インドの5ドアにはあるのに日本の「ジムニー」に“赤”がない不思議
2023.08.23 デイリーコラム「ハスラー」や「アルト」にはあるのに
ついに発売されて各地で話題沸騰の「ジムニー5ドア」。
……といっても発売されたのは取りあえずインドのみで、スズキ広報によると日本に関してはお約束の「検討中」とのこと。きっと日本での発売に向けて水面下でかなり動いていると信じたいところだが……なかなか口が堅いようで。
そんなジムニー5ドアに関して、ネット界隈(かいわい)で「なぜだ!」と盛り上がっているネタのひとつがボディーカラーだ。
何を隠そう日本向けのジムニーには「赤」がない。しかし、インド向けには日本にはない「赤」が用意されている。この赤は「シズリングレッド」という色で、ジムニー5ドアで初採用とのこと。落ち着いた赤でなかなかいい色じゃないでしょうか。
どうして、日本のジムニーにはない「赤」がインドの5ドアにあるのか? 新色である必要はないけれど、日本にだって赤いジムニーが欲しいという人はいるはずだ。少なくとも筆者は欲しい。
まず考えられるのは、日本向けのジムニーを生産している湖西工場に赤を塗る準備がないからということ。……と思って調べてみたら、同じ工場で生産する「ハスラー」や「アルト」、そして「ワゴンR」にはしっかり赤がある。「フェニックスレッドパール」でインド向けジムニーとは異なる色だけど、これを塗ってくれれば問題なしだ。
というわけで、工場では赤が塗れるはずなのに、どうしてジムニーには赤がないのか?
欲しければ声を上げよう
その理由をスズキ広報部に聞いてみた!
「ジムニーは新型になったときに『色にも性能を』という考えを取り入れました。黄色などの目立つ色には、林業などの人が山で道から外れて崖下に落ちたとか、遭難したとかいう場合に発見されやすいという機能があるし、深緑などのダークな色はハンターなどが獲物に発見されにくいという機能がある。国内向けジムニーの開発時には赤も候補に入っていたでしょうけれど、性能に結びつかないので採用されなかったと思われます」とのこと。
なるほど。「色にも性能」ですか。
ちなみにインドの5ドアに赤があるのは「現地の好みなどもある」ようです。
とはいえ、がっくり肩を落とすのはまだ早い。広報スタッフが「弊社は市場の声に耳を傾けて製品化することが少なくない」と補足するからだ。
例えば先代アルトは、「ターボRS」がデビューした後に「MTで乗りたい」という声に応えて(本当に予定がなかった)「ワークス」を追加したし、「ソリオ」に昨年追加された「フルハイブリッド」は(現行モデルには予定がなかったが)市場からのリクエストを受けて追加したもの。
ジムニーの赤だって、市場から求める声が大きければ追加されないとは限らないのだ。
スズキのラインは頑張ってます
ということは、アレですよね。赤いボディーだけじゃなく5ドアだって……?
ただ、スズキ広報によると日本導入にあたっては「まずは軽の3ドアの長い納車待ちを解消しないと」というスタンスに変わりはないそうだ。軽のジムニーでいえば、生産台数は当初の予定だった1万5000台/年から現在はラインの改修なども実施して3万8500台/年にまで拡大。なんと2.5倍に引き上げて目いっぱい頑張っているものの、「ありがたいことに納車待ちの列に新たに並ぶ人が多く、なかなか解消できない状況」だという。
先日発表された「日産フェアレディZ NISMO」は、長い納車待ちとなっている標準車のフェアレディZを発注済みの人で、「NISMOにオーダー変更したい」と希望する人にのみ販売される。同様に、まずはジムニーを納車待ちの人に「いまなら5ドアにも変更できますよ」と声をかけるところから販売をスタートすればいいのではないかと思う。
ところで、「ジムニーは色にも性能が必要」とのことだが、赤に関しては「山岳地帯の郵便車に最適だし、消防車にも活用できる」というのはいかがだろうか。
それでも足りないのなら「動物愛護団体のクレームを受けてトナカイにソリを引かせられなくなったサンタクロースがソリの代わりに乗ることだってできる。これも大事な性能」と社内プレゼンすればバッチリじゃないだろうか。
(文=工藤貴宏/写真=マルチスズキ、スズキ/編集=藤沢 勝)

工藤 貴宏
物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。
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