アルピーヌA110 S(前編)

2022.08.21 思考するドライバー 山野哲也の“目” 山野 哲也 全日本ジムカーナ選手権で無敵の強さを誇る山野哲也は、2022年は「アルピーヌA110 S」をパートナーに参戦している。A110のどこに引かれて参戦し、その働きぶりはいかなるものなのか。最新モデルをドライブした印象も含めて語ってもらおう。
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不利を補ってなお余りあるポテンシャル

ニッポンのジムカーナマイスターたる山野哲也選手。2022年度は、それまで5年間をともにした「アバルト124スパイダー」に代えて、アルピーヌA110 Sを全日本ジムカーナ選手権で走らせるマシンとして選択した。エントリーするクラスは、2ペダル車を対象として2021年に新設されたJG10クラスである。一般市場において圧倒的な多数を占めるオートマチック車で参戦することで、少しでもジムカーナの裾野を広げたい。そんなマイスターならではの責任を背負っての挑戦である。クルマ好きとしても、競技車両のバラエティーを豊かにする試みにもろ手を挙げて賛成したい。

さて、今回の試乗車は、マイナーチェンジを受けて300PSエンジンを手に入れたアルピーヌA110 S。まずは、ジムカーナマシンとしてのアルピーヌについて聞いてみた。

webCG:現行のアルピーヌA110のパーキングブレーキは電動タイプですから、走行中にハンドブレーキを引いてクルマを旋回させる「サイドターン」ができません。ジムカーナで“必須”と言われるテクニックを使えないのは、ずいぶんと不利な気がするのですが?

山野:そうですね。サイドブレーキを使わないと、例えば180度ターンでは0.1~0.2秒。360度ターンでは、1.2~1.5秒ほど遅くなります。

webCG:それでも勝ち続けている理由は何ですか? 第5戦を終えた時点で、エントリーするたびに優勝トロフィーを得ています(すでに2022年度の年間チャンピオンも獲得し、V22を達成!)。

山野:ひとつは、最近のジムカーナのコースレイアウトがあります。以前よりタイトなターンを求められることが減りました。もうひとつは、サイドターンを使えない不利を補ってなお余りある、アルピーヌA110 Sのポテンシャルの高さでしょう!

 
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