シトロエンC3 エクスクルーシブ(FF/4AT)【試乗速報】
見た目も走りも草食系 2010.05.27 試乗記 シトロエンC3 エクスクルーシブ(FF/4AT)……239.0万円
大型化したフロントグリル、新しくなったダブルシェブロン、広大なフロントウィンドウなどを備え、モダンに生まれ変わった新型「C3」に試乗した。
新「C3」の概要
「シトロエンC3」は、昨2009年11月に本国フランスでデビューしたコンパクトカー。いわゆるBセグメントのクルマです。
同じダブルシェブロンのフレンチミニバン「C4ピカソ」のイメージを上手に取り込んだ新型C3のボディサイズは、全長3955mm、全幅1730mm、全高1530mm。先代のC3より、ちょっぴり長く(+105mm)、太く(+60mm)、けれども低く(−10mm)なりました。ホイールベースはわずかに長い2465mm(+5mm)。国産車でいうと「マツダ・デミオ」といい勝負ですね。ピカソ似の姿からは意外なことに(?)「プジョー207」より小ぶりです。
車体の大きさから不利になりがちな衝突安全性にも配慮がなされ、衝撃を吸収しにくいサイドからの衝突に備えてBピラーには超々高張力鋼板、サイドシルには超高張力鋼板、キャビンをケージ状に守るように高張力鋼板など、鋼板が使いわけられます。
前席ダブル&サイドエアバックとカーテンエアバックを標準で装備。後席の3人すべてに3点式シートベルトがつくのは、当たり前かもしれないけれど、良心的。乱れた挙動をただすESPは、残念ながら上級版の「エクスクルーシブ」にしか用意されません。
2010年5月6日から日本でも販売が始まったC3は、ベーシックな「C3」と上級版「C3 エクスクルーシブ」で構成されます。この日試乗したのは、アルカンタラ/ファブリック内装のエクスクルーシブ。コンビネーションシートがなかなか素敵です。
運転席に座ると、インストゥルメントパネルまわりの質感がよくなったのが印象的。センターコンソールのエアコン関係のボタンもわかりやすいし、ハンドルの向こうのスピードメーターも大きくて見やすい(10km/hから20km/h刻みで数字が振られるのに違和感ありますが)。向かって左に回転計、右に燃料計を配した3連メーターを上から覆うバイザーにはスリットが設けられ、ナセルの向こうに光を感じられるのがシトロエン流です。ただ、グローブボックスのふたを留めるラッチの位置が悪くて、左端がほんのすこし浮いているように見えるのが、うるさ型のユーザーには気になるかもしれません。
新しいドライブ感覚
いざ走らせると、1210kgの車重に120ps、16.3kgmのアウトプットで、ほどほどの動力性能。1.6リッター、4気筒エンジンのボア×ストロークは、「MINI」と同じ77.0×85.8mm。欧州の排ガス規制EURO5に対応して「EP6C」の形式名が付けられた連続可変バルブ機構付きアルミユニットです。カタログの10・15モード燃費の欄には、12.3km/リッターと記載されます。
組み合わされるトランスミッションは、おなじみ「AL4」ことトルクコンバーター式4段AT。おなじみとはいえ、シフトプログラムがさらにブラッシュアップされ、街なかで3速を多用する悪癖や、3-4速間の逡巡(しゅんじゅん)が改善された。赤信号で止まる際の、4速からのシフトダウンもスムーズになりました。
新型C3のサスペンションは、シンプルな前マクファーソンストラット、後トーションビーム式。スポーティを売りにするプジョー207と比較すると、ずいぶんとソフトなセッティングです。丸みを帯びた柔らかな外観に違わず、走っても穏やか。エンジンはそれほどパワフルというわけではないけれど、ソフトな乗り心地にはよく合っている。焦っているときにアクセルペダルを踏み込んだりするとうなり声をあげてちょっとうるさいけれど、それはそれで運転している実感があっていいかも。巡航時には静かです。
「スライディングサンバイザー」と呼ばれる天井内張の前端部を後方へスライドさせてやると、フロントウィンドウが頭上を超えて後方に広がります。
新しいドライブ体験を演出する「VISIODRIVE」をコンセプトにしたゼニスフロントウィンドウ。前方ガラスの前後長は1.35m、左右幅は1.43m、天地の視界は普通の状態、つまりスライディングサンバイザーを下ろしたときの28度から108度にまで広がるという。 まさに空を見上げてのドライブ……は危ないけど、いつも空を感じながらの運転が楽しい。後席に座ったときも上機嫌。
ちなみにウィンドウの上部250mmには、熱の伝達を抑え、紫外線の透過を通常のティンテッドガラスの12分の1以下にしたスーパーティンテッド加工が施されます。
期待のニューモデル
リアドアの後ろにも小さな窓をもつ6ライトを採用した2代目C3。無理のないスタイルのおかげで、後席の居住空間も実用的です。小ぶりなボディにもかかわらずトランクも広く、スタイル優先の「MINI」はもちろん「207」や「フォルクスワーゲン・ポロ」をもしのぐ300リッター(VDA方式)の容量を誇ります。後席背もたれは、6:4の分割可倒式で、必要に応じてトランクルームを拡大することができます。
価格は、ベロア内装が標準のC3が209万円。緊急時にはブレーキを踏み増してくれるブレーキアシストや、ぶつかる前の杖、ESP、バックソナーや自動防眩(ぼうげん)式ルームミラーがおごられたC3 エクスクルーシブが239万円から。オプション20万円で、レザーシートにすることもできます。
シトロエンジャポンでは、新しいC3に大きな期待をしていて、2010年の目標販売台数2400台のうち、半分の1200台をC3と、同時にデビューした「DS3」で占めたいと考えています。野心的! 穏やかで優しいシトロエンは、果たしてダブルシェブロンの販売歯車を力強く回すことができるのでしょうか?
(文=前橋かおる(Office Henschel)/写真=河野敦樹)

前橋 かおる
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