BYDシール<RWD>(後編)

2024.12.26 あの多田哲哉の自動車放談 多田 哲哉 車両開発のプロである多田哲哉さんをして「すごい」と言わしめた「BYDシール」。一方、急成長を遂げたEV専業ブランドの製品には、気になったところもあるようで……。今のBYDに求められるものとは何か?
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「BYDらしさ」とは?

BYDシールの価格とクオリティーの両立、そして大画面のインフォテインメントシステムを使いこなす技術などを見て、「少なくともEVだけの世界で比較すると、日本車は周回遅れどころか、2周は遅れています」と語る多田さんだが、そんなBYDに残された最大の課題は乗り味だという。

「別の機会に4WDにも乗りましたが、今回の試乗車は2WD(RWD)で、乗り味は2WDのほうがいいです。ただ、それは積極的に優れているというより、違和感が小さいという意味です」

「4WDでは前後の駆動配分など、テストドライバーがコントロールしなければならない要素が増えるからでもあるでしょう。いずれにしても、BYDには優秀なテストドライバーがまだ不在なのかな……という感があります」

トヨタで「86」や「GRスープラ」など、数々のスポーツカーをつくってきた多田さんは言う。

「クルマには、トヨタらしい、ホンダらしい、あるいはメルセデスらしいと、メーカーごとに、乗り味に個性があります。例えば、ハンドルを切った時のクルマの動きの理想は、完全な線形=リニアな関係であることですが、現実には、絶対にそうはなりません。ハンドルを微小に切った時にどれくらい動かすのかという部分に、メーカーの個性が出るわけです」

「それはブレーキも同じで、ペダルを踏んでガツンといきなり利かせるメーカーもあれば、最初は不感帯になっているメーカーもあります。アクセルもしかり。ハンドル、ブレーキ、アクセルの3つの非線形の組み合わせやバランスによって、おのおののメーカーらしい乗り味というのが決まってきます」

 
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