日産ジューク(FF/4AT+2AT)【海外試乗記】
見かけによらず 2024.05.23 アウトビルトジャパン 2010年にデビューした「日産ジューク」は、個性的なデザインが目を引くモデルであり、新鮮なコンパクトクロスオーバーのひとつだった。では、その後継モデルは改良を経てどんなクルマになったのか? 試乗した印象を報告しよう。※この記事は「AUTO BILD JAPAN Web」より転載したものです。
エクステリア:生意気なイメージがポイント
最新型ジュークがまとう新色「アイコニックイエロー」は、2010年から2019年までの初代モデルに使われていたかつてのイエローよりも明るく見える。
もちろん、ジュークのボディーカラーはイエローだけではない。日産によれば、今回のマイナーチェンジでは、ブラックとホワイトにも新色を用意したという。オプションでブラック、レッド、シルバーのコントラストルーフも用意されている。ニューデザインの19インチホイールも注目のアイテムだ。
ハイブリッドモデルのラゲッジコンパートメント容量は354リッターで、1リッターガソリンターボエンジン搭載車はさらに68リッター多くなる。
![]() |
インテリア:徹底的に見直されている
インテリアは大幅にアップデートされている。グローブボックスやセンターアームレストの容量は拡大され、全方位の視界を提供するパーキングカメラは0.3メガピクセルから1.3メガピクセルへと高解像度化を実現。新しい「N-Sport」ラインには、ヘッドレスト一体型シートにスピーカーが内蔵されているが、調整可能なランバーサポートは備わっていない。
最新のジュークは、より大型な車種からインフォテインメントシステムを借用している。フルHD解像度の12.3インチスクリーンがセンターに備わり、スマートフォンをワイヤレスでミラーリングし、より敏感に反応する。タッチ操作だけでなく、例えば、市町村名・番地方式に従った音声による住所入力にも、きめ細かく反応する。
運転支援システムの操作は、ドライバー用ディスプレイ(メーターパネル)を介して行う。いいアイデアだ。速度警告システムや車線逸脱警告、アテンションアシストなどは、ステアリングホイールの左側スポーク上を2回クリックするだけで解除できる。
エンジンと足まわり:経済性を優先しすぎ?
パワーユニットとシャシーに関しては、ほとんど何も変わっていない。日産はハイブリッドシステムのソフトウエアをわずかに変更したと主張している。システム総出力143PSというスペックは控えめで、日産は平均の燃費値をリッターあたり21.2kmであるとしている。
このシステムには、最高出力95PSの1.6リッター4気筒自然吸気エンジンと同48PSのモーターが組み合わされており、さらにギアボックス内にもう1つ電動モーターを搭載する。システム全体はルノーのもので、「クリオ ハイブリッド」にも採用されている。不思議なことに、ルノーはこのトランスミッションについて「F1からの技術的フィードバックがある」と宣伝しているが、全負荷状態でのギアチェンジのタイムラグは、日常ユースにおいてはわずらわしい。
この観点からすると、最高出力114PSのベーシックなガソリンエンジン車も悪くない選択かもしれない。価格は2万4790ユーロ(約420万円)からと安く、さらに1800ユーロ(約30万円)でデュアルクラッチギアボックスも注文できる。マニュアルトランスミッション仕様のガソリンエンジン車に対して、ハイブリッド車の2つの心臓には4700ユーロ(約80万円)の追加費用がかかっていることになる。
結論
視覚的には、ジュークは若々しくてポップだが、パワートレインに関しては、経済性を追求しすぎている感がある。新型のハイブリッドシステムとしては、もっと生き生きとしたドライブトレインが望ましい。2019年までトップエンドに置かれていた、最高出力218PSの「ジュークNISMO」を思い起こすといいだろう。
(Text=Jonas Uhlig/Photos=Nissan Deutschland GmbH)

AUTO BILD 編集部
世界最大級のクルマ情報サイトAUTO BILDの日本版。いち早い新車情報。高品質なオリジナル動画ビデオ満載。チューニングカー、ネオクラシックなど世界のクルマ情報は「アウトビルトジャパン」でゲット!
-
【ニュース】高性能を誇るBMWのラグジュアリーエステート「M5ツーリング」が復活! その魅力とは? 2024.9.6 高性能サルーン新型「BMW M5」に続き、そのワゴンバージョンたる新型「M5ツーリング」が登場。ユーティリティーからスリルまで幅広いニーズをパーフェクトに満たす“スーパーワゴン”とは、どんなクルマなのか?
-
MINIクーパーSE(FWD)【海外試乗記】 2024.8.21 電気自動車でも内燃機関車でも、常に「クーパー」と呼ばれるようになった新型MINIのハッチバック。価格にデザイン、パワーユニット、装備、そしてドライビングテストリポートと、新しくなったMINIクーパーの全情報をお届けする!
-
スズキ・スイフト(FF/5MT)【海外試乗記】 2024.8.20 世界で900万台以上が販売されてきた大人気モデル「スズキ・スイフト」。7代目となる新型は、海外でどのように評価されているのか? これまでの成功をさらに発展させることを目指し、スズキが投入した小さな巨人に、『AUTO BILD』のスタッフが試乗した。
-
スマート#1ピュア(RWD)/#1ブラバス(4WD)【海外試乗記】 2024.8.20 続々とラインナップを拡大している、スマートブランドのフル電動SUV「スマート#1」とはどんなクルマなのか? その価格とデザインからパワーユニット、イクイップメント、試乗した印象まで、すべての情報をお届けしよう。
-
【ニュース】電動ルノー・トゥインゴの最新情報 2024.8.15 ルノーの電気自動車(BEV)を手がける新会社アンペアが、2025年にコンパクトBEVとして「トゥインゴ」を復活させる。初代トゥインゴを想起させるデザインや価格、そしてパワーユニットまで、現時点でのすべての情報をお届けする。
-
NEW
第846回:氷上性能にさらなる磨きをかけた横浜ゴムの最新スタッドレスタイヤ「アイスガード8」を試す
2025.10.1エディターから一言横浜ゴムが2025年9月に発売した新型スタッドレスタイヤ「アイスガード8」は、冬用タイヤの新技術コンセプト「冬テック」を用いた氷上性能の向上が注目のポイント。革新的と紹介されるその実力を、ひと足先に冬の北海道で確かめた。 -
NEW
メルセデス・ベンツGLE450d 4MATICスポーツ コア(ISG)(4WD/9AT)【試乗記】
2025.10.1試乗記「メルセデス・ベンツGLE」の3リッターディーゼルモデルに、仕様を吟味して価格を抑えた新グレード「GLE450d 4MATICスポーツ コア」が登場。お値段1379万円の“お値打ち仕様”に納得感はあるか? 実車に触れ、他のグレードと比較して考えた。 -
NEW
第86回:激論! IAAモビリティー(前編) ―メルセデス・ベンツとBMWが示した未来のカーデザインに物申す―
2025.10.1カーデザイン曼荼羅ドイツで開催された、欧州最大規模の自動車ショー「IAAモビリティー2025」。そこで示された未来の自動車のカタチを、壇上を飾るニューモデルやコンセプトカーの数々を、私たちはどう受け止めればいいのか? 有識者と、欧州カーデザインの今とこれからを考えた。 -
NEW
18年の「日産GT-R」はまだひよっこ!? ご長寿のスポーツカーを考える
2025.10.1デイリーコラム2025年夏に最後の一台が工場出荷された「日産GT-R」。モデルライフが18年と聞くと驚くが、実はスポーツカーの世界にはにわかには信じられないほどご長寿のモデルが多数存在している。それらを紹介するとともに、長寿になった理由を検証する。 -
NEW
数字が車名になっているクルマ特集
2025.10.1日刊!名車列伝過去のクルマを振り返ると、しゃれたペットネームではなく、数字を車名に採用しているモデルがたくさんあります。今月は、さまざまなメーカー/ブランドの“数字車名車”を日替わりで紹介します。 -
カタログ燃費と実燃費に差が出てしまうのはなぜか?
2025.9.30あの多田哲哉のクルマQ&Aカタログに記載されているクルマの燃費と、実際に公道を運転した際の燃費とでは、前者のほうが“いい値”になることが多い。このような差は、どうして生じてしまうのか? 元トヨタのエンジニアである多田哲哉さんに聞いた。