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第640回:個性よりもバランス グッドイヤーのミニバン専用タイヤ「エフィシェントグリップRVF02」を試す

2021.02.26 エディターから一言
2021年3月1日に発売されるグッドイヤーのミニバン専用タイヤ「エフィシェントグリップRVF02」。
2021年3月1日に発売されるグッドイヤーのミニバン専用タイヤ「エフィシェントグリップRVF02」。拡大

快適性を追求したミニバン専用タイヤ──そう銘打たれた新製品が、「グッドイヤー・エフィシェントグリップRVF02」である。偏平率が65%から35%で、13インチから20インチの全40サイズがオープン価格で2021年3月1日に発売される。

グッドイヤーの乗用車向けサマータイヤラインナップは、スポーツ系の「イーグル」とコンフォート系の「エフィシェントグリップ」に大別できる。今回登場した「RVF02」の先代モデルにあたる「RV-F」はイーグルの名を冠しており、モデルチェンジにあたり路線変更を行ったことがわかる。
グッドイヤーの乗用車向けサマータイヤラインナップは、スポーツ系の「イーグル」とコンフォート系の「エフィシェントグリップ」に大別できる。今回登場した「RVF02」の先代モデルにあたる「RV-F」はイーグルの名を冠しており、モデルチェンジにあたり路線変更を行ったことがわかる。拡大
グッドイヤーの「エフィシェントグリップ」シリーズは、快適性とトータルバランスを重視した乗用車向けのタイヤ。これまでは「エコEG02」「コンフォート」「パフォーマンス」の3製品がラインナップされていた。今回の「RVF02」はミニバンへの装着を前提に開発したという。
グッドイヤーの「エフィシェントグリップ」シリーズは、快適性とトータルバランスを重視した乗用車向けのタイヤ。これまでは「エコEG02」「コンフォート」「パフォーマンス」の3製品がラインナップされていた。今回の「RVF02」はミニバンへの装着を前提に開発したという。拡大

コンフォート系に路線変更

タイヤに詳しい人は、その商品名からこのタイヤが、やはりミニバン専用をうたった同社の「RV-F」の実質的後継モデルであることに気づくはず。さらに博識な人ならば、同じようにミニバン専用をうたうモデルでありながら、これまでの「イーグル」から「エフィシェントグリップ」へと、グッドイヤーのタイヤラインナップ内で冠するブランド名、すなわち属するカテゴリーが変更されたことにも気づくだろう。

グッドイヤーの乗用車用サマータイヤは、スポーティーさを前面に押し出したイーグル系と、快適性や経済性を前面に押し出したエフィシェントグリップ系に大別できる。かくして、ミニバン用タイヤは今回、商品戦略上の立ち位置を前者から後者へと移すことによって、より明確に快適性の高さを訴求する方向へと舵を切ったといえる。

専用タイヤならではの工夫

従来モデルであるRV-Fが発売されたのは2014年2月。それから丸7年が経過してのニューモデルであることから、骨格構造から採用するコンパウンド、さらには商品力にも直結する見た目(パターンデザイン)などに至るまで、主たる進化ポイントは枚挙にいとまがない。

同じ乗用車とはいえ、セダンやステーションワゴンに比べれば、「重量がかさみ、車高・重心高がより高い」というミニバン特有のハンディキャップに対応するべく、まずはクルージング時のふらつきやコーナリング時の腰砕け感、さらに使用過程での偏摩耗への対策として、左右非対称で接地部分、いわゆるランド比を多めにとった新デザインのパターンを採用するというのが、ミニバン専用たるRVF02の特徴のひとつ。

さらに快適性の追求における代表的な技術が、「新形状ラウンドサイドウォール」である。これは、トレッド端からサイドウォールにかけての曲率をプログレッシブなものとすることで振動周波数を分散させ、マイルドな乗り心地を実現させるというものだ。

同様に、振動周波数にピークをつくらずあえて広範囲に散らす工夫が、トレッド面にもみられる。ショルダーブロック部分のピッチ数を増やすと同時にその間隔もランダムとすることで、踏み込み音とパターンノイズを低減させるという。

今回試走を行った、235/50R18サイズの「エフィシェントグリップRVF02」が装着された「トヨタ・アルファード」。
今回試走を行った、235/50R18サイズの「エフィシェントグリップRVF02」が装着された「トヨタ・アルファード」。拡大
「エフィシェントグリップRVF02」の開発チームは、重量がかさみ車高や重心高が高いというミニバンの特徴を考慮したうえで、快適性や経済性、静粛性を追求したという。
「エフィシェントグリップRVF02」の開発チームは、重量がかさみ車高や重心高が高いというミニバンの特徴を考慮したうえで、快適性や経済性、静粛性を追求したという。拡大
155/65R13から245/35R20まで全40種類のサイズをそろえる「エフィシェントグリップRVF02」。いずれもオープン価格で販売される。
155/65R13から245/35R20まで全40種類のサイズをそろえる「エフィシェントグリップRVF02」。いずれもオープン価格で販売される。拡大

燃費性能にも自信あり

車重がかさみ車高も高いという特徴ゆえコーナリング時にタイヤ外側に負担が集中し、結果的に偏摩耗を起こしやすいというミニバンにありがちな弱点を克服すべく、走行時の接地圧分布のコントロールにあらためて注力したのも、エフィシェントグリップRVF02の特徴だ。具体的には、断面プロファイルやトレッド内部のベルト/オーバーレイヤーの最適化などによって接地形状を見直すことで、接地圧分布の均一化が図られているという。

こうして、摩耗ライフ性能を向上させるとともにこのタイヤで見逃せないのは、ラベリング制度で全サイズ「AA」ランクを獲得したという優れた燃費性能である。

これは先に、「振動が分散されることで快適性が向上する」と紹介した新形状ラウンドサイドウォールが、同時に軽量化と発熱抑制も実現し転がり性能の向上にも寄与。さらにより微細化されたシリカがポリマーと効率よくつながり、こちらも発熱を抑制し燃費性能を向上させる新コンパウンド「フューエルセービングラバー02」が効果を発揮した結果であると説明されている。

そんな新タイヤを装着しての試走を、今や日本を代表するミニバンである「トヨタ・アルファード」を用いて行った。テストフィールドは富士スピードウェイ内の施設であるトヨタ 交通安全センター モビリタ。完全舗装が施された路面は基本均一で、交通量が少なく管理が行き届いているために荒れた部分がほとんど見当たらない。そこにパイロンで屈曲コースなどが設定されたが、試走がリアルな路上からは少々現実離れした舞台に限られてしまったのは残念だ。

それでも、散水によるウエット区間や路面の継ぎ目などを模したセクションも用意され、ひと通りのシチュエーションチェックを行うことができた。荒れた路面での乗り味や摩耗に関する部分など、今回用意された舞台では確認し切れていない領域はあるものの、エフィシェントグリップRVF02の第一印象は、まずはミニバン専用を名乗るのに不満のないものだった。

「エフィシェントグリップRVF02」の試走は富士スピードウェイ内の施設であるトヨタ 交通安全センター モビリタで行われた。乾燥路面のほか、散水によるウエット区間や舗装路面の継ぎ目などを模したセクションも設定されていた。
「エフィシェントグリップRVF02」の試走は富士スピードウェイ内の施設であるトヨタ 交通安全センター モビリタで行われた。乾燥路面のほか、散水によるウエット区間や舗装路面の継ぎ目などを模したセクションも設定されていた。拡大
等間隔にパイロンが並べられたスラロームコースでは、コーナリングや車線変更などを想定し、車高や重心の高さに起因するミニバン特有の挙動などをチェックすることができた。
等間隔にパイロンが並べられたスラロームコースでは、コーナリングや車線変更などを想定し、車高や重心の高さに起因するミニバン特有の挙動などをチェックすることができた。拡大
ウエット路面を模した散水エリアを行く「アルファード」。試乗車に装着された235/50R18サイズの「エフィシェントグリップRVF02」は国内のタイヤラベリング制度において、転がり抵抗性能「AA」、ウエットグリップ性能「b」を獲得している。
ウエット路面を模した散水エリアを行く「アルファード」。試乗車に装着された235/50R18サイズの「エフィシェントグリップRVF02」は国内のタイヤラベリング制度において、転がり抵抗性能「AA」、ウエットグリップ性能「b」を獲得している。拡大
今回の試走コースに設定されていた、首都高や橋などでみられる路面の継ぎ目を模したセクション。板状のゴムを並べ凹凸をつくっている。ここでは疑似的な継ぎ目を通過する際の衝撃や音、挙動、乗り心地の変化などを確認することができた。
今回の試走コースに設定されていた、首都高や橋などでみられる路面の継ぎ目を模したセクション。板状のゴムを並べ凹凸をつくっている。ここでは疑似的な継ぎ目を通過する際の衝撃や音、挙動、乗り心地の変化などを確認することができた。拡大

うたい文句に偽りなし

スタートしてみると、感じられたのはいい意味で「普通の乗用車タイヤだな」という印象であった。ミニバン専用をうたうタイヤの場合、重量級のモデルにも対応するべくケース剛性なども高めとした構造を備えるのが常。しかし、そうした特徴を意識させられるような硬さを覚えることもなく、むしろ路面に対する当たりはマイルドであると好意的に捉えることができた。

また、ステアリング操作に対する遅れなども感じられず、クルマの動きはすこぶるリニア。このあたりが良い意味で、普通のタイヤという感想につながったのだ。

平滑な路面では減速時の前輪やコーナリング時の外側輪など、特に荷重が増すタイヤからのパターンノイズが耳につきやすいものだが、それがほとんど感じられなかった点にも好印象を抱くことができた。普段乗り慣れない路面でのチェックゆえ絶対的な評価を下すことはなかなか難しかったが、「ロードノイズも比較的小さいタイヤだな」と思えたのは事実。少なくとも静粛性を追求し、快適性を向上させたというそのうたい文句に偽りはないといえそうだ。

ランド比をアップしたとアナウンスされつつも、高い排水性を備えることは複数の太いストレートグルーブが目を引くトレッドパターンからも予想できたが、実際にウエット路面でも何ら不安なく、高めの速度でも水膜の上をしっかりした接地を感じながら通過することができた。

良くも悪くも際立った個性は見当たらない一方で、それが幅広い車種とマッチしそうなトータルバランスの高さへとつながっているという印象のニュータイヤであった。 

(文=河村康彦/写真=花村英典/編集=櫻井健一)

異なる太さの縦溝がパターンノイズを抑制。さらにその縦溝で発生した音を、ランダムに配置した横溝が外側に逃がすような仕組みが盛り込まれた「エフィシェントグリップRVF02」のトレッドパターン。接地面の最適化なども行い、従来製品比でパターンノイズを14%低減させたという。
異なる太さの縦溝がパターンノイズを抑制。さらにその縦溝で発生した音を、ランダムに配置した横溝が外側に逃がすような仕組みが盛り込まれた「エフィシェントグリップRVF02」のトレッドパターン。接地面の最適化なども行い、従来製品比でパターンノイズを14%低減させたという。拡大
通常コーナリング時は、荷重がかかる外側輪のパターンノイズが顕著になる。「エフィシェントグリップRVF02」では、そうした走行状態でのノイズがきちんと抑えられていた。
通常コーナリング時は、荷重がかかる外側輪のパターンノイズが顕著になる。「エフィシェントグリップRVF02」では、そうした走行状態でのノイズがきちんと抑えられていた。拡大
ウエットセクションを走行する様子。ステアリング操作における挙動の変化やタイヤのグリップ感に加え、フルブレーキング時の制動性能などを確認することができた。
ウエットセクションを走行する様子。ステアリング操作における挙動の変化やタイヤのグリップ感に加え、フルブレーキング時の制動性能などを確認することができた。拡大
グッドイヤーの最新タイヤラインナップ。右から今回試走を行ったミニバン専用タイヤ「エフィシェントグリップRVF02」、オールシーズンタイヤの「アシュアランス ウェザーレディ」、同「ベクター4シーズンズ ハイブリッド」。
グッドイヤーの最新タイヤラインナップ。右から今回試走を行ったミニバン専用タイヤ「エフィシェントグリップRVF02」、オールシーズンタイヤの「アシュアランス ウェザーレディ」、同「ベクター4シーズンズ ハイブリッド」。拡大
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