フォード・クーガ/レクサスCT200h/MINIクロスオーバー(前編)【試乗記】
フォード・クーガ/レクサスCT200h/MINIクロスオーバー(前編) 2011.04.08 試乗記 フォード・クーガ タイタニアム(4WD/5AT)/レクサスCT200h“Fスポーツ”(FF/CVT)/MINIクーパーS クロスオーバーALL4(4WD/6AT)……406万7800円/424万9500円/479万2000円
画一的になったとも言われる今どきのクルマ。その真偽のほどを、400万円前後の個性派3台をピックアップし、試してみた。前後編2回にわたりリポートする。
“家電”なんて言わせない
「最近のクルマは家電ぽい」「個性が薄れてきた」と感じている人は案外多いかもしれない。クルマを単なる移動の道具として捉える人なら、それでいいかもしれないが、私を含めて、クルマ好きにとって物足りなく思えるのは確かだろう。
もちろん、個性的なクルマも世の中には多数存在しているが、たいていそういうモデルにかぎって、とても手の届かない価格だったりする。比較的手頃な価格で、個性的なモデルを手に入れることは不可能なのだろうか?
そんな疑問に私が用意する答えが、ここに紹介する3台だ。「MINIクロスオーバー」「フォード・クーガ」そして「レクサスCT200h」。いずれも、負けず劣らずの個性を持ちながら、価格は400万円前後という、なんとも魅力的なクルマたちである。この3台を引き連れて、それぞれの個性に迫るドライブに出かけてみた。
個性派の最新作「MINIクーパーS クロスオーバー」
身近なところで個性派といえば、真っ先に思い浮かぶのがMINIではないか。いまさら説明の必要はないが、往年の人気モデルを現代に蘇らせたいまのMINIは、すでに1度のフルモデルチェンジを経て、ますます魅力を増すとともに、ボディバリエーションの追加によってファンを広げている。
「MINIクロスオーバー」は、ハッチバック、コンバーチブル、クラブマンに続く“第四のMINI”。日本以外の市場では「カントリーマン」を名乗るが、ハッチバックにSUVテイストを与えたスタイルは、まさにクロスオーバーの名にふさわしいもの。ちなみに、4ドアボディは、MINIファミリーとしては初の試みである。
クラシックな「Mini」に比べると、現行MINIは一番小さなハッチバックでも大きく思えるが、このクロスオーバーは全長が4mを超え、全高も1550mmと立派な体格だ。遠くから見てもMINIとわかる雰囲気が強く残っているが、ミニと呼ぶには抵抗を感じるサイズである。
今回紹介するのは、MINIクロスオーバーのなかで唯一のフルタイム4WD仕様の「MINIクーパーS クロスオーバー ALL4」。1.6リッターの直4ターボは、最高出力184ps、最大トルク24.5kgm(オーバーブースト時は26.5kgm)のパフォーマンスを誇る。6段MTと6段ATが用意されており、試乗したATモデルの車両本体価格は379万円である。
拡大
|
拡大
|
拡大
|
拡大
|
アスリート系SUV「フォード・クーガ タイタニアム」
フォードのSUVといえば「エクスプローラー」が最もなじみ深いが、クーガにそのマッチョさはみじんも感じられない。ボディサイズも全長×全幅×全高=4445×1850×1715mmと扱いやすいサイズに収まっている。
それでいて、アスリートのような力強さが感じられる“細マッチョ”のスタイリングは、フォードが主張する「キネティック・デザイン」のたまもの。抑揚のあるボディパネルと台形をモチーフとした躍動感のあるデザインが、フォードの未来を予感させる。他のフォード車と違うのは当然のことで、実はこのクーガはヨーロッパ発のSUVである。これを機に再び日本市場に欧州フォードのモデルが復活しないかと期待してしまうのは私だけだろうか?
それはさておき、クーガには200ps、32.6kgmを発生する2.5リッター5気筒「デュラテック」ターボエンジンが搭載される。このパワフルな心臓は、あの「フォーカスST」のエンジンをSUV向けにチューンしたもの。そう聞いただけでわくわくしてくる。これに組み合わされるのがマニュアルモード付きの5段オートマチックトランスミッション。駆動方式はフルタイム4WDで、トルクの配分には、いまやFFベースの4WDには定番となっている第4世代のハルデックスカップリングが用いられている。
ラインナップは、ベースモデルの「トレンド」(335万円)と装備充実の「タイタニアム」(378万円)の2グレード。今回は本革シートや、広大なグラスエリアを誇る「パノラミックルーフ」を備える後者「タイタニアム」を引っ張り出した。
イキのいいハイブリッド「レクサスCT200h“Fスポーツ”」
個性派は、なにも輸入車だけではない。ジャパンブランドで気になるのが、レクサス初のハッチバックモデルである「CT200h」だ。そもそもレクサスというブランド自体、日本の他のブランドにはない特別な雰囲気に包まれているのだが、さらにこのCT200hはコンパクトなボディにレクサスの躍動感が凝縮された印象があり、実際のサイズ(全長×全幅×全高=4320×1765×1450mm)を超える存在感が漂っている。
パワートレインは、いまや日本のトップセラーとなった「トヨタ・プリウス」から譲り受けたハイブリッドシステムだ。CT200hに搭載するにあたっては、シフトパドルやタコメーターを採用するなど、スポーティなドライビングを想定した違いが施されている。さすがにあれだけプリウスが売れると、プリウスとは違う個性のハイブリッドカーを求める人や、走る喜びも手に入れたいと思う人が出てくるのは当然だ。
そんな要望に応えてくれるのが、このCT200hというわけである。なかでもこの“Fスポーツ”は、「LFA」や「IS F」などの走りを受け継ぐスポーティなバージョンである。専用の内外装や215/45R17タイヤ+アルミホイールなど、スポーツドライビング好きの心をくすぐるアイテム満載で、CT200hのなかでの目立ち度は文句なくナンバーワンだ。価格は405万円である。
ひととおりクルマの紹介が済んだところで、後半では走りを中心に3台を比較してみよう。(後編につづく)
(文=生方聡/写真=高橋信宏)
拡大
|
拡大
|
拡大
|
拡大
|

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
ボルボV60ウルトラT6 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】 2026.4.13 1990年代のステーションワゴンブームでトップランナーであったボルボ。その伝統を受け継ぐモデルが「V60」だ。現行型の登場は2018年とベテランの域に達しようとしているが、アップデートされた最新プラグインハイブリッドモデルの印象やいかに。
-
アルファ・ロメオ・トナーレ イブリダ ヴェローチェ(FF/7AT)【試乗記】 2026.4.11 アルファ・ロメオのミドルクラスSUV「トナーレ」がマイナーチェンジ。走りに装備、デザインと、多方面で進化を遂げた最新型に、箱根のワインディングロードで試乗した。“CセグメントSUV”という、最量販マーケットで戦う今どきのアルファの実力を報告する。
-
ホンダ・スーパーONE(FWD)【試乗記】 2026.4.10 ホンダの新たなコンパクト電気自動車「スーパーONE」がまもなく発売。ベースモデルのサイズを拡大しただけでなく、シャシーも徹底的に強化。遊ぶことに真剣に向き合った、実にホンダらしい一台といえるだろう。サーキットでの印象をリポートする。
-
マセラティGT2ストラダーレ(MR/8AT)【試乗記】 2026.4.8 「マセラティGT2ストラダーレ」は公道走行が可能なレーシングカーだ。ただし、いつでもどこでも路面からの突き上げにおびえながら、恐る恐るドライブするのとはちょっと違う。速さだけならほかへどうぞというマセラティの哲学が見え隠れしているのが面白い。
-
ボルボXC60ウルトラT6 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】 2026.4.7 インフォテインメントシステムを中心に内外装がアップデートされた「ボルボXC60」のプラグインハイブリッドモデルに試乗。ボルボの屋台骨を支えるベストセラーSUVの最新ユーザーエクスペリエンスは、どのように進化したのか。その特徴と仕上がりを確かめた。
-
NEW
レクサスIS300h“Fスポーツ”(FR/CVT)【試乗記】
2026.4.15試乗記「レクサスIS」のビッグマイナーチェンジモデルが登場。もはや何度目か分からないほどの改良だが、長年にわたってコツコツとネガをつぶし続けてきただけあって、スポーツセダンとしてひとつの完成形といえるレベルに達している。“Fスポーツ”の仕上がりをリポートする。 -
NEW
第109回:礼賛! 世界のベーシックカー ―でかいタイヤが象徴する“足し算のカーデザイン”に物申す!―
2026.4.15カーデザイン曼荼羅ルーマニアのダチアやインドのマルチ・スズキなど、日本では見かけない世界のベーシックカーに大注目! カーデザインの識者が見いだした、飾り気のない姿に宿る“素のカッコよさ”の源泉とは? 日欧にはびこる足し算のカーデザインに今、警鐘を鳴らす! -
NEW
トヨタとホンダのライバル車が同時期に国内デビュー 新型の「RAV4」と「CR-V」を比べてみる
2026.4.15デイリーコラム「トヨタRAV4」と「ホンダCR-V」の新型(どちらも6代目)の国内での販売がほぼ同時期にスタートした。いずれも売れ筋サイズの最新モデルだけに、どちらにすべきか迷っている人も多いことだろう。それぞれの長所・短所に加えて、最新の納期事情などもリポートする。 -
“マイナーチェンジ”の最大のねらいはどこにある?
2026.4.14あの多田哲哉のクルマQ&A1年または数年ごとに実施される製品改良(マイナーチェンジ)は、どこに重点を置いて実施されるのだろうか? 一般的に、最も大きな変更が加えられるポイントについて、トヨタでさまざまなクルマを開発してきた多田哲哉さんに聞いた。 -
モーガン・スーパースポーツ(FR/8AT)【試乗記】
2026.4.14試乗記職人の手になるスポーツカーづくりを今に伝える、英国の老舗モーガン。その最新モデルがこの「スーパースポーツ」だ。モダンながらひと目でモーガンとわかる造形に、最新のシャシーがかなえるハイレベルな走り。粋人の要望に応える英国製ロードスターを試す。 -
第333回:毛が生えようが、ハゲようが
2026.4.13カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。「ジープ・アベンジャー」に追加設定された4WDモデル「アベンジャー4xeハイブリッド」で夜の首都高に出撃した。ステランティスで広く使われるマイルドハイブリッドパワートレインと4WDの組み合わせやいかに。





























