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【スペック】E250CDIカブリオレ:全長×全幅×全高=4698×1786×1398mm/ホイールベース=2760mm/車重=1815kg/駆動方式=FR/2.1リッター直4DOHC16バルブディーゼルターボ(201ps/4200rpm、51.0kgm/1600-1800rpm)(欧州仕様車)

メルセデス・ベンツ Eクラスカブリオレシリーズ【海外試乗記】

クーペ+喜び=カブリオレ 2010.03.26 試乗記 島下 泰久 メルセデス・ベンツ Eクラスカブリオレシリーズ

Eクラスファミリーに加わった4シーターオープンモデル「Eクラスカブリオレ」に先行試乗。その出来栄えをチェックした。
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いつでも4人が快適に

「Four seasons, four personalities」というのが、新型Eクラスにとって4つ目のラインナップとなるカブリオレが掲げるキャッチフレーズである。四季を通じて、4人の乗員が楽しめるカブリオレ。要約すれば、そんなところだろうか。

そう、見た目は美しい4シーターのカブリオレも、実際にオープンで走らせると風の巻き込みが大きく、快適に、そしてエレガントに乗りこなすのは案外大変だったりする。新型「Eクラス・カブリオレ」は、この常識にあえて挑んだというわけである。

もちろん、その前提としてはクルマが美しくなければならないわけだが、それについては写真を見ていただければ、あえてアレコレ説明する必要は無いだろう。ソフトトップのカブリオレが醸し出す雰囲気は、本当にぜいたくだ。

ちなみにトップの開閉は、所要時間20秒以内。40km/hまでなら走行中でも開閉できるようになった。また、広いラゲッジスペースもソフトトップ採用のメリット。オープン時でも300リッター、クローズ時なら390リッターを飲み込んでくれる。

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クーペより静か?

さて、そんな美しいカブリオレを快適かつ優雅に楽しむために採用された新機軸の一番の目玉といえば、新開発の「エアキャップ」だ。これはスイッチひとつでフロントウィンドウ上縁の部分を約6cm持ち上げ、後席ヘッドレスト間に内蔵されたドラフトストップとともに前方からの空気の流れを上に跳ね上げ、キャビン内の気圧を保ち、後方からの巻き込みも低減することで、室内を快適に保とうという装備。ドラフトストップで後席をつぶさないから4人でも楽しめるし、フォルムの美しさも崩さないで済むのである。

「SLK」などですでにおなじみの「エアスカーフ」も標準装備されるが、こちらも、首筋に向けての温風の吹き出し口の角度を上下38度の範囲で調整可能に改良された。身長を問わず、効果を体感できるようになったわけだ。

ではこれらの効果はといえば、室内がほぼ無風に……とまではならない。それなりに風は入り込むし髪も乱れる。しかしエアキャップのオン/オフでその程度は明らかに変化するし、なにより後席を生かしたまま、4シーターのカブリオレを高速道路でもトップを開けたまま乗る気にさせるのだから、メリットは十分といえる。もちろんエアスカーフの効果も忘れてはならない。試乗したマヨルカ島は残念ながらそれほど暖かくはなかったのだが、結局ほとんどオープンのままで過ごせたのは、まさにこれらの相乗効果である。

もちろんカブリオレでも、時にはトップを閉じる。その際の快適性の向上のために採用されたのが、遮音性を大幅に向上させ高い断熱性も備えたという“アコースティックソフトトップ”だ。実際、クローズ時の室内は驚くほど静か。同行者からは「クーペより静かでは?」という声もあがっていたほどだ。

フロントウィンドウ上縁にポップアップしているのが「エアキャップ」の機能の一つ。
フロントウィンドウ上縁にポップアップしているのが「エアキャップ」の機能の一つ。 拡大
前席には首まわりを暖めるシート内蔵式ヒーター「エアスカーフ」が備わる。
前席には首まわりを暖めるシート内蔵式ヒーター「エアスカーフ」が備わる。 拡大
 
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喜びばかりが増える

それも含めて、走りはきわめて洗練されている。特にシャシーのしつけは秀逸で、セダンよりクーペよりしっとりと上質な乗り味を実現している。車重がクーペより120kgほど増えているのも、この点ではプラスに働いているのだろうが、それにしても、とろけるような快適さである。

それでいてフットワークもクーペにほとんど遜色ない。細かく見れば高速域でのステアリングの据わりが若干甘い感じもするが、それぐらい。十二分に走りを満喫することができる。

エンジンラインナップは本国ではクーペに準じるが、日本向けは「E350」のみ。試乗車には「E350CGI」はあったが「E350」は無く、よって断言はできないのだが、「E250CGI」などで比較する限りは鈍重さを感じるようなことは無かった。よって、その点でもほとんど心配は要らないと思われる。

カブリオレの気持ち良い走りを満喫できるのは、高い安全性の裏付けのおかげでもある。頑丈に補強されたAピラー、横転の危険を感知すると瞬時に飛び出すリアヘッドレスト内蔵ロールバー、そしてオープンカーでは装着できないカーテンエアバッグの役割を務める、初採用のSRSヘッドバッグなどによって衝突安全性能は充実。このあたりも、さすがメルセデスである。

ほとんど褒めちぎりになってしまったが、これは掛け値なしの印象。Eクラス・クーペを検討している人も、これだけネガが無く、喜びばかりが増えるカブリオレだけに、是非選択肢に加えてみてほしいと思う。

(文=島下泰久/写真=メルセデス・ベンツ日本) 

【スペック】E350CGIカブリオレ:全長×全幅×全高=4698×1786×1398mm/ホイールベース=2760mm/車重=1790kg/駆動方式=FR/3.5リッターV6DOHC24バルブ(288ps/6400rpm、37.2kgm/3000-5100rpm)(欧州仕様車)
【スペック】E350CGIカブリオレ:全長×全幅×全高=4698×1786×1398mm/ホイールベース=2760mm/車重=1790kg/駆動方式=FR/3.5リッターV6DOHC24バルブ(288ps/6400rpm、37.2kgm/3000-5100rpm)(欧州仕様車) 拡大
日本市場では、3.5リッターV6の「E350」(CGI=直噴ではない)グレードが販売されるもよう。
日本市場では、3.5リッターV6の「E350」(CGI=直噴ではない)グレードが販売されるもよう。 拡大
 
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島下 泰久

島下 泰久

モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。

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