ロイヤルエンフィールド・クラシック650(6MT)

風と景色を楽しみながら 2025.09.06 試乗記 青木 禎之 空冷2気筒エンジンを搭載した、名門ロイヤルエンフィールドの古くて新しいモーターサイクル「クラシック650」。ブランドのDNAを最も純粋に表現したという一台は、ゆっくり、ゆったり走って楽しい、余裕を持った大人のバイクに仕上がっていた。
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主役は遅れてやってくる?

満を持しての本命登場! ……なんて言ったら、「スーパーメテオ650」や「ショットガン650」を購入したオーナーの方々に怒られるでしょうか。

2025年8月18日、ロイヤルエンフィールド・クラシック650の日本での販売が始まった(参照)。RE空冷ツインのラインナップを見ると、「クルーザーのDNAを凝縮した」とうたわれるスーパーメテオ、アグレッシブなボバースタイルを採るショットガン、そしてオーセンティックなレトロスポーツたるクラシックと、今やこのスタイルの機種が最大勢力を形成している。

三者は共通する鋼管フレームに、同一の648cc並列2気筒を吊(つ)る。最高出力47PS/7250rpm、最大トルク52.3Nm/5650rpmのスペックは、組み合わされる6段MTのギア比ともども違いはない。

とはいえ、もちろん単なる着せ替えモデルではない。来日していた同社のプロダクトマネージャー、グレン・コーベット氏は、サスペンションのジオメトリーやライディングポジションが異なり、エンジンの常用域も違うので十分に個性を発揮できると説明する。加えて、三台の前後ホイールは、スーパーメテオが19インチと16インチ、ショットガンが18インチと17インチ、クラシックが19インチと18インチ……と、それぞれの性格を反映して、わかりやすく差別化されている。

四輪オンリーの人は、「ちょっとキャラ立ち弱くね?」と懐疑的に思うかもしれないが、バイクに乗る人ならピンとくるはず。モーターサイクルはより人間に近いマシンだから、スプリングやダンパーはもとより、タイヤの銘柄を変えただけで、相当ニブいライダー(←ワタシです)でも「オッ!?」と思わせる変化が生じる。グレンさんの言葉にも納得できるはずだ。

日本でのディーラー網を44店舗に拡大し、昨2024年には「ブリット350」が日本バイクオブザイヤー(外国車部門)を受賞するなど、国内でのプレゼンスを着実に高めているロイヤルエンフィールド。国内でも一定の人気を収めた単気筒モデル「クラシック350」の兄貴分として、パラレルツインのクラシック650にも大いに期待が集まる。

英国発祥で、今はインドを拠点とするロイヤルエンフィールド。1901年以来、連綿とバイクをつくり続ける老舗だ。
英国発祥で、今はインドを拠点とするロイヤルエンフィールド。1901年以来、連綿とバイクをつくり続ける老舗だ。拡大
全4種類のカラーリングが用意される「クラシック650」。試乗車の色は「Bruntingthorpe Blue(ブランティングソープ・ブルー)」で、その名はロイヤルエンフィールドが開発拠点を構える英国の地名に由来する。
全4種類のカラーリングが用意される「クラシック650」。試乗車の色は「Bruntingthorpe Blue(ブランティングソープ・ブルー)」で、その名はロイヤルエンフィールドが開発拠点を構える英国の地名に由来する。拡大
エンジンはロイヤルエンフィールドの大型モデルではおなじみの、648cc空冷並列2気筒SOHC。2018年から使われ続けているもので、今や成熟の域にある。
エンジンはロイヤルエンフィールドの大型モデルではおなじみの、648cc空冷並列2気筒SOHC。2018年から使われ続けているもので、今や成熟の域にある。拡大
タイヤサイズは前が100/90-19、後ろが140/70R18。兄弟関係の2機種とは異なり、クラシックなスポークホイールが組み合わされる。
タイヤサイズは前が100/90-19、後ろが140/70R18。兄弟関係の2機種とは異なり、クラシックなスポークホイールが組み合わされる。拡大