。
ところで、テスラやBMWはさておき、イタリアやフランスのブランドはいま、中国でどうなっているのか? というのが今回の話題である。
長年の地域限定車種おたくである筆者としては、やはり情報をアップデートしておきたいと思ったのも執筆の理由である。
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大矢 アキオ
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』、『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。
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