第719回:ドライ/ウエット路面での走りは? グッドイヤーのオールシーズンタイヤ「ベクター4シーズンズGEN-3」を真夏に試す
2022.08.26 エディターから一言 拡大 |
欧州で開発・製造されたグッドイヤーのオールシーズンタイヤ「ベクター4シーズンズ」の第3世代モデル「GEN-3」が上陸した。オールシーズンタイヤの利便性を印象づけた立役者は、いかなる進化を遂げたのか。ウエット路面とドライ路面で走りを確かめた。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
オールシーズンタイヤの上位モデル
サマータイヤと同等のドライ/ウエット性能を持ちながら、雪道も走れるオールラウンドなタイヤとして人気が高まっているのがオールシーズンタイヤだ。ここ数年だけでも、本数ベースにおける販売指数の年平均成長率は10%程度といわれ、今後もオールシーズンタイヤの市場は拡大すると予想されている。
こうしたブームの立役者が、2009年に発売されたグッドイヤーのベクター4シーズンズである。2022年8月にはその最新版となるベクター4シーズンズGEN-3が日本でも発売になった。GEN-3は“Generation 3”、つまり、3代目という意味で、2016年に日本で発売された「ベクター4シーズンズ ハイブリッド」が第2世代にあたる。
グッドイヤーは、ベクター4シーズンズGEN-3をベクター4シーズンズ ハイブリッドの上位モデルと位置づけ、スノー性能やドライ/ウエット性能の向上を図るとともに、静粛性や乗り心地の改善に力を入れたという。SUV向けの「ベクター4シーズンズGEN-3 SUV」もラインナップされている。
突然の雪道でも不安なし
ベクター4シーズンズ ハイブリッド同様、ベクター4シーズンズGEN-3もまた、方向性のある特徴的なV字型パターンを採用。主にセンター部分がスノー性能に寄与し、中央に向かって溝が細くなる「新Vシェイプドトレッド」やトレッドのセンター部分に設けられた大型のサイプが、雪上のグリップを向上させている。
実はベクター4シーズンズGEN-3の発売に先立ち、その雪上性能を試す機会があった。詳しくは『第709回:四季を通じて“安心安全”を提供 「グッドイヤー・ベクター4シーズンズGEN-3」を試す』をご一読いただくとして、ベクター4シーズンズ ハイブリッドをさらに上回るスノー性能により、少なくとも雪上であれば安心して走る・曲がる・止まることができる性能を有しているのが確認できた。
一方、オールシーズンタイヤを使ううえで特に気になるのが、雪上以外での性能である。仮に東京で年に3日間、雪道を走るとして、それは全体の1%に満たない。10日と見積もっても、年間の97%はドライまたはウエットでの走行である。それだけに、スノー以外の性能の善しあしは、オールシーズンタイヤを選ぶうえでは重要なポイントになってくるのだ。
ワンランク上のドライ/ウエットグリップ
そんな疑問に答えるべく、今回の試乗イベントでは、ベクター4シーズンズGEN-3を雪上以外のシーンで試すことができた。
ベクター4シーズンズGEN-3では、トレッド下部のゴム層とショルダーブロックを強化することでタイヤの変形を抑え、ドライ路面でのハンドリング性能を向上。一方、摩耗が進むと溝が広がるデザインにより、ウエット性能が長く維持できるようにしたという。
実際にベクター4シーズンズ ハイブリッドとベクター4シーズンズGEN-3を乗り比べてみると、その進化は明らか。「日産リーフ」を使ったスラロームコースでは、発進からグリップ性能の高さが実感でき、コーナーでもより安定した動きを見せてくれる。少しスピードを上げると、ベクター4シーズンズ ハイブリッドではリアが不安定になったが、ベクター4シーズンズGEN-3ではしっかりとグリップしていたのも大きな違いである。
ウエット路では70km/hからのフルブレーキングを行ったが、ベクター4シーズンズGEN-3はより確実に路面を捉える感触がある。制動距離もベクター4シーズンズ ハイブリッドが約19mだったのに対して、ベクター4シーズンズGEN-3は約18mと1mの差がついた。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
うれしい快適性の向上
個人的に一番興味があったのが、ベクター4シーズンズGEN-3の静粛性と乗り心地。実はかつて愛車にベクター4シーズンズ ハイブリッドを装着していたことがあり、スノー性能に加えて、ドライ/ウエット性能については十分満足していたのだが、コンフォート系のサマータイヤと比べると、ロードノイズやパターンノイズがやや目立ち、また、乗り心地にも粗さがあるのが気になっていたのだ。
試乗では一般道でベクター4シーズンズ ハイブリッドとベクター4シーズンズGEN-3を比較できたが、ベクター4シーズンズ ハイブリッドでは路面とのコンタクトがややザラついていて、舗装によってはタイヤがバタつくような場面があった。
これに対してベクター4シーズンズGEN-3は、乗り心地がマイルドになり、タイヤのしっかりした感触のなかにもしなやかさが認められ、快適さは明確に向上。ロードノイズもよく抑えられており、ベクター4シーズンズGEN-3の進化には驚くばかりだった。
これまでいろいろなオールシーズンタイヤを試してきて、現在は愛車に別ブランドの製品を装着している。今回の好印象を考えれば、次に履き替えるときにはこのベクター4シーズンズGEN-3が最有力候補になりそうだ。
(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
第875回:キモは氷上性能! ダンロップの新しいスタッドレスタイヤ「ウインターマックス アイスプロ」を試す 2026.7.1 違いは氷の上で表れる! ダンロップの新しいスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX ICE-Pro(ウインターマックス アイスプロ)」に、冬の北海道で試乗。氷上性能を徹底的に追求したという新製品の、パフォーマンスの一端に触れた。
-
第874回:自動運転からワイパーまで! 自動車を支えるメガサプライヤー ボッシュのあくなき挑戦 2026.6.27 世界屈指のメガサプライヤー、ボッシュが開発中の新技術を披露! 市街地での高度な運転支援技術に、日本の方言にも対応した対話型AI、サーキット走行のノウハウを教えてくれるコーチング機能等々……興味深いその中身をリポートする。
-
第873回:ウエット路面に強み ミシュランの新タイヤ「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」を試す 2026.6.19 2026年1月29日に導入が発表されたミシュランの新製品「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」。これまでの特徴に加え、低燃費性能や耐摩耗性、ウエットグリップ性能のアップをうたう両モデルの走りを、クローズドコースで確かめた。
-
第872回:「フォレスター」がJNCAPで最高評価を獲得! “安全”に対するスバルの不断の取り組みに迫る 2026.6.6 相対速度100km/hの衝突後でも、普通にドアが開く!? 人気のSUV「スバル・フォレスター」が、日本の自動車アセスメントで最高評価を獲得した。安全なクルマづくりを第一とするスバルの取り組みを、群馬製作所で行われた衝突試験デモの様子とともにリポートする。
-
第871回:今年もグリーンヘルは熱かった! ニュルブルクリンク24時間レース観戦記 2026.5.27 “世界一過酷な草レース”として知られ、今年も波乱が巻き起こったニュルブルクリンク24時間レース。F1王者のフェルスタッペンも参戦するとあって、大いに盛り上がったその様子を、世界を飛び回るモータースポーツカメラマンが臨場感満点でリポートする。
-
NEW
ホンダがコンセプトモデル「アキュラ・ネクセラ ビジョン」を発表 次世代デザインを読み解く
2026.9.3デイリーコラム本田技研工業の米国現地法人アメリカン・ホンダモーターが、アキュラブランドの次世代デザインを示すというコンセプトモデル「ネクセラ ビジョン」を初公開した。バタフライドアを採用するこのスポーツカーは、次世代アキュラの何を表現しているのか。 -
NEW
BMW iX3 50 xDrive Mスポーツ(後編)
2026.9.3あの多田哲哉の自動車放談ワインディングロードで新型「BMW iX3」のステアリングを握った多田哲哉さんは、その走りに感心した様子。どんなところが優れているのか、トヨタのエンジニアの視点で語ってもらおう。 -
NEW
新型「三菱パジェロ」の外装・内装を写真でチェックする
2026.9.2画像・写真5年間のブランクを経て、三菱のフラッグシップSUV「パジェロ」がついに復活! 「グランドカリスマ -泰然自若-」をコンセプトにデザインされた本格クロスカントリーモデルは、どのような姿をしているのか? 内外装の詳細を、写真で紹介する。 -
NEW
復活の決め手はこっくりさん!? 新生「三菱パジェロ」誕生の経緯とその狙い
2026.9.2デイリーコラム5年間の沈黙を経て、ついに登場した新型「三菱パジェロ」。スリーダイヤモンドが誇る荒野のフラッグシップは、いかにして復活を遂げたのか? 開発の経緯や内外装デザインの詳細、パワートレインに見るクルマの“狙い”をリポートする。 -
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。 -
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】
2026.9.2試乗記BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。












