いよいよ発売! 「日産フェアレディZ」の価格は高いか、安いか、妥当なのか?
2022.05.16 デイリーコラム![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
あのエンジンがあればいい
新型「フェアレディZ」の価格が発表された。524万1500円から696万6300円である。
それぞれのグレードの具体的な装備内容までは発表されていないので、未知数な部分はあるが、それにしてもまさか500万円ちょっとから新型Zが買えるなんて信じられない! 夢じゃないか!? というくらい安い。
まぁさすがに、524万円ちょいの、素の「フェアレディZ」にはあんまりいろんな装備は付いていないのだろう。ホイールはテッチンなのかもしれない。ヘッドランプはハロゲンなのかもしれない。しかしそれでいいじゃないか!! だって、エンジンは上級グレードと同じなんだから!
自動ブレーキなどのADASも、すでに装備が義務化されているから付いているだろう。今日日、まさかエアコンやパワステやパワーウィンドウや集中ドアロックが付いていないことはあるまい。つまり、「必要なものはほとんど付いている」はずだ。
524万円で、最高出力405PSのV6ツインターボを、6段MTや9段ATを介して楽しめるのだ。あのエンジンは、近年乗ったハイパフォーマンス系ガソリンエンジンのなかで出色のデキだった。ただ性能がいいだけじゃない。色気があるのだ!
ドカーンと加速して「うおおおおお!」とコーフンできるのである。ちょっとアクセルを踏み込む程度の日常的な運転でも、ぐぐっと盛り上がるトルクで「ウヒヒヒヒ~!」とニヤニヤできる。カーマニアの夢のエンジンである。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
見た目はもう仕上がっている!
そしてデザインは、『湾岸ミッドナイト』の“悪魔のZ”をほうふつとさせる。つまり「S30」である。いや正確には、ノーマルでS30の最高速仕様っぽくなっている。
私は2021年の新型Z公開時に、隣に置かれたどノーマルのS30を見て、大きな衝撃を受けた。どノーマルってこんなにカッコ悪かったのかぁ! と。トレッドがメチャメチャ狭いし、タイヤとホイールアーチの間隔もガバガバで、まったくもって幻滅だった。初代Zのどノーマルなんて、もはやほとんど存在しないから忘れていたが、あのウルトラカッコいい初代Zも、どノーマルはあんなに情けなかったのか……。
それを思えば、新型Zは最初から悪魔のZみたいに仕上がっている。なにも手を入れる必要はないだろう。ボディーカラーは黄色ばっかり見るが、黒だったら完全に悪魔のZではないだろうか!? 正確には悪魔のZは「ミッドナイトブルー」なんですよね。でもマンガはモノクロなので黒に思えるのです。黒い新型Zは、たぶん悪魔のZだと思います!
それがたったの524万円で買えるのだ。悪魔のZのライバルは“ブラックバード”こと930型「ポルシェ911ターボ」。その中古価格が、いまいくらになってるか知ってますか!? 私もよく知らないけど、2000万円くらいでしょ? 新車の911ターボなんて、ヘタすりゃ3000万円でしょ!? それと比べたらタダみたいなもんじゃないですか!
一方、一番お高いグレード「プロトスペック」の696万6300円というお値段を見ると、「そんなに安くはないなぁ」と感じます。700万円という価格はかなりのものじゃないでしょうか。「スープラ」の直6ターボよりかなり安いけど、スープラはBMWだから、ガチで比較するのはちょっと難しいかも。
でもね、「スープラRZ」のBMW製直6ターボよりも、新型ZのV6ツインターボのほうが色気があって、カーマニア的に面白いと思うのですよ! その他の性能は付け足しみたいなもん。新型Zはスープラに対して、デザインでもエンジンでも圧勝している。それでいて値段はずっと安いのだ! これがお買い得でないはずがないっ! 新型Zは、世界で一番お買い得なハイパワー系スポーツカーではないだろうか!
(文=清水草一/写真=日産自動車、ポルシェ/編集=関 顕也)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
「eビターラ」の発表会で技術統括を直撃! スズキが考えるSDVの機能と未来 2025.10.3 スズキ初の量産電気自動車で、SDVの第1号でもある「eビターラ」がいよいよ登場。彼らは、アフォーダブルで「ちょうどいい」ことを是とする「SDVライト」で、どんな機能を実現しようとしているのか? 発表会の会場で、加藤勝弘技術統括に話を聞いた。
-
フォルクスワーゲンが電気自動車の命名ルールを変更 「ID. 2all」が「ID.ポロ」となる理由 2025.10.2 フォルクスワーゲンが電気自動車(BEV)のニューモデル「ID. 2all」を日本に導入し、その際の車名を「ID.ポロ」に改めると正式にアナウンスした。BEVの車名変更に至った背景と、今後日本に導入されるであろうモデルを予想する。
-
18年の「日産GT-R」はまだひよっこ!? ご長寿のスポーツカーを考える 2025.10.1 2025年夏に最後の一台が工場出荷された「日産GT-R」。モデルライフが18年と聞くと驚くが、実はスポーツカーの世界にはにわかには信じられないほどご長寿のモデルが多数存在している。それらを紹介するとともに、長寿になった理由を検証する。
-
なぜ伝統の名を使うのか? フェラーリの新たな「テスタロッサ」に思うこと 2025.9.29 フェラーリはなぜ、新型のプラグインハイブリッドモデルに、伝説的かつ伝統的な「テスタロッサ」の名前を与えたのか。その背景を、今昔の跳ね馬に詳しいモータージャーナリスト西川 淳が語る。
-
「MSRロードスター12R」が『グランツーリスモ7』に登場! その走りを“リアルドライビングシミュレーター”で体験せよ 2025.9.26 あの「マツダ・ロードスター」のコンプリートカー「MSRロードスター12R」が、リアルドライビングシミュレーター『グランツーリスモ7』に登場! 他業種(?)との積極的な協業により、運転する楽しさとモータースポーツの普及を進める、マツダの最新の取り組みに迫る。
-
NEW
BMW R12 G/S GSスポーツ(6MT)【試乗記】
2025.10.4試乗記ビッグオフのパイオニアであるBMWが世に問うた、フラットツインの新型オフローダー「R12 G/S」。ファンを泣かせるレトロデザインで話題を集める一台だが、いざ走らせれば、オンロードで爽快で、オフロードでは最高に楽しいマシンに仕上がっていた。 -
第848回:全国を巡回中のピンクの「ジープ・ラングラー」 茨城県つくば市でその姿を見た
2025.10.3エディターから一言頭上にアヒルを載せたピンクの「ジープ・ラングラー」が全国を巡る「ピンクラングラーキャラバン 見て、走って、体感しよう!」が2025年12月24日まで開催されている。茨城県つくば市のディーラーにやってきたときの模様をリポートする。 -
ブリヂストンの交通安全啓発イベント「ファミリー交通安全パーク」の会場から
2025.10.3画像・写真ブリヂストンが2025年9月27日、千葉県内のショッピングモールで、交通安全を啓発するイベント「ファミリー交通安全パーク」を開催した。多様な催しでオープン直後からにぎわいをみせた、同イベントの様子を写真で紹介する。 -
「eビターラ」の発表会で技術統括を直撃! スズキが考えるSDVの機能と未来
2025.10.3デイリーコラムスズキ初の量産電気自動車で、SDVの第1号でもある「eビターラ」がいよいよ登場。彼らは、アフォーダブルで「ちょうどいい」ことを是とする「SDVライト」で、どんな機能を実現しようとしているのか? 発表会の会場で、加藤勝弘技術統括に話を聞いた。 -
第847回:走りにも妥協なし ミシュランのオールシーズンタイヤ「クロスクライメート3」を試す
2025.10.3エディターから一言2025年9月に登場したミシュランのオールシーズンタイヤ「クロスクライメート3」と「クロスクライメート3スポーツ」。本格的なウインターシーズンを前に、ウエット路面や雪道での走行性能を引き上げたという全天候型タイヤの実力をクローズドコースで試した。 -
思考するドライバー 山野哲也の“目”――スバル・クロストレック プレミアムS:HEV EX編
2025.10.2webCG Movies山野哲也が今回試乗したのは「スバル・クロストレック プレミアムS:HEV EX」。ブランド初となるフルハイブリッド搭載モデルの走りを、スバルをよく知るレーシングドライバーはどう評価するのか?