2024年に登場する3列シートSUV「マツダCX-80」への期待と不安
2023.12.28 デイリーコラム 拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
ラージ商品群のフラッグシップSUVが登場
マツダが推進するラージ商品群の第2弾モデルとして2024年、新型3列シートSUV「CX-80」が発売される。その詳細はいまだつまびらかにされていないが、現在ある程度わかっていることをベースにCX-80の姿を予想するとともに、大きな期待と少々の不安をここに表明しておきたい。
現在販売中の「CX-60」と新しいCX-80との根本的な違いは、シートの列数とボディーサイズだ。CX-60が全長4740mm×全幅1890mm×全高1685mmの2列シート車であるのに対し、CX-80は3列のシートを備える最大8人乗りの大柄なSUV。そしてボディーサイズは、米国で2023年4月に発売された3列シートSUV「CX-90」と全長&全高は同じで、全幅のみナローになると予想されている。
CX-80の全幅がCX-60と同一になると仮定し、ボディーサイズを日本での表記にあてはめれば、全長5100mm×全幅1890mm×全高1735mmとなる。CX-60より360mm長く、50mm高いそのシェイプは、ホイールベースも(CX-90と同一であれば)CX-60より250mm長いということもあって、すべての座席における快適性は十分以上なはず。そして前身である「CX-8」でも十分な居住スペースを有していた3列目は、より快適な心持ちで座れる場所になるだろう。
“CX-80のワイドボディー版”といえるCX-90が採用しているパワーユニットは、48Vマイルドハイブリッドを組み合わせた新開発の3.3リッター直6ガソリンターボエンジンと、2.5リッター直4ガソリンエンジンをベースとするプラグインハイブリッドシステム「e-SKYACTIV PHEV」。このうち3.3リッター直6ガソリンターボは、ラージ商品群のために新開発されたユニットではあるものの、日本仕様のCX-60には未搭載だ。
今後発売されるCX-80に搭載されるパワーユニットは、現在のCX-60に搭載されているうちの2.5リッター直4自然吸気を除く3種類。すなわち3.3リッター直6ディーゼルターボおよびそのマイルドハイブリッド版と、2.5リッター直4ベースのプラグインハイブリッドになるだろう。そして、CX-90に搭載された3.3リッター直6ガソリンターボも加えた計4種類になると予想する。というか、期待する。トランスミッションはCX-60と同じ、そしてCX-90とも同一のトルコンレス8段ATになるだろう。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
乗り心地は改善されたのか?
エクステリアデザインは「CX-60をそのままストレッチした感じ」になるもようで、インテリアもCX-80のワイド版であるCX-90の北米仕様とおおむね同様になるはず。つまり、メーターに12.3インチの大画面液晶ディスプレイを採用しつつ、「日本の美意識を表現した」というしゃれた上質な意匠および素材が用いられることはほぼ間違いない。
というかマツダ車の「デザイン」に関しては、いまさら不安などあろうはずもない。どうせ──というのも妙な言い方だが、どうせイイに決まっているのだ。
例えばCX-60のやや骨ばったニュアンスのエクステリアデザインに対して「個人的な好き嫌い」というのはあるだろう。だが好みを度外視して極力客観的に見るならば、それはプレーンでシンプルな線と面により「美」と「力」を見事に表現した、高次元なデザインであると言わざるを得ないのだ。そしてインテリアデザインに関しては、これはもうほぼ満場一致で「おしゃれ! お上手!」とほめそやすしかない。近年のマツダデザインとはそういうものであり、そこに「批判」や「不安」の余地はない。あるのは「好みの問題」だけだ。
だが好みの問題だけで済ますことができないのが「乗り心地」である。CX-60で酷評された、そして筆者自身もとあるメディアでハッキリと酷評した「乗り心地の極端な悪さ」は、CX-80においてはどうなっているのだろうか?
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
ある意味最高の3列シートSUV?
試乗車もまだ存在していないCX-80ゆえに断定的なことは言えないが、北米で行われた「CX-90の試乗会」に参加したジャーナリスト陣のCX-90に対する評価から類推するのであれば、CX-80の乗り心地は「大丈夫!」ということになりそうだ。
同じくラージ商品群向けの新開発プラットフォームを採用しているCX-90の乗り心地は「硬めではあるものの、不快な突き上げのようなものは感じない」というのが、おおむね共通する評価であるもよう。新型プラットフォームのセッティングにおいてマツダの開発陣がやっと“勘どころ”をつかんだのか、それともロングホイールベース化の恩恵か、はたまた米国仕様のCX-90に履かれていたというオールシーズンタイヤが絶妙にマッチした結果なのかはわからない。だがいずれにせよ結論として日本仕様のCX-80は、CX-60において顕著だった「内臓が痛くなるような猛烈な突き上げ感」はないかたちで登場してくるものと思われる。
そして、もしも以上の見解(推測)のとおりで2024年にマツダCX-80が登場してきたならば──つまり十分なサイズがあって、3列目も広くて、内外装デザインは上質で、走りにはマツダならではの気持ちよさが宿っていて、しかしCX-60のように極悪な乗り心地ではないのだとしたら──それはもう「ある意味最高の3列シートSUVなのではないか?」と考えるほかない。
乗り心地の部分において「……とはいえ勝負はゲタを履くまでわからない」という類いの不安は少しだけ残るものの、それは大きなものではない。たぶん大丈夫なのではないかと思う。勘だが。
それゆえ名車CX-8以上にすてきな3列シートSUVが2024年に誕生することを、筆者は大いに期待している。
(文=玉川ニコ/写真=マツダ/編集=櫻井健一)

玉川 ニコ
自動車ライター。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、自動車出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。愛車は「スバル・レヴォーグSTI Sport R EX Black Interior Selection」。
-
プジョーが「ターボ100」を発表 電動化をうたう一方で進めていた新エンジン開発の背景とは?NEW 2026.5.14 電動化を強力に推進するその陰で、しっかりとエンジンの開発を継続していたプジョー。姿を現した新たな1.2リッター直3ターボエンジン「ターボ100」の特徴を確かめながら、プジョーのパワーユニット戦略をあらためて分析する。
-
企画から開発までを一気通貫で レクサス&GRの開発現場「トヨタ・テクニカルセンター下山」の設備群を見学 2026.5.13 トヨタ本社の北方に位置する「トヨタ・テクニカルセンター下山」はレクサスとGRの一大開発拠点だ。ここで鍛えて開発された「レクサスTZ」の世界初披露のタイミングで、一部のメディアに内部が公開された。その様子をリポートする。
-
ベテランも若者も大興奮!? まだ見ぬ次期「日産GT-R」はきっとこうなる! 2026.5.11 日産自動車のイヴァン・エスピノーサCEOは、2026年4月14日に開催された長期ビジョン発表会において「将来的に新型『GT-R』を投入する」と明言した。それは一体どんなクルマになるのか、これまでの情報から推測し得る将来像について語ろう。
-
新型「スカイライン」はこうなる! 各発表情報から日産の伝統的セダンの未来を探る 2026.5.8 日産が、正式にその存在を明らかにした新型「スカイライン」。1957年からの歴史を誇り、熱心なファンを抱える日産伝統のスポーツセダンは、次期型でいかなる姿となるのか? 日産が発表したさまざまな情報をもとに、その未来像を考察した。
-
世界遺産・高野山で大型電動バス「BYD K8」の営業運行がスタート その狙いとは? 2026.5.7 和歌山の南海りんかんバスが、世界遺産・高野山でBYDの大型電動バス「K8」の運行を開始した。現地にPHEV「BYDシーライオン6」で向かい、実際に高野山を巡るルートで電動バスに乗車しながら観光地における電動バスの役割を考えた。
-
NEW
第289回:最強の格闘家は破壊されるクルマに自分を重ねた 『スマッシング・マシーン』
2026.5.14読んでますカー、観てますカードウェイン・ジョンソンが映画化を熱望した伝説の格闘家マーク・ケアーの栄光と没落の人生を描く。東京ドームで行われた総合格闘技イベント、PRIDEグランプリ2000を完全再現! -
NEW
第961回:海賊エンツォ・フェラーリ 敵に取り囲まれる
2026.5.14マッキナ あらモーダ!F1における、フェラーリとイギリスのコンストラクターの戦いにフォーカス。「トリノ自動車博物館」でスタートした企画展「ドレイクの敵たち—エンツォ・フェラーリと英国のチーム」を、イタリア在住のコラムニスト、大矢アキオがリポートする。 -
NEW
プジョーが「ターボ100」を発表 電動化をうたう一方で進めていた新エンジン開発の背景とは?
2026.5.14デイリーコラム電動化を強力に推進するその陰で、しっかりとエンジンの開発を継続していたプジョー。姿を現した新たな1.2リッター直3ターボエンジン「ターボ100」の特徴を確かめながら、プジョーのパワーユニット戦略をあらためて分析する。 -
NEW
三菱デリカD:5 P(後編)
2026.5.14あの多田哲哉の自動車放談改良を重ねつつ長年にわたって現役を続けている「三菱デリカD:5」。その商品としての最大の魅力はどこにあるのだろうか? トヨタ、そして三菱のOBでもあるエンジニア、多田哲哉さんが試乗を通して語る。 -
アストンマーティンDBX S(4WD/9AT)
2026.5.13試乗記英国の老舗、アストンマーティンのハイパフォーマンスSUV「DBX」がさらに進化。名前も新たに「DBX S」となって登場した。シャシーを煮詰め、最高出力を727PSに高めるなどの手が加えられたその走りを、クローズドコースで確かめた。 -
企画から開発までを一気通貫で レクサス&GRの開発現場「トヨタ・テクニカルセンター下山」の設備群を見学
2026.5.13デイリーコラムトヨタ本社の北方に位置する「トヨタ・テクニカルセンター下山」はレクサスとGRの一大開発拠点だ。ここで鍛えて開発された「レクサスTZ」の世界初披露のタイミングで、一部のメディアに内部が公開された。その様子をリポートする。









































