第271回:パリピアバルト500e
2023.11.13 カーマニア人間国宝への道「フィアット500e」よりもっと上白石萌歌
担当サクライ君からメールが届いた。
「来週『アバルト500e』にお乗りになりますか」
「乗る乗る~!」
私は「フィアット500e」が大好きだ。なにが好きかって、あの上品でかわいい形が大好きだ。EVはいまのところ趣味ではないが、恋は障害が大きいほど燃える。あの上品でかわいいスタイルのためなら死ねる! いや充電できる! その500eのグレードアップ版であるアバルト500eが気にならないはずはない。
くしくもそのメールの前日、私はテレビを見ていて、大いなる衝撃を受けていた。500eのように上品でかわいらしい女性を発見したのである。
「この女性はいったい誰!?」
私はNHKしか見ないため、世の中をあまり知らない。特に芸能界についてはまったく知らない。その女性も初めて見たが、上品でかわいらしい丸顔で、大変好みのタイプだった。
スマホで検索したところ、その女性は「上白石萌歌」という方だった。あれが上白石さんか! 名字だけはうっすら存じ上げていたが、あんなに上品でかわいらしい丸顔の方だったとは知らなかった。
うわさによれば歌も大変うまいという。ついでにお姉さまもそっくりなお顔で同じ職業に就かれていると知り、衝撃は二乗になった。
こうして私は、紅白でPerfumeを見て以来15年ぶりくらいに女性アイドルにときめいた。
アバルト500eは、500eよりもっと上白石萌歌なのかもしれない。私は指折り数えてその夜を待った。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
アバルトは歌を歌うか
「お待たせしました」
サクライ君は、音もなくやってきた。
アバルト500eは、見た目はノーマルの500eとほぼ同じだが、上白石萌歌さん同様、歌がうまいと聞いている。ノーマルの500eは歌を歌わないので、そこがポイントになりそうだ。
まずは助手席で歌を拝聴しようと思ったが、サクライ君から意外な報告があった。
サクライ:実は「レコードモンツァ」のエキゾーストノートを忠実に再現したという触れ込みのサウンドジェネレーター、スイッチが見つけられないんです。
オレ:そうなの!? ひょっとして付いてないのかな。
サクライ:かもしれません。
オレ:イタ車だから、付け忘れたってこともあるよね。昔、「アルファ156」の広報車に、間違ってディーゼルのタコメーターが付いてたことあったし。
サクライ:かもですね。
助手席に乗って発進だ。さすがアバルト、乗り心地が硬い。ガソリン車の「アバルト595エッセエッセ」ほどではないが、相当に足まわりが締め上げられている。癒やし系の萌歌さんのイメージからは遠い。
首都高代々木PAで運転を交代しても、印象は同じだった。加速は500eより鋭いが、足まわりの固さが60代にはこたえる。相変わらず歌も歌わない。
オレ:う~ん、これならノーマルの500eのほうが好きだなぁ。
サクライ:さいですか。
オレ:オレさ、この間上白石萌歌って人を発見したんだよ。すごく上品でかわいいね! あの人って500eに似てない?
サクライ:タイプ的には近いかもしれません。
オレ:お姉さんも歌手なんだってね! ビックリしたよ!
サクライ:500e姉妹ですね。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
車外に放たれるレコードモンツァ
それにしても、上白石萌歌さんが芸能界入りしたのは10歳の時だという。私のところに彼女の情報が届くまで、13年かかったことになる。「ルネッサ~ンス」というギャグが私のところに届くのにも10年くらいかかったので順当か。
というような感じで、アバルト500eの試乗は、上白石姉妹の話題を除けば淡泊に終了した。ハイライトは、目の前にいた「マークX」が実は覆面パトで、それを左側から追い越した「マセラティ・レヴァンテ」が赤色灯を回され、捕まりそうになったことくらいだ。ドラマチック首都高。
翌日。再びサクライ君からメールが届いた。
「音の出し方、わかりました! これから伺いますから、ちょっとお聞きになりませんか?」
「聞く聞く~!」
アバルト500eのサウンドジェネレーター。それは、驚くべきことに車内ではなく、車外の車体後方にスピーカーが設置されており、外に向かって「バオン! バオン!」とアバルトのダミ声を発した。
オレ:えええええ~~~~~っ! 外に向かって電子音を出すクルマなんて初めて~!
サクライ:でしょう!?
オレ:でもこれだったら、「アバルト695トリブート131」のほうがよかったなぁ。ギア付いてたし。
サクライ:そうですか。同じ音を出すように頑張ったみたいですけど。
オレ:確かにソックリだけどさ。
サクライ:ところで上白石萌歌さんですが、今、『パリピ孔明』というドラマに出演してますよ。すっごく面白いから見てください。
私は『パリピ孔明』を見た。テレビドラマを見たのは、大河ドラマを除けば20年ぶりくらいだったが、50年くらい前から三国志ファンなのでとても面白かった。萌歌さんもかわいかった。これもアバルト500eのおかげだ。ありがたくて涙が出る。
(文=清水草一/写真=清水草一、webCG/編集=櫻井健一)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
第343回:おやじ、涅槃で待つ 2026.8.31 清水草一の話題の連載。ちまたでの評判がよく、売れ行き好調の新型「日産キックス」に試乗した。その出来はカーマニアをも満足させる評判どおりのもので、新車購入のきっかけにもなった。え? 購入したのはキックスではない?
-
第342回:どうしてこんなに高いんですか 2026.8.17 清水草一の話題の連載。BYDが日本の軽自動車市場に向けて独自開発した電気自動車「ラッコ」が上陸した。早速、愛車「ダイハツ・タント」の後継として検討すべく、近所のディーラーで試乗することに。果たしてその印象は?
-
第341回:「スカイアクティブZ」は大丈夫か 2026.8.3 清水草一の話題の連載。夜の首都高に新型「マツダCX-5」で出撃した。マイルドハイブリッドのパワートレインと進化したシャシーが織りなす走りを確かめつつ、ディーゼルエンジンがラインナップから消えた3代目CX-5について考えた。
-
第340回:一にエンジン、二にカッコ 2026.7.20 清水草一の話題の連載。マツダ渾身(こんしん)のラージ商品群を応援するカーマニアのひとりとして、「CX-60」と「CX-80」の動向は常に気になっている。3列シートSUV、CX-80の最新モデルにあらためて試乗して感じたこととは?
-
第339回:駆けぬけるヨロコビは安くない 2026.7.6 清水草一の話題の連載。いつもの首都高で試乗した「BMW 120d Mスポーツ」の価格が540万円ってマジか! と思っていたら、本国ではなんと4万1750ユーロ(邦貨約770万円)⁉ 安かったころ、もっと小さかったころのBMWに思いをはせた。
-
NEW
新型「三菱パジェロ」の外装・内装を写真でチェックする
2026.9.2画像・写真5年間のブランクを経て、三菱のフラッグシップSUV「パジェロ」がついに復活! 「グランドカリスマ -泰然自若-」をコンセプトにデザインされた本格クロスカントリーモデルは、どのような姿をしているのか? 内外装の詳細を、写真で紹介する。 -
NEW
復活の決め手はこっくりさん!? 新生「三菱パジェロ」誕生の経緯とその狙い
2026.9.2デイリーコラム5年間の沈黙を経て、ついに登場した新型「三菱パジェロ」。スリーダイヤモンドが誇る荒野のフラッグシップは、いかにして復活を遂げたのか? 開発の経緯や内外装デザインの詳細、パワートレインに見るクルマの“狙い”をリポートする。 -
NEW
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。 -
NEW
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】
2026.9.2試乗記BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。 -
スポーツカーに未来はあるか?
2026.9.1あの多田哲哉のクルマQ&A年々、開発環境が厳しくなるといわれるスポーツカーは、この先も存在しうるのか? トヨタのエンジニアとしてさまざまなスポーツカーを開発してきた多田哲哉さんに“未来のスポーツカー像”を聞いた。 -
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】
2026.9.1試乗記2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。










































