フォルクスワーゲン・ポロTSI Rライン(FF/7AT)
いろいろ立派になりました 2022.06.23 試乗記 1975年の初代デビュー以来、世界で1800万台以上が販売されたという「フォルクスワーゲン・ポロ」。その最新モデルがいよいよ日本に上陸した。まずは新しい外観に目を奪われるが、中身の進化もなかなかのものだ。最上級グレードの仕上がりをリポートする。1リッターエンジンに一本化
6代目ポロが日本に上陸したのは、いまから4年余り前の2018年3月のこと。アニキ分の「ゴルフ」と同じ、フォルクスワーゲンのモジュールコンセプト「MQB」を採用。優れたボディー剛性や高い安全性を確保するとともに、3ナンバーサイズのボディーによる快適な居住空間や、コネクテッド機能を搭載する最新のインフォテインメントシステムなどにより、大きく進化したのが注目を浴びた。
そのポロのマイナーチェンジ版が、ヨーロッパでの発表から約1年遅れで日本に登場。内外装の化粧直しに加えて、新世代エンジンの採用や運転支援システムの充実などにより、その魅力を高めたのだという。
最新のラインナップは、エントリーグレードから順に「TSIアクティブベーシック」「TSIアクティブ」「TSIスタイル」「TSI Rライン」と、ゴルフ8などと同様の構成に変わった。そして、従来はTSI Rラインに1.5リッター直列4気筒ターボ、その他に1リッター直列3気筒ターボを搭載していたのに対し、最新版では1リッター直列3気筒ターボに一本化。つまり、現行の4グレードはすべて同じエンジンを搭載し、違いは装備やデザインだけということになったのだ。
ポロにも光るラジエーターグリルを採用
今回試乗したのは、現時点で最上級グレードとなるTSI Rライン。実車を見るのは初めてだが、マイナーチェンジ前に比べてすっきりした……というのがエクステリアの第一印象である。ヘッドライトに内蔵されるLEDデイタイムライトが直線的でシンプルなデザインになり、さらに、ラジエーターグリルの下部を横切るLEDライトストリップがキリッと精悍(せいかん)なイメージを強めている。テールライトも、これまではボディー側だけに配置されていたのが、新型ではその一部がテールゲート側にも設置される2分割型となり、ワイドさを印象づけている。全体的に高級感が増し、いっそのこと“ゴルフミニ”と名乗ってもいいのではないかと思うくらいだ。
一方、インテリアは、液晶メーターがこれまでオプションだったのに対し、最新型ではその仕様を変えた「デジタルコックピットプロ」が標準装着されることになった(TSIアクティブベーシックは「デジタルコックピット」)。エアコンの操作パネルも、「パサート」などの上級モデルに採用されるタッチ式へと変更。個人的には従来のロータリースイッチ式のほうが使いやすいと思うが、見た目のすっきり感はこちらのほうが上。シフトパドル付きのレザーステアリングは、ゴルフとほぼ共通のデザインで、同一車線内全車速運転支援システム「トラベルアシスト」のボタンが加わったのが、ポロの進化を表している。
進化が著しい1リッターエンジン
しかし、新しいポロで最も進化したのは、実は搭載されるエンジンではないだろうか。直列3気筒直噴ターボのガソリンエンジンは、74.5×76.4mmのボア×ストロークや999ccの排気量、95PSの最高出力は以前のままだが、その中身は最新世代へと進化している。「EA211 evo」と呼ばれるこのエンジンは、ミラーサイクル燃焼プロセスとVTG(バリアブルターボジオメトリー)、10.3から11.4へと高められた圧縮比により高効率化が図られるとともに、ガソリンエンジンPMフィルターの採用で環境性能を高めているのだ。
WLTCモード燃費を比較すると、マイナーチェンジ前の16.8km/リッターに対して、新型は17.1km/リッターへと向上。今回はメディア向け試乗会での短時間ドライブだったため、実燃費をチェックするには至らなかったが、エンジンの進化を実感するには十分だった。
走りだしてすぐに感じたのが、静粛性の向上。以前のエンジンは、3気筒特有のノイズやバイブレーションが無視できなかったが、最新版ではそれらがうまく抑え込まれており、さほど気にならなくなっていたのだ。エンジンの特性も、低回転域のレスポンスが向上するとともに、発生するトルクも少し厚みを増した印象。高速道路の合流など、大きな加速を必要とする場面では、2500rpmを超えたあたりからより活発になり、十分な加速をみせてくれる。
軽快さが光るRラインだが……
試乗したTSI Rラインは、専用の前後バンパーや17インチホイールなどを装着することでスポーティーなイメージを強めたグレード。さらに、専用スポーツサスペンションや、ESCを用いたトルクベクタリング機構の「XDS(電子ディファレンシャルロック)」を採用していることもあって、そのハンドリングは実に軽快。ただ、それと引き換えに、乗り心地はやや硬めで、荒れた路面を走行する際にはショックを伝えがちなのが気になった。
その点、16インチタイヤを履き、ノーマルサスペンションが装着されるTSIスタイルは乗り心地がマイルドで、それでいてまずまずのフラットライドを実現しており、個人的にはTSIスタイルの乗り味のほうが好ましいと思った。
細かいところでは、ついにポロでもマトリクスLEDヘッドライトの「IQ.LIGHT」が選べるようになったのは朗報だ。しかも、TSI RラインとTSIスタイルに標準装着となることから、夜間のドライブをより快適にしたいという人にはこの2グレードをお薦めしたい。TSI RラインとTSIスタイルは価格がともに320万円を超え、値ごろ感はないが、その価格に見合う内容を手に入れているというのは確かだと思う。
(文=生方 聡/写真=郡大二郎/編集=藤沢 勝)
テスト車のデータ
フォルクスワーゲン・ポロTSI Rライン
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4085×1750×1450mm
ホイールベース:2550mm
車重:1190kg
駆動方式:FF
エンジン:1リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:95ps(70kW)/5000-5500rpm
最大トルク:175N・m(25.5kgf・m)/1600-3500rpm
タイヤ:(前)215/45R17 91W XL/(後)215/45R17 91W XL(コンチネンタル・コンチスポーツコンタクト5)
燃費:17.1km/リッター(WLTCモード)
価格:329万9000円/テスト車=348万6000円
オプション装備:Discover Proパッケージ(15万4000円) ※以下、販売店オプション フロアマット<テキスタイル>(3万3000円)
テスト車の年式:2022年型
テスト開始時の走行距離:2385km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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