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国内デビューは2026年 新型「マツダCX-5」の中身はこうなっている

2025.07.30 デイリーコラム 世良 耕太
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スモールなのに大型化

3世代目となる「マツダCX-5」が欧州で発表された。欧州では2025年末、日本を含むその他の市場では2026年中の発売が予定されている。マツダはパワートレイン横置きレイアウトの車両をスモール商品群、パワートレイン縦置きレイアウトの車両をラージ商品群と呼んでいる。CX-5は前型と同様にパワートレイン横置きなので、分類上はスモール商品群だ。

つまり、「マツダ3」や「CX-30」と同じカテゴリーに属することになる。昨今のこれらの機種への冷遇ぶりを見るとプラットフォームを新規に起こすとは思えず、キャリーオーバーだろう。新型CX-5の全長は4690mmで前型より115mm長くなっている。「CX-60」より50mm短いだけで、サイズ的にはラージでもおかしくない。パワートレイン横置きのメリットを生かし、広い室内、荷室を誇るのがCX-5。ロングノーズのスタイルを重視するならCX-60、ユーティリティーを重視するならCX-5という売り方だろうか。新型CX-5はリアドアの開口を大きくし、乗降性を高めたのがポイントのひとつ。リア席は大人も足を組める空間を確保しているという。

HMIの方針転換も目を引く。マツダは視線移動が少なくて済むと同時に、焦点を調節する負担を軽減する狙いでセンターディスプレイをダッシュボードの奥に配置してきた。この状態でタッチパネルにすると手は届きにくいが、手元のコマンダーダイヤルでメニューを操作する方式なので問題はなかった。エアコンの操作は物理スイッチで行う。

新型CX-5は大型のセンターディスプレイをダッシュボードの手前側に配置する。焦点調節の観点からすると一歩後退な気がするが……。コマンダーダイヤルによる操作はやめ、タッチ操作する方式に改めた。エアコンの操作機能もディスプレイに組み込んでいる。完全な宗旨替えだ。軍門に降(くだ)ったようにも見えるし、単にトレンドに乗った格好にも見える。よくよく吟味したらこっちのほうがよかったと説明するのかもしれない。いずれにしても大きな変化で、賛否が入り交じることだろう。

2025年7月10日に世界初公開された新型「マツダCX-5」。欧州では2025年末、日本などでは2026年中に発売される予定だ。
2025年7月10日に世界初公開された新型「マツダCX-5」。欧州では2025年末、日本などでは2026年中に発売される予定だ。拡大
ボディーサイズは全長×全幅×全高=4690×1860×1695mm。それぞれ先代よりも115mm、20mm、5mm拡大している。
ボディーサイズは全長×全幅×全高=4690×1860×1695mm。それぞれ先代よりも115mm、20mm、5mm拡大している。拡大
大きなセンターディスプレイをダッシュボードの中央にレイアウトし、内装はグッと今風の雰囲気に代わっている。
大きなセンターディスプレイをダッシュボードの中央にレイアウトし、内装はグッと今風の雰囲気に代わっている。拡大
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ディーゼルエンジンはどうなる?

大きな変化といえば、Googleの搭載もそうだ。最新仕様のマツダ3やCX-30、さらに「ロードスター」「CX-80」には「Amazon Alexa」が搭載されている。新型CX-5がGoogleを搭載したということは、この機種を手始めにアシスタントAIはGoogleに切り替えていくということだろう。使い勝手に大きな影響を与える、変化したHMIに注目だ。

エンジンは「eスカイアクティブG 2.5(Mハイブリッド付き)」を搭載すると発表されている。2.5リッター直列4気筒自然吸気ガソリンエンジン+マイルドハイブリッド(ベルトスタータージェネレーター=BSG+小容量リチウムイオン電池)の1種類。トランスミッションはスカイアクティブドライブの6段ATである。詳細のアナウンスはないが、既存ユニットのキャリーオーバーだろう(制御面などでの変化点はあるだろうが)。

ディーゼルエンジンが完全に下火になっている欧州でガソリンエンジン1種類の設定なのは理解できるにしても、日本でもそうなるのだろうか。気になるのは、3月の「マルチソリューション説明会2025」での、「エンジンのユニット数は半数以下に集約する」という発言だ。整理される半数のほうに2.2リッターを含む4気筒ディーゼルも入っているのだろうか。どうしてもディーゼルが欲しいなら3リッター直列6気筒ディーゼルエンジンを積むCX-60を買え、ということなのだろうか。ボディーサイズも近いし。このあたり、気になる点である。

足まわりはフロントがストラットでリアがマルチリンク。「マツダ3」「CX-30」「MX-30」、さらに北米で売られる「CX-50」などのスモール商品群はすべてリアにトーションビームを使っている。
足まわりはフロントがストラットでリアがマルチリンク。「マツダ3」「CX-30」「MX-30」、さらに北米で売られる「CX-50」などのスモール商品群はすべてリアにトーションビームを使っている。拡大
性能値は市場によって異なるとのことだが、当初のパワーユニットはマイルドハイブリッドの2.5リッターエンジンのみとされている。
性能値は市場によって異なるとのことだが、当初のパワーユニットはマイルドハイブリッドの2.5リッターエンジンのみとされている。拡大

「スカイアクティブZ」に適用される技術

一方で、2027年にはCX-5に「スカイアクティブZ」を導入することが発表されている。スカイアクティブZはマツダが理想の内燃機関に向けたロードマップの最終ステップに位置づけるガソリンエンジンだ。世界初のリーン圧縮着火燃焼を実現するSPCCI燃焼を適用した「スカイアクティブX」の発展形とされる。マツダはスカイアクティブZを「既存エンジンのハードウエアをほぼ活用し低投資で実現」としており、現行2.5リッター直4ユニットをベースに仕立てるもよう。

空気と燃料が過不足なく燃焼する空気と燃料の比がλ=1(ラムダワン)。スカイアクティブXは低回転低負荷の領域でNOxがほとんど出ないλ=2以上のスーパーリーンバーンとすることで熱効率を高めている。排ガス規制が厳しくなっていくと微量のNOxも問題になる。そこで、スカイアクティブZでは将来を見越し、三元触媒でNOxを浄化できるλ=1でスーパーリーンバーンを実現することにした。混合気全体としてはλ=1の空気量とし、空気の代わりに空気と同量のEGR(排ガス再還流)を加えることで従来の燃料+空気ではなく、燃料+空気+EGRでスーパーリーンバーンを実現する。

スカイアクティブXでは多量の空気をシリンダーに送り込むため2リッターエンジンにエアサプライ(実体はスーパーチャージャー)を適用したが、スカイアクティブZでは外部デバイスに頼らず(コスト低減のためだろう)、2.5リッターに排気量を増やすことで必要な空気量を確保する考え。さらに、ストロングハイブリッド(1モーター・パラレル式か)との組み合わせになるもようで、エンジン主体で走らせ、かつ環境性能を追求する考えである。

新型CX-5は一見すると正常進化だが、中身、すなわちHMIやコネクテッド技術、パワートレインに関してはマツダがこの先進む方向を示唆する内容となっている。見た目から受ける印象以上に変化点は多い。

(文=世良耕太<Kota Sera>/写真=マツダ/編集=藤沢 勝)

テールランプは「CX-60」「CX-80」のような横長のタイプを採用。テールゲート中央のマツダのエンブレムがなくなり、「MAZDA」ロゴに置き換わっている。
テールランプは「CX-60」「CX-80」のような横長のタイプを採用。テールゲート中央のマツダのエンブレムがなくなり、「MAZDA」ロゴに置き換わっている。拡大
「スカイアクティブZ」搭載モデルは2027年中に導入予定。理想の燃焼を目指して開発中とされており、独自の新ハイブリッドシステムと組み合わせられるという。
「スカイアクティブZ」搭載モデルは2027年中に導入予定。理想の燃焼を目指して開発中とされており、独自の新ハイブリッドシステムと組み合わせられるという。拡大
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