DS 4リヴォリBlueHDi(FF/8AT)
ドイツ車乗りが嫉妬する 2022.06.21 試乗記 世界で最も美しいクルマに選出されたDSオートモビルの新型「DS 4」。Cセグメントのベンチマークといわれる「フォルクスワーゲン・ゴルフ」の最新型に乗る筆者が、DS 4のディーゼル車に試乗し、肌で感じた両モデルの違いを報告する。超プレミアムなコンパクトカー
「世界で最も美しいクルマ」のタイトルを獲得したDS 4。その事実を知らなくても、実車を目の当たりにすれば、他のクルマにはない輝きというか、オーラのようなものを感じることができる。
Cセグメントのベンチマークといわれる「フォルクスワーゲン・ゴルフ」を最近購入した私にとって、このDS 4はあまりにまぶしい。シンプルさが身上のゴルフに対して、DS 4はまさに対極にある存在。もちろん、そのシンプルさを好んでゴルフを手に入れたわけだが、素っ気ないインテリアに満足しているかというとそういうわけではなく、「せめて『アウディA3』くらいの上質さが感じられたら……」とつい思ってしまうことがよくあるのだ。
そんな元祖プレミアムコンパクトのA3の、さらに上を行っているのがDS 4。DSではこのモデルを“プレミアムCセグメント”と位置づけているが、ゴルフ乗りから見たら“超プレミアムコンパクト(Cセグメント)”と言いたいくらいだ。
たとえば、ドアを開けた瞬間に、目に飛び込んでくるダッシュボードのスイッチ。独立した物理スイッチがあるだけでもぜいたくに思えるのに、美しく輝き、さらにその上部をきれいに彩る“クル・ド・パリ”と呼ばれる文様が施されるここだけをとっても、ため息が出てしまう。クル・ド・パリがドアパネルやセンターコンソールなど、運転中に視界に入る各所で繰り返され、いやがうえにも美しく上品な雰囲気が高まる。
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詰めが甘いところも
それでいて実用性にも富んでおり、ダッシュボードの両端ではなく、ドア側に移されたエアコンの吹き出し口は、高い位置に配置されるぶん、前席の乗員が風を受けやすいのがうれしいところ。それ以外にもうらやましい部分はたくさんあるけれど、DS 4の価格が1.5リッターエンジン搭載のゴルフにオプションを追加した価格とさほど変わらないのが、一番のジェラシーかもしれない。
書き出しから少し愚痴っぽくなってしまったが、同じCセグメントでもそのくらいゴルフとは違うDS 4。インテリア以上に強い印象を受けるのが、見る者の視線をくぎ付けにするエクステリアだ。
やや高めとなる1495mmの全高や余裕ある最低地上高のおかげで、ハッチバックというよりもSUVやクロスオーバーに近い感覚だが、4415mmとCセグメントとしては長い全長のおかげで、全体のバランスは良く、均整のとれたプロポーションに仕上がっているのがいい。
あらためて運転席に着くと、ダッシュボードに埋め込まれた「DS IRISシステム」のディスプレイがほぼ真後ろを向いていて、ドライバーからは左端がやや見にくいのがやや気になるところ。ダッシュボードの素材も、くだんのクル・ド・パリで装飾されたパーツと比べてしまうと、少し安っぽいのが惜しいところだ。
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余裕あるディーゼルパワー
そんなDS 4には、ガソリンターボの「PureTech」、ディーゼルターボの「BlueHDi」、さらに、ガソリンターボと電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドシステムの「E-TENSE」が用意されており、今回はお家芸といえるディーゼルエンジン搭載グレードを引っ張り出した。
BlueHDiの直列4気筒ディーゼルターボは、1.5リッターの排気量から130PSの最高出力を発生。この数字はPureTechの1.2リッター直列3気筒ガソリンターボと同じだが、最大トルクではBlueHDiのほうが70N・m大きい300N・mを発生するのが頼もしいところ。これに8段オートマチックトランスミッションが組み合わされ、前輪を駆動。WLTCモードでは21.2km/リッターの低燃費を達成する。
このクラスでは2リッターディーゼルを積むライバルが多く、1.5リッターが組み合わされるDS 4の加速性能を心配したが、すぐに不安は解消された。1000rpmを超えたくらいでも豊かなトルクを発生し、1500rpmを過ぎれば実に活発な印象になるから、Cセグメントとしてはやや大きめのボディーをストレスなく加速させる。余裕あるトルクは4000rpm台半ばまで持続し、街なかから高速道路、さらにワインディングロードまで、気持ちのいいい加速をもたらしてくれる、走りだしてしまえば、ディーゼルエンジン特有のノイズや振動は気にならないレベルで、仕上がりの良さはさすがである。
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心地よいフラットライド
DS 4の乗り心地はほぼ期待どおり。ひとことで表現すると懐が深く、心地よいフラットライドを実現している。うねりのある路面でも、サスペンションがしなやかに縮み、伸びる際にしっかりと動きを抑えてくれるのが実に気持ちがいい。
ただ、低速では路面によって凹凸を拾うことがあり、コツコツと軽いショックがリアから伝わるのが気になることも。このクルマには標準で205/55R19サイズのタイヤが装着されており、個人的にはもう少し小さいインチでもよかったのではないかと思う。
パッケージングに関しては、後席はヘッドルーム、ニールームともに余裕があるものの、爪先が前席下に入らず足が伸ばせなかったり、ラゲッジスペースのフロアと開口部の段差が高く、荷物の出し入れが少ししにくかったりするのが惜しい。
そんなあら探しをしてしまうのは、たぶんゴルフ乗りの嫉妬心からだろう。もちろんそれらはDS 4の魅力をスポイルするものではないので、ご安心を!
(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一)
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テスト車のデータ
DS 4リヴォリBlueHDi
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4415×1830×1495mm
ホイールベース:2680mm
車重:1470kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:130PS(96kW)/3750rpm
最大トルク:300N・m(30.6kgf・m)/1750rpm
タイヤ:(前)205/55R19 97V/(後)205/55R19 97V(ミシュランeプライマシー)
燃費:21.2km/リッター(WLTCモード)
価格:469万円/テスト車=513万1500円
オプション装備:メタリックペイント<ノアールペルラネラ>(7万1500円)/パッケージオプション<助手席パワーシート+フロントシートヒーター&ベンチレーション+ステアリングヒーター+フロントマルチポイントランバーサポート+ハンズフリー電動テールゲート+FOCAL HiFi 14スピーカー>(37万円)
テスト車の年式:2022年型
テスト開始時の走行距離:2170km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(6)/山岳路(2)
テスト距離:370.0km
使用燃料:21.7リッター(軽油)
参考燃費:17.1km/リッター(満タン法)/16.6km/リッター(車載燃費計計測値)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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