DS 3クロスバックE-TENSEグランシック(FWD)
乗り手を選ぶSUV 2021.02.13 試乗記 フランス生まれの都市型EV「DS 3クロスバックE-TENSE」が上陸。DSブランドならではの先進技術とエレガンスを注ぎ込んだというコンパクトSUVは、どんな走りを味わわせてくれるのか? 上級グレード「グランシック」で試した。EV投入は待ったなし
DS 3クロスバックE-TENSEは、シトロエンの上級ブランドたるDSのコンパクトSUVにして、「エレクトリック・エレガンス」をうたうピュアEVである。最近では、プラグインハイブリッドやハイブリッド、はたまた燃料電池車と、モーターで、またはモーターの力を借りて走るクルマが増えてきたこともあって、電力供給源のバッテリーを明示して「BEV」と呼ばれることも多い。
最近、「20○○年までに全車種電動化!」とアピールする自動車メーカーを散見するが、それはフルラインナップBEVを目指すわけではなく、モーターを備えた車種を広く含めるのが普通だ。破竹の勢いで(!?)拡大を続けるグループPSAもその例にもれず、コミューター型のBEV「Ami(アミ)」やPHEVの「C5エアクロス」「DS 9」をリリースし、小型車用プラットフォーム「CMP」を使う車種として、内燃機関と電動化モデルを並行して開発している。
グループPSAはじめ欧州自動車メーカーの電動化の流れが急なのは、環境保護活動家グレタ・トゥーンベリさんの熱のこもった演説に各社のCEOが心打たれたから……ではなく、ヨーロッパ市場において、2021年からメーカー平均のCO2排出量が95g/kmに抑えられたからだ。燃費に換算すると、約24km/リッターに相当する。
2030年には、CO2排出量のさらなる削減(いまのところ37.5%)が要求されるはずで、燃費に有利な小型車に強いPSAといえども、全社の平均燃費を上げるには、しゃにむに電動化モデルをラインナップするしかない。「せっかくDSブランド初のピュアEVだというのに、ガソリンモデルと同じボディーなのか」と残念がっている余裕はないのだ。