ホンダ・シビック タイプR(前編)
2023.03.30 谷口信輝の新車試乗 フルモデルチェンジで第6世代となった、ホンダ伝統の高性能モデル「シビック タイプR」。その走りはどう進化したのか、レーシングドライバー谷口信輝が峠道で確かめた。走り屋が完全に楽しめる
生産が受注に追いつかないほどの大好評を博している新型シビック タイプRに谷口信輝が試乗したのは、気温が2℃ほどしかない2月のとある日。箱根の一部道路にはチェーン規制も発令されていたほどだから、路面が冷え切っていたことは言うまでもないだろう。
「タイプRが履いているミシュランの『パイロットスポーツ4 S』は、いわゆる走り系のタイヤなので、冷えているときと温まってきてからの、性能の差が激しいですね」
上り坂の道を発進するとき、軽くホイールスピンが起きそうな気配を敏感に感じ取った谷口は、即座にそう指摘した。
「しかも、このエンジンは低回転域からもレスポンスよくパワーが出てくるので、この状況だと完全にタイヤが負けてしまっていますね」
ただし、谷口がタイヤの温度を意図的に上げようとするテクニックを駆使したおかげで、間もなくパイロットスポーツ4 Sは本来の性能を発揮し始めた。
「いやあ、この新型タイプRは走り方向への振り幅がすごく大きいですね。おかげで、走り屋が完全に楽しめるクルマに仕上がっていると思います」
その理由を、谷口は次のように説明してくれた。
「まあ、足まわりの設定も、どちらかといえば硬めですよね。いや、どちらかじゃなくて、はっきりと硬め。ダンパーの利きが強いうえに、リバウンド側の減衰もかなり硬めだから、やっぱり乗り心地は硬いですよ。いまはコンフォートモードだけど、もう、これで十分。スポーツモードもあるけれど、これはサーキットをSタイヤ(サーキット走行を重視したタイヤのカテゴリー)で走るとき用といってもいいくらい。ましてや、+Rモードなんて、いったいどこで使うんだろうという感じです」
ただし、それは足まわりが硬いことを非難しているのではなく、むしろ谷口は「走り屋にとって素晴らしいクルマ」と高く評価しているようだった。
「そう、このままで僕は全然大丈夫。あえて言えば、いまのコンフォートよりもさらにソフトなモードがあってもいいけれど、それを除けば、今回のタイプR、僕は文句のつけどころがないと思っています。もう、ベタ褒めですよ」
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