フォルクスワーゲン・ポロTSIスタイル(前編)

2022.09.01 あの多田哲哉の自動車放談 多田 哲哉 トヨタのチーフエンジニアを務めた多田哲哉さんが、最新の「フォルクスワーゲン・ポロ」に試乗。同モデルの開発にかかわる重要人物との思い出を振り返りつつ、その仕上がりを確かめた。
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クルマが売れてももうからない?

最新のポロを目の前にした多田さんが話しはじめたのは、フォルクスワーゲンのクルマづくりについてだった。

「最近のフォルクスワーゲンのクルマづくりには個人的に注目していました。特に先代にあたる『ゴルフ7』は乗ってもいいし、室内の質感も高く、あのクラスでは飛び抜けた存在でした。名車といってもいいくらいだと思います」

「そんないいクルマをつくって、台数もきっちり出ているのに、フォルクスワーゲンはまったくもうかっていなかったそうです。その理由は単純で、クルマづくりにお金をかけすぎていたんですね。もちろんコストのかかったクルマはお客さんにはいいかもしれませんが、商売として利益が出ないと、次のクルマはつくれません。そこでフォルクスワーゲンはどうしたかというと、BMWにいたディースさんを引き抜いたんです」

ここでいうディースさんとはご想像のとおり、2015年にBMWからフォルクスワーゲンに移籍して、2018年にCEO(最高経営責任者)に就任、2022年9月1日には任期を残して退任となったヘルベルト・ディース氏のことである。

多田さんによると「最初はCEOになるという話ではなかったはず」とのことだが、ディーゼルゲート事件などの政治的な動きからCEOとなり、つい先日、またまたおそらく政治的な理由でCEOの座を追われた。こうしたお家騒動はフォルクスワーゲンの十八番(?)でもある。

「ディースさんは私が担当した『GRスープラ』の企画がスタートしたときにBMW側の交渉のリーダーになってくれた人で、当時はBMWの技術担当副社長でした」

 
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