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【スペック】全長×全幅×全高=3900×1695×1525mm/ホイールベース=2500mm/車重=1130kg/駆動方式=FF/1.3リッター 直4SOHC8バルブ(88ps/5800rpm、12.3kgm/4500rpm)、モーター(14ps/1500rpm、8.0kgm/1000rpm)/価格=172万円(テスト車=201万6500円/HDDインターナビシステム+インターナビプレミアムクラブ=26万5000円/車体色プレミアムホワイトパール=3万1500円)

ホンダ・フィットハイブリッド スマートセレクション(FF/CVT)【試乗記】

フィット“ハイグレード” 2010.10.22 試乗記 近藤 俊関 顕也 ホンダ・フィットハイブリッド スマートセレクション(FF/CVT)
……201万6500円

ホンダの売れっ子コンパクト「フィット」に、モーター付きのハイブリッドバージョンが登場。で、普通のフィットと、どう違う? 『webCG』のコンドーと関がチェックしてみた。
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地味すぎる?

関(以下「せ」):ハイブリッドのスポーツカー「CR-Z」が出たと思ったら、今度は「フィット」のハイブリッドバージョン。ホンダ、ハイブリッド攻勢です。
コンドー(以下「コ」):その名も、「フィットハイブリッド」! ……って、そのまんまやがな。

せ:いまや「フィット」は、ホンダ車の3割近い売り上げを占めるそうですよ。ちまたで注目のハイブリッドシステムをそんな売れっ子に持たせるとは、勝負に出ましたね。
コ:でも、現行型の2代目「フィット」が出てからもう3年たつんやろ? その気になれば、「インサイト」や「CR-Z」より先に出せてたようなもんやけど。
せ:実際いまの「フィット」は、ハイブリッドシステムの搭載を前提に設計されてます。とりあえずは、先進感のあるハイブリッド専用車に先を譲っておいて――
コ:世間でのハイブリッド人気がハッキリしたから、「フィット」にもお鉢が回ってきたわけやな。
せ:もともと売れてる実用車を、いきなりエコカーのイメージで染めたくなかったという思いもあったようですけど。

コ:満を持しての割には、ファミリーのマイナーチェンジの一環やろ。なんかこう、特別感がないような……。
せ:見た目も、ノーマルとほとんど変わりません。せいぜいバッジとグリルくらい。ヘッドランプが青いのも、ボディカラーが白じゃないと、気付きにくい。
コ:金ピカやらスケルトンにせえとは言わへんけど、せめてエアロパーツなんかの演出はあってもよかったん違うん。
せ:専用のエアロパーツは、じつは車体の裏側に付いてます。アンダーフロアをフラットにして、燃費向上につなげてるんです。

コ:インテリアも、ほとんど間違い探しのレベルやなぁ。さすがにモーターのパワーメーターやらエコゲージやら、ハイブリッド特有の計器もあるけど、デザインはいまじゃ見慣れたもん。あ、テレビCMでも言うてるけど、「バッテリー、どこに隠した?」
せ:定番ですが、荷室のフロアをめくったところ。もともとアンダーボックスが確保されてた場所だから好都合だったんでしょうけど、床面もしっかり20mmほど上がってしまいました。
コ:そんなん、定規で測りでもせえへんかったら気い付かへんて。バッテリーの冷却管を苦労して取り回したり、見えない努力もしてるみたいやね。

せ:そのかいあって、ノーマルがもつ美点も変わることなく備わってるんですよ。広くてフラットになる荷室とか、チップアップできるリアシートとか。これがなきゃ、「フィット」で出した意味がない。
コ:肝心なのは、乗ってから。ホンマに“勝負グルマ”なんやったら、走りはノーマルと違ててもらわな!

2010年10月8日に発売された「フィットハイブリッド」。専用デザインのグリルや、クリアブルーのランプ類、メッキのリアガーニッシュがノーマル・フィットとの識別点だ。
2010年10月8日に発売された「フィットハイブリッド」。専用デザインのグリルや、クリアブルーのランプ類、メッキのリアガーニッシュがノーマル・フィットとの識別点だ。 拡大
インストゥルメントパネルの色がガンメタリックからシャンパンメタリックに変わる以外は、さほどノーマルと変わらない印象のインテリア。
インストゥルメントパネルの色がガンメタリックからシャンパンメタリックに変わる以外は、さほどノーマルと変わらない印象のインテリア。 拡大
照明をブルーからグリーンに変えることで“エコドライブ度”を知らせるメーター。右側には、ハイブリッドモデルならではのパワーメーターも備わる。ちなみに、ガソリンモデルのメーターはオレンジ色。
照明をブルーからグリーンに変えることで“エコドライブ度”を知らせるメーター。右側には、ハイブリッドモデルならではのパワーメーターも備わる。ちなみに、ガソリンモデルのメーターはオレンジ色。 拡大
背の高い荷物を積む際の「トールモード」(写真)など、多彩なシートアレンジが自慢の「ウルトラシート」は、ハイブリッドモデルにも継承される。
背の高い荷物を積む際の「トールモード」(写真)など、多彩なシートアレンジが自慢の「ウルトラシート」は、ハイブリッドモデルにも継承される。 拡大
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「インサイト」と同じパワーユニットがギュッと詰まったエンジンルーム。
「インサイト」と同じパワーユニットがギュッと詰まったエンジンルーム。 拡大

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「フィットハイブリッド」の足まわりは、低燃費タイヤの採用を受けて、専用設計となっている。ボディ側にも、リアサスペンション取り付け部を強化するなどの工夫が施される。
「フィットハイブリッド」の足まわりは、低燃費タイヤの採用を受けて、専用設計となっている。ボディ側にも、リアサスペンション取り付け部を強化するなどの工夫が施される。 拡大

縁の下のハイブリッド

コ:あ〜、始動するとエンジンかかってしまうで。いきなり普通のクルマっぽい! 最初はモーターだけで行ってくれると、いかにもハイブリッドな感じでうれしいんやけどなぁ。
せ:エンジンは常に回ってますからね。それをモーターがサポートする、「インサイト」と同じシステムです。1.3リッターのガソリンエンジン+IMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)。

コ:ピックアップはすごくイイ! まるでデカいエンジン載せてるみたいや。1.5どころか……。
せ:1.8リッターくらいの余裕がある。システム全体の最高出力(98ps)はファミリーで一番小さいけれど、最大トルクは、1.5リッターモデルもしのぐ17.0kgm! 道理で。

コ:でも実際ベーシックな1.3リッターモデルと「よーい、ドン!」したら、あんまり差はつかへんらしい。120kgくらい重いのがネックやろ。
せ:運転してて、重いだなんて感じませんけどね。むしろ、そのおかげか、突き上げ感もあまりなくて乗り心地はファミリーで一番快適ですよ。

コ:アイドリングストップも自然やね。ハイブリッドシステムもすっかりこなれてきて、完全に黒子に徹してる気がするな。
せ:「プリウス」なんかの未来感になじめない人には、歓迎されるでしょうね。これで燃費がいいときたら、もういいことずくめじゃないですか。
コ:成績表によれば、30.0km/リッター(10・15モード値)。1.3リッターのガソリンモデルは24.5km/リッター。2割以上ええ数字や。

せ:あと、音。「フィット」に乗るたび気になってた、加速時の「ジャーッ!」ってメカニカルノイズが聞こえてこない。妙なくらい静かです。
コ:エンジニアが、「そこらじゅうに防音材を盛った」て言うてはったで。「ハイブリッド=静かなクルマ」いうのが、一般的な消費者イメージやからな。高級仕様の「15X」と同じ遮音性を持たせたそうや。窓ガラスも、普通のフィットより厚くなってるらしい。

写真右は、エンジン、CVT、エアコンを統合制御して燃料の消費を抑える「ECON」モードの選択ボタン。標準で備わる。
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せ:ステアリングフィールも、しっとり落ち着いてます。いままでフィットは、ふらふらと軽すぎじゃないかって思うこともありましたが。
コ:パワーステアリングの操舵(そうだ)感は、ハイブリッドだけやなくて、「フィット」全体がマイチェンで変わってるんやて。

せ:全ての方向で、上級のフィットですね。「フィットハイブリッド」あらため「フィットハイグレード」。外観でカッコつけてないのも、なんだか逆にカッコよく見えてきたなぁ。実家の「フィット」も買い替えたいなぁ。

今回のテスト車「スマートセレクション」は、写真の巨大サンルーフ「スカイルーフ」もオプションで選択できる。
今回のテスト車「スマートセレクション」は、写真の巨大サンルーフ「スカイルーフ」もオプションで選択できる。 拡大

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「フィットハイブリッド」の価格帯は、159万円から210万円まで。エコカー減税の対象となり、自動車取得税と重量税が全額免除される。
「フィットハイブリッド」の価格帯は、159万円から210万円まで。エコカー減税の対象となり、自動車取得税と重量税が全額免除される。 拡大

ホンダらしいイイ仕事

コ:そこで気になるのが、値段やねん。スタート価格の159万円って、どうなんやろか?
せ:1.3リッターガソリンモデルのなかで一番装備が近い「13G Fパッケージ」が129万円ですから、ちょうど30万円高。細かく見ると、ハイブリッド専用装備のほかにも、ステアリングホイールの調節機構とか、小物入れの違いもあるから……。

コ:まぁ差額は、20万円強ってとこやろね。どれだけ走ったらチャラになるのん?
せ:走り方にもよりますけど、ホンダ社内では10万キロ以上という試算もあるみたいですね。

コ:そんなに!? せやかて、元取ろ思て走り回るのも本末転倒のような。
せ:元から高めの上級グレードだと思えばいいのでしょう。「フィットハイブリッド」の走りと乗り心地は、それに値するものだし、価格差が縮まるだけ、もうけものじゃないですか? 
コ:そういえば、レクサスとかBMWとかも、ハイブリッドモデルはプレミアムな位置付けやったね。
せ:でも、「フィットハイブリッド」は159万円から買える。

コ:となると、うかうかしてられへんのは、身内の「インサイト」や。燃費値も同じやし、車形も同じ5ドアハッチバックやし。
せ:ユーザーの選択肢が以前より増えただけだと、ホンダの開発陣は楽観視しているみたいですよ。4割がセカンドカーになる「フィット」は選び方も違いますし。

コ:「トヨタ・プリウス」が道を切り開いてから、より大きく高級なクルマを中心に広がってきたハイブリッドやけれど、今回の「フィットハイブリッド」をきっかけに、下のクラスでも普及が進みそうや。
せ:スーパーカブとか汎用製品でも知られるホンダらしい仕事。開発コンセプトの「みんなのハイブリッド」とは、よく言ったもんです。

「フィットハイブリッド」誕生と同タイミングで、現行型「フィット」ファミリーもマイナーチェンジ。拡大各グレードそれぞれの個性が強められた。
写真左から、スポーティな「RS」、「ハイブリッド」、高級感がウリの「15X」、そしてベーシックな「13G」。
「フィットハイブリッド」誕生と同タイミングで、現行型「フィット」ファミリーもマイナーチェンジ。各グレードそれぞれの個性が強められた。
写真左から、スポーティな「RS」、「ハイブリッド」、高級感がウリの「15X」、そしてベーシックな「13G」。
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コ:そんな「フィットハイブリッド」に強いて言うなら、マニュアルトランスミッションでも乗ってみたいな。「CR-Z」にはあるんやから。
せ:シリーズのマイナーチェンジで、1.5リッターの「フィット RS」も6段MTになりましたからね。いっそのこと、そっちを選ぶ手もありますけど?

コ:せやけど、燃費も捨てがたいねん! ライバルメーカーは消極的やし、ホンダは「みんなのハイブリッド」で「MTのハイブリッド」。こちらもひとつ、どうでしょう?

(文=webCG近藤俊&関顕也/写真=webCG)


関 顕也

関 顕也

webCG編集。1973年生まれ。2005年の東京モーターショー開催のときにwebCG編集部入り。車歴は「ホンダ・ビート」「ランチア・デルタHFインテグラーレ」「トライアンフ・ボンネビル」などで、子どもができてからは理想のファミリーカーを求めて迷走中。

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