トヨタ・ハイラックスFCEV プロトタイプ(RWD)【海外試乗記】
ミライのピックアップトラック 2024.07.23 アウトビルトジャパン 燃料電池がピックアップトラックをクリーンなクルマにする。トヨタは「ハイラックス」に「ミライ」の燃料電池を搭載した。プロトタイプながらドライブがかなった、水素由来のパワーで動くピックアップトラックの試乗インプレッションをお届けする。※この記事は「AUTO BILD JAPAN Web」より転載したものです。
トヨタ・ハイラックスを運転したことがあるだろうか? もしなければ、信じてほしい。燃料電池とモータードライブを後付けしても、ハイラックスであることに変わりはない。ハイラックスのままだ。何もかもが鈍く、硬い。トヨタのピックアップは、クルマであることを望んでさえいない。しかし、1tの積み荷を運ぶことができる。商用車のようだが、昔ながらの全輪駆動、短いオフロードリダクション、ロック可能なリアアクスル、そして23cmの最低地上高のおかげで水深70cmでも走破できる。ただし、今回試乗した燃料電池車版は少々事情が異なる。
ミライの燃料電池を搭載
水素タンクの容量は十分で、容量2.6kgのタンクが3つ、ラダーフレームのサイドメンバーの間に収まっている。これで航続距離は500km~600kmになるはずだ。
イギリスで10台のプロトタイプを製造
乾燥重量はディーゼル車より約100kg重いだけで、燃料補給にかかる時間はわずか3分だ。イギリスにあるトヨタのバーナストン工場でつくられた10台のプロトタイプは後輪のみを駆動するもので、四輪駆動はない。しかし、トヨタのエンジニアによれば、フロントアクスルに電動モーターを追加すれば、簡単に対応できるという。
オフロードリダクションとロック可能なリアアクスルも後に導入される予定だ。「プロトタイプは、既存のものをベースに素早くつくりたかったのです」と、ブリュッセルの開発エンジニア、ヨアヒム・デ・ブーバー氏は言う。トヨタの燃料電池の第3世代は2026年ごろに登場する予定で、必要なスペースは4分の1になり、通常のオフロード走行補助装置の設置が容易になる。
ストークオントレント近郊の商用車メーカー、JCBの試験場では、プロトタイプが緩い斜面を可能な限り素早く駆け上がっていく。内燃機関版ピックアップと比べてバランスのとれた重量配分が利点で、重いハイブリッドバッテリーはキャブの後壁の後ろに収まっている。
ディーゼルバージョンよりわずかに重い
比較のために直前に運転したディーゼルのハイラックスよりわずかに重いが、水素ピックアップはより軽快な印象だ。もちろん、事実上の電気自動車であり、最大トルクは300N・mと地味だが、すぐに使える。アクセルを踏み込むと、このテクノロジーは「ミーン!」という漫画『ロードランナー』のキャラクターをほうふつとさせる短い音で反応し、その後リニアに速度を上げ、一定速度になるとほとんど無音になる。
182PSの最高出力は十分すぎるほどで、モンスターバッテリーの重量を背負う必要はない。砂地や新雪、泥の上では、「ジムニー」や「パンダ4×4」が重いオフローダーよりも優れていることが多いのはそのためだ。
渡河水深能力は40cm
シリーズの他のモデルと同様、水素ハイラックスにも鋼鉄製のアンダーライドガードが装備され、岩場や石、ケーブルをむしり取るような荒れた植物から床下を守っている。最低地上高は23cmから19cmに縮小されているが、プロダクト版ではさらに改善されるはずだ。この事実上の電気自動車でディーゼルと同じ水深70cmを達成するには、技術のカプセル化が必要だ。プロトタイプは、40cmの水深での最初のテストをクリアした。
クルマはすでに信頼できるものになっているが、量産開始の時期はまだ決まっていない。未解決の問題は、水素ステーションはドイツ全土で85カ所しかないということだ。ハイラックスはミライと同じく700バールで水素を貯蔵するが、商用車では350バールが標準だ。
(Text=Rolf Klein/Photos=Toyota)

AUTO BILD 編集部
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