ポルシェ718スパイダーRS【海外試乗記】
フェスに行くよりイカしてる 2023.09.12 アウトビルトジャパン 「ポルシェ718ボクスター/ケイマン」世代の最終ステージ。最後の4リッター自然吸気を搭載し、500PSの最高出力を放つオープンボクサー。夏、太陽、祝福のとき……。ポルシェは「718スパイダーRS」で、ひとつの歴史に終止符を打つのか。※この記事は「AUTO BILD JAPAN Web」より転載したものです。
6気筒ボクサーは「911 GT3」から
フェスとかに行ったとき、土砂降りになったことはないだろうか。薄い防水シート以外には、身を隠すものがなにもないことがよくある。ドライブ中にそんなシーンにまみえたとき、718スパイダーRSでは2つの選択肢がある。停車して薄い緊急用防水シートを手繰り寄せるか。アクセルを踏み込んで、雨のなかを突っ切るか。後者のほうが断然楽しい。
このクルマの喜びの源は、ドライバーの真後ろにある4リッター6気筒ボクサーだ。「GTS」や「GT4」に搭載されているユニットと混同してはならないが、排気量のわずかな違いがレーシングエンジンであることを裏づけている。そう、ポルシェは「911 GT3カップ」用のパワーユニットをスパイダーRSに採用しているのだ。しかしそれは、市販の「GT3」用エンジンがカップカーにも搭載されているからにほかならない。
助手席後方のサイドに2つの“サウンドジェネレーター”を備えた吸気ダクトがあるのは、「718ケイマンGT4 RS」からわかっている。これは、ミドエンジンのスポーツカーにパワーユニットを180°回転させて搭載させなければならなかったことに起因する。タイミングチェーン駆動と吸気口がドライバーの耳のすぐそばにある。スロットルバルブの動きまで聞こえてきそうなほどだ。
このエンジンは、4000rpmあたりでまさに吸い込まれるような音色を奏で始める。ここでRSは、必要であれば、あるいはドライバーがその気になれば、瞬時にダッシュする。7000rpmを超えるとスピードもエキゾーストノートもさらにブーストがかかり、8400rpmで最高出力の500PSを発生。リミッターは9000rpmで作動する。
RSがシフトアップをドライバーに要求する。ギアボックスのセットアップはGT4 RSと同じで、「可能な限り短くした」と開発者のひとりは言う。スピードメーターによれば、1速は73km/hまで、2速は111km/hまで速度が上がる。
練習すれば1分でトップをかけられる
いずれにせよ、デュアルクラッチトランスミッションはパドル操作に対して正確かつスピーディーにその仕事をこなす。さらに変速時間を切り詰めるために、スポーツモードにする必要を感じなかった。スポーツモードに関するこの印象は他の箇所でも同様で、アダプティブスポーツサスペンションとフラップ式エキゾーストについては、前者はダイナミックセッティングでのカントリーロードで落ち着きのないそぶりを見せ、スポーツサウンドは人工的にすぎると感じた。一方で、ノーマルでのスタッカートはグラミー賞に値する。
ルーフをちょっと見てみよう。冒頭で言ったように、フェス用の防水シートだ。いや、手で固定する必要はないが、ポルシェはキャノピーを設置した状態での最高速度を200km/hと推奨している。それ以上でも飛び去ることはないが、バタバタがますます心配になる。そのため、トップスピードの308km/hはホロを下ろした状態でしか出せない。
ホロを窓枠に引っかけて固定し、巻き上げ、2本のピンをロールバーに差し込み、ワイヤロープを引っかけてテンションをかけ、2本のコウモリの耳を巨大なリアリッドのテンショナーに引っかけて全体をロックする。複雑そうに聞こえるが、少し練習すれば1分もかからずにできる。またもし雨が降ってきたら、初代「タルガ」と同じように、背面を密閉してルーフにターポリンファスナーで留めるリアパネルが追加されている。
ただし、RSは水の浸入を完全には防げないため、洗車機には入れられない。ちなみにGT3エンジンとそのエアボックスが高すぎるため、通常のスパイダーのルーフは取り付けられず、再設計が必要だった。
ボクスターに20万ユーロ? 問題ない
価格はGT4 RSとまったく同じ15万5575ユーロ(約2450万円)からで、最もパワフルなスパイダーで制約を受けるのは、納車までの時間だけだ。もしあなたが購入費用を持っていて、ディーラーにまだ在庫があり、素早く行動すれば、コンフィギュレーターに飛び込むことができる。フルパッケージ、つまり「ヴァイザッハパッケージ」(1万1966ユーロ=約190万円)、鍛造マグネシウムホイール(1万4875ユーロ=約235万円)、セラミックブレーキ(7914ユーロ=約125万円)を含めて注文すれば、RSはすぐに20万ユーロ(約3160万円)の大台に近づくだろう。
さらに、自分の好きな色を組み合わせられる「カラーオブユアチョイスプラス」を注文すれば、塗装だけで2万7382ユーロ(約430万円)の追加となる。その金額でフェスティバルのチケットはたくさん手に入るが、これほど素晴らしいサウンドのものはない。
結論
スパイダーRSは、GT4 RSの意欲的なバージョンである。なぜなら、オープン時のサウンドはさらに素晴らしく、ドライバーの思考を読み取るかのようにステアリングに反応し、ドライバーは二度と降りたくなくなるからだ。
(Text=Alexander Bernt/Photos=Hersteller)
記事提供:AUTO BILD JAPAN Web(アウトビルトジャパン)
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