BMW M240i xDriveクーペ(後編)

2022.10.20 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 さまざまな高性能車に乗ってきた谷口信輝に、「本当に素晴らしい」と言わせた「BMW M240i xDriveクーペ」。一体どんなところが秀でているのか、続く後編でもプロの見解を聞いてみよう。
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四輪駆動の恩恵

最新のBMW M240i xDriveクーペに試乗して、路面からの衝撃をしなやかに“いなす”乗り心地のよさを絶賛した谷口信輝。しかし、谷口が認めた「M240iの美点」はこれだけではなかった。いや、以下に述べる“人馬一体感”のほうが、彼にとってはより重要だったことだろう。

「これ、4WDですよね?」

谷口は、まずこの点を確認してから、次のように語り始めた。
「4WD=曲がらないって思っている人がいるみたいだけれど、本当に大切なのはそこじゃなくて、前輪も駆動することで後輪の負担を減らしていることにあるんです」

フリクションサークルのことをご存じの皆さんであればいまさら説明するまでもなく、タイヤのグリップは、横方向と縦方向の力を合成したものが(おおむね)一定になるように作用する。したがってタイヤの縦方向に加わる力を減少できれば、より大きな横グリップを引き出せるのが基本的な原理。そしてRWDとの比較で言えば、4WDは駆動力(つまり縦方向の力)を前輪にも配分することで後輪の負担を軽減し、リアの横グリップを拡大できる。谷口は、この点を指摘したのである。
「多少不整があっても4輪がしつこく路面を捉え続けてくれるので、全然裏切られる感じがしません。これだったら、かなり攻めた走りをしても、ドキドキすることはないでしょうね。超いいと思います」

この言葉とは裏腹に、谷口はこのとき、むしろゆったりとしたスピードで走っていた。それは、この速度域でもM240iが深い満足感をもたらしてくれるからだった。
「僕はね、ただ速いだけじゃなくて、人馬一体になれるクルマが素晴らしいと思っているんです。例えば、ステアリングを切り込んだときにすっとノーズが入っていく。そこから1mmステアリングを切り足したら、ぴったり1mmぶんだけノーズが内側に入っていくクルマが、僕にとっては理想なんです」

 
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