ボルボC40リチャージ ツイン(4WD)
人気の秘密がわかった 2022.03.25 試乗記 2030年の全ラインナップEV化を宣言したボルボにとって、ブランド初のEV専用モデル「C40リチャージ」は、その先鋒(せんぽう)たる重要な存在である。408PSの最高出力やフル充電で485kmの航続距離を誇る、北欧製EVの走りやいかに。競争率約6倍の狭き門
すでに募集は終了しているが、ボルボ・カー・ジャパンは2021年11月にC40リチャージの導入を記念して、サブスクリプションキャンペーンを実施した。100台限定のサブスクは、頭金不要、諸費用や保険コミコミで、月額11万円で「C40リチャージ ツイン」(当時のグレード名)が最長36カ月利用できるというもの。しかも、3カ月前に申告すれば、追加料金なしで解約できるという、なんともユーザー思いのプランである。
それだけに応募は575件に上り、競争率約6倍の狭き門になったが、C40リチャージの試乗を終えたいま、「月額11万円なら申し込んでおくんだった……」と後悔している私がいる。もちろん申し込んだとしても、抽選でハズレる可能性のほうが高かったが、それくらいC40リチャージが魅力的に思えたということだ。
そのC40リチャージ、発表当初はツインモーターのC40リチャージ ツインだけのラインナップだったが、2022年3月にシングルモーター仕様のエントリーグレードが追加になった。
これを機に、ツインモーターの4WDは名前を「C40リチャージ アルティメット ツインモーター」に変え、シングルモーターのFWD仕様「C40リチャージ プラス シングルモーター」との2台体制になった。価格はツインモーターが699万円、シングルモーターが599万円である。
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408PSのハイパワーモデル
そうしたラインナップの変更もあって少々ややこしいが、今回試乗したのはC40の導入初期モデルとなるツインモーター仕様のC40リチャージ ツインである。前後2基の電気モーターにより4WDを構成し、最高出力はなんと408PS(300kW)! 最大トルクも660N・mと、ひとクラス上のパフォーマンスを手に入れている。バッテリー容量は78kWhで、一充電走行距離はWLTCモードで485kmを誇る。
全長×全幅×全高=4440×1875×1595mmのボディーサイズは、ガソリンエンジンを積む48Vマイルドハイブリッド車やプラグインハイブリッド車(PHEV)の「XC40」に近いが、全高が65mm低く、クーペのようになだらかに弧を描くルーフを持つC40リチャージは、とてもスタイリッシュに見える。ボディー同色のカバーが施されるフロントグリル部や、強い存在感を放つルーフスポイラーなどにより、XC40とはまったく違う印象のクルマに仕立て上げられている。
一方、C40リチャージのコックピットは、XC40の流れをくむものだが、ダッシュボードの助手席側にスウェーデンのアビスコ国立公園の等高線をイメージした加飾パネルが備わるのが異なるポイントだ。
さらに、写真はおろか、実際に見ても気づかないかもしれないが、ステアリングホイールの表皮が本革から合成素材に変更されているのも新しいところ。ボルボはこのC40リチャージから本革を使用しないレザーフリーインテリアを採用しているのだ。ステアリングホイールを握ってみても、言われなければわからないほど自然な手触りだった。
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スタートボタンがない
そして、XC40と違って、このC40リチャージにはスタートボタンがない。最近のEVではスタートボタンがなく、あっても操作する必要がないというのがトレンドで、このC40リチャージもそんな一台だ。だから、発進までの手順はとてもシンプル。運転席に座り、ブレーキペダルを踏んで、シフトレバーをDまたはRに動かすだけ。ここからアクセルペダルを踏むと、クルマは動き出す。
C40リチャージの場合、“ワンペダルドライブ”の設定があり、オフの場合は走行中にアクセルペダルから足を離したときに回生ブレーキは働かず、また、停止時にブレーキペダルから足を離すとゆっくりと動く“クリープ”が発生する。一方、ワンペダルドライブをオンにするとクリープ走行は行われず、また、走行中にアクセルペダルから足を離すと強力な回生ブレーキが利くようになる。
個人的にはアクセルペダルの踏み加減ひとつで、加速も減速も、またコースティング(惰力走行)も可能なワンペダルドライブが好きなので、機能をオンにして試乗開始。アクセルペダルを軽く踏むだけで、四輪駆動のC40リチャージ ツインは余裕たっぷり、力強く発進する。
EVだけに、アクセルペダルの操作にも素早く反応し、2160kgのボディーを自在に加速できるのはとても痛快だ。さらにアクセルペダルを踏み込むと、思わず「速っ!」と声が出るほど、強烈な加速が全身を襲う。0-100km/h加速は4.7秒をうたうが、その数字どおり、C40リチャージ ツインは俊足の持ち主だった。
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軽快で自然なハンドリング
C40リチャージ ツインの場合、加速時には荷重が増えるリア側のモーターにより多くのトルクを配分することで高いトラクションを確保する。タイヤが前235/45R20、後ろ255/40R20と後輪の幅が広いのもそのためだ。ちなみに、試乗車にはボルボの認証マークが刻まれた「ピレリPゼロ エレクト」というEV/PHEV用タイヤが装着されており、ロードノイズが低く抑えられているのが好印象だった。
500kgと重量のかさむバッテリーを床下に搭載するC40リチャージ ツインでは、クロスオーバースタイルのやや背の高い全高にもかかわらず、走行時の挙動は実に落ち着いており、ロールやピッチングといった気になる動きがきっちりと封じ込まれている。
乗り心地も快適で、高速道路でスピードを上げてもフラットな挙動は保たれ、全高が高めのクルマを運転していることを忘れてしまうほどだ。コーナリングは、前1100kg、後ろ1050kgというほぼ等しい前後重量配分と低重心のおかげで、思いのほか軽快で自然なハンドリングを示し、気持ちよくコーナーを抜けられるのがうれしいところだ。
余裕あるサイズのボディーだけに、後席や荷室には十分なスペースが確保されており、実用性も高いC40リチャージ ツイン。しかもひとクラス上の動力性能が手に入ることを考えると、ライバルがひしめくコンパクトEV市場でも、確固たるポジションを築くに違いない。
(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一)
テスト車のデータ
ボルボC40リチャージ ツイン
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4440×1875×1595mm
ホイールベース:2700mm
車重:2160kg
駆動方式:4WD
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
フロントモーター最高出力:204PS(150kW)/4350-1万3900rpm
フロントモーター最大トルク:330N・m(33.7kgf・m)/0-4350rpm
リアモーター最高出力:204PS(150kW)/4350-1万3900rpm
リアモーター最大トルク:330N・m(33.7kgf・m)/0-4350rpm
システム最高出力:408PS(300kW)
システム最大トルク:660N・m(67.3kgf・m)
タイヤ:(前)235/45R20 100V XL/(後)255/40R20 101V XL(ピレリPゼロ エレクト)
一充電走行距離:485km(WLTCモード)
価格:719万円/テスト車=736万4650円
オプション装備:ボディーカラー<フィヨルドブルーメタリック>(8万5000円) ※以下、販売店オプション ボルボ・ドライブレコーダー<フロント&リアセット>(8万9650円)
テスト車の年式:2022年型
テスト開始時の走行距離:1003km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
消費電力量:--kWh
参考電力消費率:--km/kWh(車載電費計計測値)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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