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ダイハツ・アトレーRS(4WD/CVT)

魂は荷室に宿る 2022.02.19 試乗記 佐野 弘宗 ダイハツの軽ワンボックス「ハイゼット/アトレー」がフルモデルチェンジ。従来型からすべてが新しくなった新型は、どのような進化を遂げ、ライバルに対してどのようなアドバンテージを得たのか? 個人ユースを想定したアトレーに試乗して確かめた。

17年ぶりにすべてを刷新

ダイハツはこの2022年1月20日、アトレーを含む新型ハイゼットシリーズの発売1カ月時点での受注状況を発表した。「ハイゼット カーゴ」の受注台数は約1万3000台で月販目標の2.3倍、同「トラック」は約2万1000台で2.5倍だったそうだ。とくに好調なのがアトレーで、受注は約8000台だが月販目標が1000台と少ないので、対目標では8倍となる。

いずれにしても、軽商用車にはいま追い風が吹いている。ネット通販やデリバリー市場がもともと勢いがあったことに加え、いわずとしれた新型コロナで、軽バンによる小口配達の需要は増えるいっぽうだからだ。同時に、すでに軽バンを使っている法人も人手不足の影響で「1台あたりもっとたくさん積めるクルマを!」と、買い替えに積極的らしい。

ダイハツの軽ワンボックスは、じつに17年ぶりのフルモデルチェンジである。厳密には、先代にあたる「アトレーワゴン」は従来型ハイゼット カーゴより約半年遅れての発売だったので“16年半ぶり”だが、いずれにしても超長寿モデルだった。

そういうこともあって、ハイゼット カーゴとアトレーは、エンジン以外はほぼすべてが新しい。キャブオーバーレイアウトは変わりないが、荷室サイズは長さで55mm、幅で35mm、高さで15mm、それぞれ拡大。これらの数字は、先代では2015年発売の「スズキ・エブリイ」にすべて負けていたのだが、このモデルチェンジで全科目逆転に成功した。

しかもそうしたカタログ値だけでなく、スライドドアの内張りや後席シートベルトによる凹凸をほぼなくし、アレンジ用の荷室ナットも数を倍増させるなど、リアルな積載能力に関するところにも多くの工夫が見られる。リアゲートを開いて観察すれば、フロアの縁は“すりきりいっぱい”どころか“表面張力?”といいたくなるほど、開口部ギリッギリまで伸ばされていて驚く。1mm単位どころか0.5mm単位? ……と思えるほどの、涙ぐましい努力だ。

誕生は1960年と、半世紀以上の歴史を誇るダイハツの軽商用車「ハイゼット」シリーズ。「アトレー」はそのワゴンバージョンにあたり、今回の新型は6世代目のモデルとなる。
誕生は1960年と、半世紀以上の歴史を誇るダイハツの軽商用車「ハイゼット」シリーズ。「アトレー」はそのワゴンバージョンにあたり、今回の新型は6世代目のモデルとなる。拡大
試乗車はオートエアコンやパワードアロックなどを備えた上級グレード「RS」。メーターパネルには速度計だけでなくエンジン回転計やインフォメーションディスプレイ(RSはTFTカラー液晶)も備わる。
試乗車はオートエアコンやパワードアロックなどを備えた上級グレード「RS」。メーターパネルには速度計だけでなくエンジン回転計やインフォメーションディスプレイ(RSはTFTカラー液晶)も備わる。拡大
使いでのある荷室こそこのクルマの本領。「アトレー」は内壁にトリムが付くぶん「ハイゼット」よりせまくなっているが、それでも荷室長×荷室幅×荷室高=1820×1410×1215mm(2人乗車時)という広さを確保。また床面と後席の背面には防汚マットが用いられている。
使いでのある荷室こそこのクルマの本領。「アトレー」は内壁にトリムが付くぶん「ハイゼット」よりせまくなっているが、それでも荷室長×荷室幅×荷室高=1820×1410×1215mm(2人乗車時)という広さを確保。また床面と後席の背面には防汚マットが用いられている。拡大
荷室の床面や側壁、天井には、じつに17個ものユースフルナットを設置。ボルトやフック、L字金具などの取り付けが可能で、純正アクセサリーを含め、さまざまなアイテムで荷室をアレンジできる。
荷室の床面や側壁、天井には、じつに17個ものユースフルナットを設置。ボルトやフック、L字金具などの取り付けが可能で、純正アクセサリーを含め、さまざまなアイテムで荷室をアレンジできる。拡大
ダイハツ アトレー の中古車

5ナンバーから4ナンバーへ

今回の試乗車となったアトレーは、先代同様に、個人ユーザーによる乗用車的な使いかたを想定したモデルとなる。最近話題のアウトドアブームやワーケーションなども追い風のようで、新型アトレーも「第三の居場所。」なるキャッチフレーズを前面に押し出す。

そんな新型アトレーで注目なのは、4ナンバー登録の商用車となったことだ。正式車名がアトレーワゴンだった先代は、その名のとおり5ナンバーだった。このように、個人ユースを想定しつつもあえて4ナンバーとする手法は、現在の軽バンでは「ホンダN-VAN」が先鞭をつけた。

“白ナンバー”の小型商用車は車検が1年ごと(初回は2年)になるなど、個人で使うにはわずらわしいことも多い。しかし、軽商用車の車検は常に2年ごとで、初回(乗用車は3年)以外は軽乗用車とちがいはない。その他の金銭面でも、自動車税などは商用車が安いが、保険は乗用車のほうが安く契約できる場合が多い……などケースバイケースで、とどのつまりは大差なし。ということで、アトレーも4ナンバー化に踏み切った。

4ナンバー登録のデメリットは、リアシートがせまく簡素になってしまうことである。それは、起こした状態の後席空間より荷室のほうが広くなければならない……といった趣旨の規定が商用車(正式には貨物車両という)にはあるからだ。また、耐荷重の大きいトラック用タイヤとホイールが標準装備となるのも商用車特有のクセだが、現在は乗用車用タイヤやホイールに履き替えても問題はない(以前は車検に通らなかった)。

ダイハツ担当氏によれば「スーパーハイトワゴンが普及してからは、アトレーのようなクルマは、後ろに趣味の荷物をたくさん積みたいお客さまが選んでいます。実際、ほとんどが2人乗りまでの使われかたです」とのことで、月販1000台のために専用リアシートを用意するのは非効率という判断なのだろう。

今回のモデルチェンジでは、個人使用を想定したモデルも商用の4ナンバーに登録を変更。それに伴い、車名も「アトレーワゴン」から「アトレー」に変更された。
今回のモデルチェンジでは、個人使用を想定したモデルも商用の4ナンバーに登録を変更。それに伴い、車名も「アトレーワゴン」から「アトレー」に変更された。拡大
座面、背もたれともにいささか偏平な後席。ただし、幅685mm、高さ1190mmという大開口のスライドドアにより、乗降性は良好だ。
座面、背もたれともにいささか偏平な後席。ただし、幅685mm、高さ1190mmという大開口のスライドドアにより、乗降性は良好だ。拡大
基本的には“非常用”というあつかいのリアシートだが、4WD車ではリアヒーターを標準装備とするなど、快適性にも配慮がなされている。
基本的には“非常用”というあつかいのリアシートだが、4WD車ではリアヒーターを標準装備とするなど、快適性にも配慮がなされている。拡大
リアサイドウィンドウに昇降式の開閉機構はないが、換気などに重宝するポップアップ機構が付いている。
リアサイドウィンドウに昇降式の開閉機構はないが、換気などに重宝するポップアップ機構が付いている。拡大

シートを倒せば大人でも寝ころがれる

というわけで、広大な荷室の前方に追いやられるように配置されたリアシートは、はっきりと簡素で平板である。ヒザ前にはまあまあの空間が確保されるものの、キャブオーバーならではのエンジンコンパートメントの壁にツマ先が引っかかって、座るとヒザが鋭角気味になってしまうのがつらい。最低限のヘッドレスト(というか、シートバックエクステンダー?)も用意されているが、それでも身長178cmの筆者には不安の残る高さしかない。

ここが4ナンバーとなった新型アトレーの、よくも悪くも最大の特徴である。そこはやはり大切な人を座らせるような席ではないし、自分自身も座りたくはない。前出担当氏の言葉どおり、新型アトレー(というか、軽商用バンのすべて)はあくまで2人乗りと割り切るべきということだ。

そのかわり、このリアシートは格納時に本領を発揮する。可倒機構が足もとに丸ごと落とし込む“ダイブダウン方式”なのは従来と変わりないが、可倒時のフラット感(?)は進化している。リアシートを収納した荷室長は1820mmで、日本人の大半がゆうゆうと縦にまっすぐ寝ころがれる。

インテリアも、「タント」はともかく「ミラ イース」とはいい勝負といっていいほどには質感が高い。試乗車には巨大(9インチ)ディスプレイオーディオが装備されていてギョッとした。それにしても、印象的な容量を誇るドアポケットや「オーバーヘッドシェルフ(≒棚)」をはじめ、収納は豊富だ。軽乗用車では必須のボックスティッシュホルダーがないのは、出自がお仕事グルマだからだろうか。ちなみにカタログを見ると、オーバーヘッドシェルフ(ディスプレイオーディオ非装着ならダッシュボード中央)がオススメの“ティッシュ置き場”らしい。

デッキサイドトリムにはポケットに加えて上下2本のスリットが備わっており、純正アクセサリーのラゲッジボード(2枚)を通せば、ラックやテーブル、トノカバーとして使うことができる。
デッキサイドトリムにはポケットに加えて上下2本のスリットが備わっており、純正アクセサリーのラゲッジボード(2枚)を通せば、ラックやテーブル、トノカバーとして使うことができる。拡大
上級グレード「RS」では、荷室に12Vのアクセサリーソケットも装備される。
上級グレード「RS」では、荷室に12Vのアクセサリーソケットも装備される。拡大
オプションで用意される9インチのスマホ連携ディスプレイオーディオ。6.8インチのコンパクトなディスプレイオーディオも用意される。
オプションで用意される9インチのスマホ連携ディスプレイオーディオ。6.8インチのコンパクトなディスプレイオーディオも用意される。拡大
収納スペースの充実ぶりもこのクルマの特徴。ドリンクホルダーやドアポケット、ダッシュボードトレーなどに加え、天井にはオーバーヘッドシェルフも備わる。
収納スペースの充実ぶりもこのクルマの特徴。ドリンクホルダーやドアポケット、ダッシュボードトレーなどに加え、天井にはオーバーヘッドシェルフも備わる。拡大

せめぎ合う「DNGA」の恩恵と軽商用車という出自

エンジンは基本的に先代改良型だが、2ペダル変速機が新開発の縦置きCVTとなったのが、技術的には今回最大のトピックである。自然吸気エンジン向けに5段MTも一部残されるものの、ターボエンジンはCVTとの組み合わせのみ。アトレーはターボのみなので、必然的に全車CVTとなる。また、このCVTには同じく新開発の「電子制御式4WD」も用意されており、今回の試乗車もその4WD車だった。

新型アトレーはなにせ17年ぶりのフルモデルチェンジであり、「商用DNGA」と称してスミズミまで新思想で設計されている。そのかいあって、シートの座り心地やステアリングフィールははっきりと改善されているのだが、ドライビングポジションには大きな変化はなく、とくにタイトなペダルまわりにちょっとクセがあるのは否定できなかった。人間工学の改善もDNGAのテーマのひとつのはずだが、いっぽうで宿敵エブリイとの荷室バトルには意地でも負けられない。全長はそのままに荷室長を追求すれば、ドラポジのために寸法が割けないのは当然だろう。

車体の剛性感や操縦安定性、高速での直進性とフラット感は先代とはまるで別物だ。これも17年という歳月とDNGAの恩恵だろう。せっかくなので、アトレーにはちょっと場違いなワインディングロードにも踏み入れてみたが、先代以上に真四角で、見るからにより背高(実際にも全高は15mmほど増えている)でも、ロール感は先代より明らかに小さく、ジワッと安定している。

とはいえ、あくまでキャブオーバーレイアウトにしてリアサスペンションは頑丈さ最優先のリジッドアクスルだ。ガタピシとした低級音がまったく出ないのはさすがだが、乗用車目線で見れば、乗り心地や操縦性としては同社のタント、あるいは同じ軽バンでもFF乗用車ベースのN-VANにおよばない面が多々ある。これもまた事実である。

運転環境については、シートに調整幅220mmのスライド機構や若干のリクライニング機構は備わるものの、ステアリング側にチルトやテレスコピックといった調整機構はない。人によっては、適切なドライビングポジションをとるのに難儀するかもしれない。
運転環境については、シートに調整幅220mmのスライド機構や若干のリクライニング機構は備わるものの、ステアリング側にチルトやテレスコピックといった調整機構はない。人によっては、適切なドライビングポジションをとるのに難儀するかもしれない。拡大
前席の直下に搭載される0.66リッター3気筒ターボエンジン。64PS/5700rpmの最高出力や91N・m/2800rpmの最大トルクは、発生回転数を含めて従来モデルと同じだ。
前席の直下に搭載される0.66リッター3気筒ターボエンジン。64PS/5700rpmの最高出力や91N・m/2800rpmの最大トルクは、発生回転数を含めて従来モデルと同じだ。拡大
リアサスペンションには丈夫さを優先してリジッドアクスルを採用(バネはコイル式)。かぎられた空間に収めるべく、スペアタイヤは斜めにつるされている。
リアサスペンションには丈夫さを優先してリジッドアクスルを採用(バネはコイル式)。かぎられた空間に収めるべく、スペアタイヤは斜めにつるされている。拡大
軽量・高剛性な新しい車両骨格と、それに合わせて設計されたサスペンションが用いられた新型「アトレー」。従来モデルより明確に乗り心地や操縦安定性が向上していた。
軽量・高剛性な新しい車両骨格と、それに合わせて設計されたサスペンションが用いられた新型「アトレー」。従来モデルより明確に乗り心地や操縦安定性が向上していた。拡大

CVTと新型4WDという2つの新機軸

それにしても、新型アトレーが先代や宿敵エブリイと比較しても、はっきり快適といいきれるのは、とにかく静かになったからだ。その最大の功労者はご想像のとおりCVTである。いかに活発に走っても、当然ながらシフトショックはない。高速での100km/hクルーズでも、条件が許せばエンジン回転は3000rpmを大きく下回る。

CVTの恩恵は静粛性だけではない。エンジン自体は5000-6000rpmで明確にトルクを増す特性で、少しピーキーといえなくもない。ただ、アクセルを踏み込むとそのおいしい領域に回転数を張りつけたまま、グイグイ加速してくれるのがCVT本来の魅力である。エンジン単体性能は大きく変わらず、車重は同等グレード比で40kgほど軽くなっているが、実際の走りはそれ以上にパンチが増した。パワーウェイトレシオがほぼ同じ「エブリイワゴン」と比較しても、明確にパワフルだ。さらにCVTとしては微妙な加減速をピタリと決めやすいのも、このクルマの美点といっていい。

新しい4WDは現在主流の油圧多板クラッチ式である。基本は2WDだが、インパネのスイッチで「4WD AUTO」か「4WD LOCK」を選ぶと4WDになる。取扱説明書には「ロックモードは舗装路では絶対に使わないでください。オートモードは通常は後輪駆動で走行しますが、路面状況に応じて4WDに自動的になります」とある。ただ実際に4WD AUTOにすると、乾いた舗装路でも床下からザワザワとした軽めのノイズが聞こえてきて、前軸に伝わるトルクがステアリングの応答からも体感できる。現実にはフルグリップでも4WD状態になっているようだ。

この状態ではワインディングなどでもけっこうはっきり安定感が高まるが、同時にアンダーステアも明確に強まる。交差点のように大舵角をきるシーンでは、失速感とノイズも出る。電子制御オンデマンド型といっても、明確に4WD優先の制御のようで、通常はやはり2WDにしておくのが基本らしい。

燃費性能も改善しており、WLTCモード計測値は、従来モデルの13.4km/リッター(最終モデルの4WD車)から14.7km/リッターに向上した。
燃費性能も改善しており、WLTCモード計測値は、従来モデルの13.4km/リッター(最終モデルの4WD車)から14.7km/リッターに向上した。拡大
センタークラスターに配されたシフトセレクター。後輪駆動をベースとしたキャブオーバー型の軽自動車にCVTが搭載されるのは、これが初のことだ。
センタークラスターに配されたシフトセレクター。後輪駆動をベースとしたキャブオーバー型の軽自動車にCVTが搭載されるのは、これが初のことだ。拡大
ダッシュボードに備わる4WDのスイッチ。CVT仕様の4WD車には前後の駆動力配分を可変制御する電子制御4WDが、「ハイゼット」に設定のあるMT仕様の4WD車には、コンベンショナルなパートタイム4WDが用意される。
ダッシュボードに備わる4WDのスイッチ。CVT仕様の4WD車には前後の駆動力配分を可変制御する電子制御4WDが、「ハイゼット」に設定のあるMT仕様の4WD車には、コンベンショナルなパートタイム4WDが用意される。拡大
駆動方式の切り替えスイッチは、車速が80km/h以下の状態で、アクセルをオフにして操作する必要がある。
駆動方式の切り替えスイッチは、車速が80km/h以下の状態で、アクセルをオフにして操作する必要がある。拡大

荷室を見ればすべてが許せる

いずれにしても、今回はまさにCVTの霊験あらたか……というほかない。筆者はこれまでMT車しか自己所有したことのないMT原理主義者だが、新型アトレーにかぎっては、かりにMTの用意があってもCVTを選ぶと思う。動力性能でも静粛性でも効能は大きい。

そして、先進運転支援システムが一気にトップクラスとなったのもDNGAの恩恵だ。歩行者&夜間対応の自動緊急ブレーキや標識認識機能といった最新のお約束はもちろん、今回の「アトレーRS」ではアダプティブクルーズコントロール(ACC)やレーンキープコントロール(LKC)も標準装備となった。

ACCの加減速マナーが思いのほか上質なのも、エンジン性能をくまなく引き出すCVTの効果が大きいようだ。また、クルマ自体の直進安定性に加えて、LKCの制御もうまいもので、強い横風にでも見舞われなければ、ステアリングに軽く手を添えるだけでレーンをぴたりとキープする。乱暴な運転をしなければ、エンジン音もこれまでにないほど静かである。

それにしても、キャブオーバー型の軽自動車が、ここまで楽しく快適に高速走行できるようになるとは素直に感心する。これで例のペダルまわりが改善されれば、ロングドライブがもっと楽しくなるのに……と思ったら、ACCで走っていればそんなペダル配置も致命的欠点にはならないことに気がついた。

このように、新型アトレーを前にすると、少しばかりの欠点やツッコミどころもあまり気にならなくなるのは、防水マットで覆われた真っ平で広大な荷室空間を目前にすると「自分ならどう使ってやろうか?」と自然とワクワクするからだ。もっとも、これはN-VANやエブリイも含めた軽バンに共通する魔力である。

(文=佐野弘宗/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)

ステレオカメラを用いた新しい予防安全・運転支援システムの採用も新型のトピック。車線維持支援機能やふらつき警報、交通標識の認識機能などが新たに追加された。
ステレオカメラを用いた新しい予防安全・運転支援システムの採用も新型のトピック。車線維持支援機能やふらつき警報、交通標識の認識機能などが新たに追加された。拡大
上級グレード「RS」には前走車追従機能付きクルーズコントロールも搭載。停車まで自動で行う全車速対応型で、渋滞時の疲労軽減にも寄与してくれる。
上級グレード「RS」には前走車追従機能付きクルーズコントロールも搭載。停車まで自動で行う全車速対応型で、渋滞時の疲労軽減にも寄与してくれる。拡大
タイヤサイズは145/80R12。試乗車には横浜ゴムのバン専用低燃費タイヤが装着されていた。
タイヤサイズは145/80R12。試乗車には横浜ゴムのバン専用低燃費タイヤが装着されていた。拡大
さまざまな特長を持つ新型「アトレー」だが、最大の魅力は、今も昔もスクエアなボディーがもたらす巨大な荷室である。このクルマをどう使おうかと想像するだけで、ワクワクする。
さまざまな特長を持つ新型「アトレー」だが、最大の魅力は、今も昔もスクエアなボディーがもたらす巨大な荷室である。このクルマをどう使おうかと想像するだけで、ワクワクする。拡大

テスト車のデータ

ダイハツ・アトレーRS

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3395×1475×1890mm
ホイールベース:2450mm
車重:1020kg
駆動方式:4WD
エンジン:0.66リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:64PS(47kW)/5700rpm
最大トルク:91N・m(9.3kgf・m)/2800rpm
タイヤ:(前)145/80R12 80/78N LT/(後)145/80R12 80/78N LT(ヨコハマ・ジョブRY52)
燃費:14.7km/リッター(WLTCモード)/19.0km/リッター(JC08モード)
価格:182万6000円/テスト車=209万3707円
オプション装備:ボディーカラー<レーザーブルークリスタルシャイン>(2万7500円)/視界補助パック(5万5000円)/9インチスマホ連携ディスプレイオーディオ(8万2500円) ※以下、販売店オプション ETC車載器<エントリーモデル>(1万8095円)/ドライブレコーダー<スタンドアローンモデル>(3万5486円)/オールウェザーマット(1万0626円)/ラゲッジボード(3万8500円)

テスト車の年式:2021年型
テスト開始時の走行距離:1615km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(5)/高速道路(3)/山岳路(2)
テスト距離:291.0km
使用燃料:25.0リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:11.6km/リッター(満タン法)/11.6km/リッター(車載燃費計計測値)

ダイハツ・アトレーRS
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ダイハツ・アトレーRS(4WD/CVT)【試乗記】の画像拡大
 
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佐野 弘宗

佐野 弘宗

自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。

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