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【スペック】全長×全幅×全高=3995×1685×1475mm/ホイールベース=2470mm/重量=1080kg/駆動方式=FF/1.4リッター直4DOHC16バルブ(85ps/5000rpm、13.5kgm/3800rpm)/価格=203.0万円(テスト車=同じ)

フォルクスワーゲン・ポロ 1.4コンフォートライン(FF/7AT)【ブリーフテスト】

フォルクスワーゲン・ポロ 1.4コンフォートライン(FF/7AT) 2010.02.26 試乗記 佐野 弘宗 ……203.0万円
総合評価……★★★★

コンパクトボディ、ドイツ車らしい硬質な走りが好評の「ポロ」。新たにDSGを搭載し、燃費が向上した5代目をテスト。
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もっとも入りやすいドイツ車

新型「ポロ」の国内発売は昨年10月のことだったが、初週でいきなり1300台を受注するなど、リーマンショック以来あまり芳しくない輸入車業界では数少ない、いいニュースを提供してくれた。
さもありなん……と思う。日本でドンピシャに使いやすい節度あるサイズを守りつつ、パッと見では「ゴルフ」となんら変わりない高級感。先代以上にドイツモノの堅牢・高精度がわかりやすい、パリッとしたスタイリング。DSGというフォルクスワーゲン自慢のハイテクをしっかり押さえつつ、価格はほぼ200万円ちょうど……。既存の輸入車ファンをつなぎとめて、かつ国産車からの流入を促すのに、少なくともハードウェアに死角なし。

実際に基本性能や品質などの進化はいちじるしい。基本パッケージは先代と変わらず、いかにも使いやすいサイズだが、走行に多大な影響を与える前後トレッドは大幅拡大、内外装のクオリティは少なくとも先代「ゴルフV」には匹敵し、それでいて車両重量は先代比で60kgの軽量化に成功。今この瞬間において、だれも異を唱えられない王道モデルチェンジといっていい。

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【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
ポロは「MINI」とならんで、輸入コンパクトカーでは圧倒的な売り上げを誇る。2470mmという先代と同寸のホイールベースからもわかるように、この新型ポロでも人間をアップライトに座らせて室内空間を効率的に稼ぎ出す先代の理性的な基本パッケージを、なんら変えていない。デザインや衝突安全性への要請から全長は80mm、全幅も20mm拡大したものの、昨今の欧州Bセグメントをおおってきた際限ない大型化の波にはくみせず“全長は4m未満、全幅は5ナンバー枠内”という日本におけるボーダーラインもしっかり守られている。

ボディサイズと装備を拡大・充実させつつも軽量化が実現したキモは、高張力鋼板・超高張力鋼板をうまく活用したホワイトボディの軽量化と乾式クラッチの7段DSGによるところが大きいという。

(グレード概要)
日本仕様はひとまず「1.4コンフォートライン」の1グレードのみ。1.4リッターエンジンは直噴でもなく過給もしない従来改良型だが、トランスミッションを先代のトルコンATからツインクラッチ式DSGに換装して、動力性能と燃費を向上させている。

【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★★
ソフトパッドとなるのは上面のメインダッシュボード部分のみなのは先代と変わりないが、ツヤを押さえた表面処理、細部にあしらったクロームメッキなどで視覚的な高級感はうまく向上させている。電動可倒ミラーまで標準装備されており、エアコンがマニュアル式となる以外はごく普通に考えられる豪華安楽装備はすべて備わる。質感やデザイン凝り度はMINIのほうがわずかに優る印象ではあるものの、価格を考えれば文句なし。メーター内のインフォメーションディスプレイも、トリップ&燃費関連情報のほか、デジタル速度表示も可能。

(前席)……★★★★★
張りの強い堅牢なシートにアップライトに座る運転姿勢はまさしく“ザ・フォルクスワーゲン”といえる美点。座面高の調整幅も大きく、ステアリングにはチルトのほかにテレスコピック調整もつくのでドラポジに不満を感じることはまずないだろう。低めのドラポジを好む人もいるだろうが、こうしたアップライト姿勢こそ、ポロがこのサイズで必要十分な居住性を確保できている最大のキモなのだ。鼻につく匂いもフォルクスワーゲン伝統のドイツ車らしいもの。

(後席)……★★★★
最新Bセグメントのなかではホイールベースは短めだから、足を投げ出しただらしない姿勢をとることはできない。ただし、お尻を引いて教科書どおりにきちんと座れば、身長180cm級の男性が前後に座っても最低限のレッグルームは確保される。ヘッドルームも十分だし、ヒップポイントも前席より一段高いので視界も悪くない。いかにもマジメな高効率パッケージである。

(荷室)……★★★★
伸びた全長の一部は荷室拡大にも充てられており、このサイズなら文句ない容量は確保されている。リアシート可倒機構は伝統的なダブルフォールディング式だが、座面を上げずにシートバックだけでも無理なく倒せる設計なのはうれしい(シートバックが少し斜めに残るけど)。ボディ設計そのものはフロア下にスペアタイヤが収納できるようになっているが、日本仕様はパンク修理キットが搭載される。

【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★
小改良でパワーアップしたエンジンに高効率なDSGの組み合わせで、実質的な動力性能も燃費も確実に向上している。実用上はまったく不足なし。
ただし、この1.4リッターユニットは元来、驚くほど粘っこいトルク特性とおっとりレスポンスが最大の特徴であり、電光石火変速で小気味いいDSGとは正反対のキャラクターなので、客観的に見てベストマッチとは言いがたい。まあ“ヌワ〜、カキンッ! ヌワ〜、カキンッ!”という緩急を繰り返す独特のリズム感で、これはこれでハマる人がいるかもしれない。

一般的に考えると、すでに欧州で発表済みの「1.2 TSI」エンジンこそ本命だろう。ちなみに1.4リッターよりパワフルな「1.2 TSI」は、先代の「1.6スポーツライン」的な上級グレードとして上陸予定らしい。

(乗り心地+ハンドリング)……★★★
とにかく全身にただよう堅牢な剛性感が印象的。高剛性化と軽量化を両立したボディ設計は見事というほかなく、安易にホイールベースを伸ばさないのもボディ剛性にこだわるフォルクスワーゲン伝統の設計思想といえる。

ハンドリングの味つけもパリッとした正確さと俊敏性が優先されたもの。路面からの当たりは正直なところ硬めだが、かわりにちょっとしたスポーティカーばりの小気味いいステアリングレスポンスを持つ。

実用ファミリーカーとして見ると、個人的には、もう少ししっとりと落ち着いたダンピングと穏やかなステアリングのほうが好ましいと思うが、先代よりグレードアップしたタイヤ(取材車はコンチネンタル・プレミアムコンタクト2)の影響もあるかもしれない。

(写真=荒川正幸)

【テストデータ】

報告者:佐野弘宗
テスト日:2010年1月21日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2009年型
テスト車の走行距離:--km
タイヤ:(前)185/60R15(後)同じ(いずれも、コンチネンタル・コンチプレミアム コンタクト2)
オプション装備:なし
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(8)
テスト距離:167.7km
使用燃料:16.2リッター
参考燃費:10.3km/リッター

佐野 弘宗

佐野 弘宗

自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。

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