クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック

第337回:「ルーチェ」に比べればタダ同然

2026.06.08 カーマニア人間国宝への道 清水 草一
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!

BEVとしてごく常識的で万人受けの方向性

担当サクライ君よりメールが届いた。

「今度、『日産リーフB5』(リーフの安いほうで、一充電走行距離469km)にご試乗いただけます。こちら、ご興味はいかがでしょう」

私はまだ新型リーフに乗ったことがなかったので、「もちろん乗る乗る~」と返信した。考えてみると、トヨタのBEV「bZ4X」にも未試乗だ。誰も声をかけてくれないのだから仕方ない。

新型リーフについては、「非常に良くなった」という評判を聞いている。たぶんそのとおりなのだろう。BEVに関しては、世間の評価を見ればそれで十分、という気持ちになるが、せっかく乗れるのだから、目を皿のようにして試乗せねば。

当日。サクライ君はほぼ無音でやってきた。暗くてよく見えないが、リーフの外観はBEVとしてごく常識的で、万人受けの方向性である。

思えば「フェラーリ・ルーチェ」の外観もごく常識的だが、全世界でたたかれている。その理由が「まるで日産リーフだ!」というものだったりするのだから、リーフは哀れなのか光栄なのか、どっちなのだろう。

2025年10月に発売された日産の新型「リーフ」。2010年に登場した初代から数えて今回のモデルが3代目にあたる。納車は発売から少し遅れて2026年1月にスタートした。
2025年10月に発売された日産の新型「リーフ」。2010年に登場した初代から数えて今回のモデルが3代目にあたる。納車は発売から少し遅れて2026年1月にスタートした。拡大
容量78kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載する「リーフB7」に遅れること3カ月、2026年1月に登場した「リーフB5」(写真)は容量55kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。今回はこのB5に試乗した。
容量78kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載する「リーフB7」に遅れること3カ月、2026年1月に登場した「リーフB5」(写真)は容量55kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。今回はこのB5に試乗した。拡大
2026年5月に発表されたフェラーリ初となる量産型BEV「ルーチェ」。「プロサングエ」に次ぐ2車種目の4ドアモデルで、フェラーリ史上初の5人乗り仕様車だ。最高出力は1050PSで、一充電走行距離は530km以上とアナウンスされている。
2026年5月に発表されたフェラーリ初となる量産型BEV「ルーチェ」。「プロサングエ」に次ぐ2車種目の4ドアモデルで、フェラーリ史上初の5人乗り仕様車だ。最高出力は1050PSで、一充電走行距離は530km以上とアナウンスされている。拡大
日産 リーフ の中古車webCG中古車検索

何も感じないくらいよくできている

走りだすと、実に常識的かつ万人受け的にいいクルマだ。加減速も乗り心地もきわめて洗練されていて、どこにも引っ掛かりがない。目を皿のようにしても、何も感じないくらい快適である。

なるほどそうか。BEVは進歩すると、こんなふうに何も感じなくなるのか。家庭用冷蔵庫のような、完全なる縁の下の力持ちになっていくんだな。

そういえばトヨタのbZ4Xも、「何も感じないくらいよくできている」らしい。もうこのクラスのBEVは、自動車ライターの評価なんかぜんぜん必要なさそうだ。私に試乗の声がかからないのも当然だろう。

私とサクライ君は、何も感じずに首都高を走る。早く完全自動運転が実現しないかなぁと思いながら走る。そこで思い出した。

オレ:そうだ、「プロパイロット」を試さなきゃね。
サクライ:そうですね。日産自慢の装備ですから。

私はステアリングホイールのプロパイロットスイッチをONにした。新型リーフは、実に滑らかに前車に追従して走る。速度コントロールは大変スムーズだ。

しかし、しばらくして気づいた。

オレ:このクルマ、ぜんぜんステアリング操作してくれないよ。
サクライ:えっ、おかしいですね。プロパイロットなのに。

首都高・辰巳PAで休憩する「日産リーフ」。フェラーリのBEV「ルーチェ」を、この最新リーフに似ているとする向きもあるとか、ないとか。
首都高・辰巳PAで休憩する「日産リーフ」。フェラーリのBEV「ルーチェ」を、この最新リーフに似ているとする向きもあるとか、ないとか。拡大
新型「リーフ」は実に常識的かつ万人受け的にいいクルマだ。加減速も乗り心地もきわめて洗練されていて、どこにも引っ掛かりがない。
新型「リーフ」は実に常識的かつ万人受け的にいいクルマだ。加減速も乗り心地もきわめて洗練されていて、どこにも引っ掛かりがない。拡大
「リーフB5」のフロントに積まれる駆動用モーターは最高出力177PS、最大トルク345N・mを発生。WLTCモードの一充電走行距離は469kmと発表されている。
「リーフB5」のフロントに積まれる駆動用モーターは最高出力177PS、最大トルク345N・mを発生。WLTCモードの一充電走行距離は469kmと発表されている。拡大
12.3インチの大型デュアルディスプレイが採用された新型「リーフ」のインストゥルメントパネル。ファブリックが多用されたインテリアの質感やデザインも印象的だ。
12.3インチの大型デュアルディスプレイが採用された新型「リーフ」のインストゥルメントパネル。ファブリックが多用されたインテリアの質感やデザインも印象的だ。拡大

レーンキープ機能がOFFになっていた理由

何度かプロパイロットを入れたり消したりしてもダメ。どうしちゃったんだろうと思いつつよく見たら、レーンキープのボタンがOFFになっていた。

勇んでレーンキープボタンをON。いよいよハンズオフドライビングのスタンバイが完了である。

ところが、新型リーフのステアリングさばきは実に緩慢。まったく頼りない。ハンズオフどころか、これなら私の「プジョー508」のほうがまだちゃんと曲げるわ! というレベルである。国産の最新BEVのADASが、7年落ちのフランス車に負けてるなんてありえない。

これはドライバーの根性が足りないせいか? と思い、カーブでステアリング操作を我慢するが、簡単に車線を越える。隣のサクライ君は「あわわわわ」「コエーコエー」と騒いでいる。

オレ:サクライ君、これ、「プロパイロット2.0」付いてないんじゃないの?
サクライ:えっ、そんなことありますかね。
オレ:いやー付いてないよこれはきっと!

サクライ君はスマホで検索した。

サクライ:……リーフではプロパイロットが標準装備で、プロパイロット2.0は全グレードでオプションでした。
オレ:やっぱり!

結論。プロパイロット(いわゆる1.0)のステアリングアシストは、7年落ちのフランス車より性能が低く、気に障るようなムダなアシストも頻発する。だからレーンキープ機能がOFFになってたのね! 納得。

追伸:この翌週、プロパイロット2.0付きの「リーフB7」に試乗したところ、首都高でも問題なくハンズオフできました。しかしセットオプション価格約50万円はキツー! フェラーリ・ルーチェに比べればタダみたいなもんだけど。

(文=清水草一/写真=清水草一、webCG、フェラーリ/編集=櫻井健一/車両協力=日産自動車)

「リーフB5 X」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4360×1810×1550mm、ホイールベースは2690mm。全長は従来型よりも120mm短くなっている。今回の試乗車は「ディープクリムゾン/スーパーブラック」の有償ツートンカラーをまとっていた。
「リーフB5 X」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4360×1810×1550mm、ホイールベースは2690mm。全長は従来型よりも120mm短くなっている。今回の試乗車は「ディープクリムゾン/スーパーブラック」の有償ツートンカラーをまとっていた。拡大
後席には大人が乗っても余裕のスペースが確保されている。ただ、座面の長さが思ったよりも短く前席下の隙間も少ないので、膝を立てるように座らなければならないのが少々残念だ。
後席には大人が乗っても余裕のスペースが確保されている。ただ、座面の長さが思ったよりも短く前席下の隙間も少ないので、膝を立てるように座らなければならないのが少々残念だ。拡大
ダッシュボード中央のエアコン吹き出し口下に、各種スイッチが整然と並ぶ。スイッチは左から「プロパイロットパーキング」、より強い回生ブレーキが得られる「e-Pedal」、ドライブモードセレクター、そしてシフトセレクターとなる。
ダッシュボード中央のエアコン吹き出し口下に、各種スイッチが整然と並ぶ。スイッチは左から「プロパイロットパーキング」、より強い回生ブレーキが得られる「e-Pedal」、ドライブモードセレクター、そしてシフトセレクターとなる。拡大
新型「リーフ」は、何も感じないくらい快適であった。今は愛車「ダイハツ・タント」の代替えで軽BEV「日産サクラ」の導入を検討中。新車のラインナップから消えた外板色「ブロッサムピンク×ブラック」が個人的にはお気に入りである。
新型「リーフ」は、何も感じないくらい快適であった。今は愛車「ダイハツ・タント」の代替えで軽BEV「日産サクラ」の導入を検討中。新車のラインナップから消えた外板色「ブロッサムピンク×ブラック」が個人的にはお気に入りである。拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

カーマニア人間国宝への道の新着記事
  • 第336回:やっぱり絶交! 2026.5.25 清水草一の話題の連載。夜の首都高に200台の台数限定で販売される「マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R」で出撃した。手作業で組まれた2リッター直4エンジンを搭載するマツダ入魂のスポーツモデルに、カーマニアは何を感じた?
  • 第335回:水平尾翼が効いてるのかな 2026.5.11 清水草一の話題の連載。フルモデルチェンジで2代目となった「シトロエンC5エアクロス」で、夜の首都高に出撃した。最新のデザイン言語を用いて進化した内外装とマイルドハイブリッドの走りに、元シトロエンオーナーは何を感じた?
  • 第334回:親でもここまではしてくれまい 2026.4.27 清水草一の話題の連載。先日試乗した「トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ」はすごかった。MTと縦引きパーキングブレーキの組み合わせを用意してくれるトヨタは、カーマニアにとってもはや神である。
  • 第333回:毛が生えようが、ハゲようが 2026.4.13 清水草一の話題の連載。「ジープ・アベンジャー」に追加設定された4WDモデル「アベンジャー4xeハイブリッド」で夜の首都高に出撃した。ステランティスで広く使われるマイルドハイブリッドパワートレインと4WDの組み合わせやいかに。
  • 第332回:クルマ地味自慢 2026.3.30 清水草一の話題の連載。最近、年齢とともに地味なモデルが大好きになった。そんななか、人気の「フォレスター」や「クロストレック」の陰にひっそりと隠れたスバルを代表する地味モデル「インプレッサ」に試乗。果たしてその印象は?
カーマニア人間国宝への道の記事をもっとみる
関連キーワード
新着記事
新着記事をもっとみる

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。