第346回:EVかいわいで辰巳かいわいへ
2026.10.12 カーマニア人間国宝への道買うなら「ブロッサムピンク」の「サクラ」?
最近、日本でもEVが売れるようになった。2025年あたりから新型EVがいろいろ出たし、補助金も大幅に拡充されましたから。
個人的には、EVにはいまだ心がときめきませんが、日産の「サクラ」(マイチェン版)と「アリアB9」(マイチェン版)、そしてホンダの「スーパーONE」と、3台のEVに立て続けに乗る機会があったので、守旧派カーマニアとしての感想を述べさせていただきます。
まずサクラ。私は発表当初からサクラのファンだ。なにがいいって、エクステリアとボディーカラーの「ブロッサムピンク」、そしてインテリアが全部よかった。一充電走行距離は180kmぽっち(実質120kmくらい?)しかないけど、とにかく見た目がいいし、走りも「デイズ」とは比べ物にならないので、航続距離に目をつぶってオーナーになってもいい! と、一時は本気で思ったくらいだ。
しかし、サクラのブロッサムピンクはまったく売れず、2年前に消滅。今回のマイチェンでは、センス抜群だったエクステリアが微妙にガンダムチックになり、長所がさらに減った印象だ。
ブロッサムピンクに代わる新色として「水面乃桜―ミナモノサクラー」という、アニメっぽいネーミングのボディーカラーが採用されたけど、ピクリともしない。試乗車は「セラドングリーン」という色だったが、くすんだ薄緑以上の印象はなかった。ワンポイント的なゴールドとのマッチングもイマイチで、かつてのセンスの良さはほぼ消滅。こういうのって微妙なんだよね。
走りに関しては、航続距離含めほぼ変わらず。サクラはバッテリー容量を増やすなんてムリだろうし、ずっとこのままだろうなぁ。
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アリアはさすがに車格が違う
それでも、販売台数は思ったほど減ってなくて、ライバルの「ホンダN-ONE e:」よりむしろ売れている! ホンダは補助金満額(130万円)の「スーパーONE」を出しちゃったってのがあるけど、サクラの意外な健闘ぶりは、元ファンとして微妙にうれしいです。
続いてアリアB9(FWD)。アリアは発表直後に「B6」に乗っただけで、ほとんど忘却の川に流してしまいましたが、マイチェン版はサクラ同様、顔の改悪が気になった。
この牙みたいなポジションランプ、「リーフ」と共通だけど、マイチェン前のほうがぜんぜんセンスあったと思うんだよね。
「ノート」もマイチェンで冴えない顔になったりして、日産は顔の改悪を繰り返している(個人の意見です)。デザイン部門はどういう方針なんだろ。
B6とB9の違いは、FWD車同士の場合は主にバッテリー容量なので、走りに関しては数年前に試乗したB6と大きな差は感じなかった。
それよりサクラからアリアに乗り換えたせいで、「さすがに車格が違う!」と痛感しました。特に高速での乗り味が段違い。「EVの走りはどれも似たようなもん」って言ってるけど、軽とこのクラスとじゃえらい違いだね(アタリマエ)。
お値段はオプション含め約900万円! サクラの約3倍だものそりゃ走りが違うだろって。販売台数はサクラの10分の1以下、いま売れ筋のリーフと比べると約20分の1! やっぱアリアって、初期生産でつまずいて爆沈したままなのね。
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走り屋の聖地はEV番外地
最後にカーマニアお待ちかねのスーパーONE!
実は私、スーパーONEも見た目が好きじゃありません。そもそも「N-ONE」からN-ONE e:への顔のチェンジが理解できない。わざわざ商用車みたいにしちゃうなんて。
スーパーONEはそれをベースに、オバフェン等で武装してるけど、今どきこういう古典的な走り屋スタイルって、ベルボトム履いたジジイに感じるんだよね。
しかも試乗車はボディーカラーが紫! 試乗するのが真剣に気恥ずかしかった。「こういうのが好きなヤツだと思われたくないー」って。
走りはよかったです。ベースは軽EVだけど、トレッドが広がってるし、安定感は段違い。乗り心地はさすがに若干固いです。
「スポーツ」モードにすると疑似7段変速になり、ほのかな疑似エンジンサウンドが轟きますが、あくまで「ほのか」なもので、実にちょうどよかった。「アバルト500e」の大げさな偽造サウンドには耐えられなかったけど、これくらいの演出はとってもイイ。「キミ、なかなか楽しいじゃないか!」と、肩をポンと叩きたくなりました。
ホンダは「プレリュード」の疑似サウンドづくりでも成功してるけど、疑似がとってもウマイ! 疑似も仕上がり次第。今後もカーマニアをうまく騙してください。
しかし紫のスーパーONE、辰巳PAに止めるのが本当に恥ずかしかった。ぜんぜん注目されなかったけどね。あのかいわいじゃ、EVは相変わらず番外地だな。
(文と写真=清水草一/編集=櫻井健一/車両協力=日産自動車、本田技研工業)
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清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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