アウディQ5 2.0 TFSI クワトロ(4WD/7AT)/3.2 FSI クワトロ(4WD/7AT)【試乗記】
予想以上にスポーツマン 2009.05.24 試乗記 アウディQ5 2.0 TFSI クワトロ(4WD/7AT)/3.2 FSI クワトロ(4WD/7AT)……604.0万円/767.0万円
アウディの最新モデル「Q5」は、四輪駆動のSUV。オンとオフ、ふたつの道で、どんな表情を見せるのか? 『webCG』のコンドーと関が、その実力を(ちょっと)味見してみた。
山でも谷でも任せとけ!
コンドー(以下「コ」):アウディがぎょうさん並んでんなぁ。もしかして、今日は新車の展示会?
関(以下「せ」):……ここ、テストコースなんですけど! 「Audi driving experience」、アウディの運転教室ですよ。
コ:そんなムキにならんでも、わかってるて。2001年からずっとやってるやつやろ? 一般のユーザーだけじゃなくて、アウディのスタッフもここで鍛えてるらしいやん。
せ:ちなみに、今日乗るクルマは、デビューしたての「Q5」。
コ:で、……いきなりオフロードかい。……えっ、SUVだからって? 高いクルマやのにモッタイナイ。だいたいこのタイプ、実際は都会を走ってるもんやろ。
せ:ベースとなった「A4」との違いも試せるって仕掛けですよ。さっそく乗ってみましょう。
コ:いきなり急坂! この傾斜、30度はあるとみた。空しか見えへん。てゆーか、こんな道、ふだん見かけへんやろ。
せ:坂道の多い住宅地とか、マツタケ狩りの山道……とか? A4だったらアゴ擦りそうだけど、オーバーハングが短いQ5は、地上高も200mm以上あるからラクラクです。
コ:ワゴンの「A4アバント」より300kgも重いわりには、ずいぶんピックアップがええね。2リッターでも、十分トルキー。グイグイ登っていく。
せ:35.7kgmの最大トルクは、上級グレードの3.2リッターモデルより大きいんですよ。しかも、アイドリング並みの低回転域(1500rpm)から出し切れるのがミソ。
コ:なんか口調が宣伝くさい……。それはそうと、まるで昔のアウディのテレビCMみたいや。スキーのジャンプ台登っていくヤツ。条件が厳しいと、ヨンクの安心感が光るなぁ。
せ:ズリ落ち防止のヒルホールド機能も全車標準。ますます安心。ヒルディセントコントロールも付いていて、前後どちらの向きでも30km/h以下で下りられます。
コ:一生懸命、カタログデータ暗記してきたやろ? だいいち30km/hで後ろ向きに下りるって、十分怖いて! 思わずバックモニターに目が釘付け。
せ:坂にばかり気を取られてたけど、凸凹道で驚くほど乗り心地がいい。
コ:それでグラグラする感じがないのは大したもんや。それなりに背高な感じはするけど、「セダンのような運転感覚」っていうのもウソやない。
せ:むしろ、フットレストあたりの出っ張りや、ブレーキとアクセルが近すぎることが気になります。
コ:別のところが凸凹してんねんな。もともとが左ハンドルやって、いちいち意識させんといてほしいよな。
せ:インパネは右側を向いてたりして。ドライバーオリエンテッドな演出はシッカリおさえられてますね。
ヤンチャな走りも安全に
コ:実際のドライビングでも、しっかり楽しめんのかいな。
せ:そこです、そこ。Q5には「オフロードモード」が付いてるんですよ。この「ESP OFF」ボタンを押すと……
コ:ESP(横滑り防止装置)が取っ払われて、めちゃくちゃ野蛮なクルマに変身するわけやな?
せ:いいえ、ESPは完全には切れません。システムの介入が遅くなるだけなんです。
コ:中途半端じゃ意味なさそうな気がするけど?
せ:たとえば、ABSの利きがルーズになって、ブレーキのロックを通常の3倍許容するようになる。荒れた道では、むしろロックさせてタイヤを路面に食い込ませたほうが制動距離が短くなるから。
コ:えっ、OFFって、あくまで“オフ”ロード用なん? 都会生活者には縁遠いやん。
せ:大きな声じゃ言えないけれど、雪道や濡れた路面ではドリフト走行ができるんですよ。ウデがあればですけど……。
コ:それを早く言いぃや! さっそくヤッテみようぜ!……こりゃあ楽しい。最高のドリフトマシンやね。おっと、それでも「失敗したー」と思たら「ゴリゴリゴリ……」。
せ:それ、システムが作動してる音です。いざというとき助けてくれるから、安心して楽しめる。
コ:前輪後輪、器用にトルクを振り分けながら横滑りしていくな。FRみたいに、ハデにカウンター当てればいいってもんじゃない。
せ:これはこれで、クワトロならではの乗りかたに慣れる必要はありそうですけどね。……それにしてもドリフトって、難しいなー。
コ:そんな“元気のなくなったコマ”みたいなスピン、何回もしてるヒト、他にいてへんで。ま、安全装置も器用になったゆうことや。急ブレーキ踏むと、ハザードランプが点滅したり。もらい事故対策もバッチリっちゅーわけや。
せ:ノーズダイブが少ないのも、印象的です。急ブレーキのままレーンチェンジしても、ロール感はずいぶん少ない。「SUVらしくないキレのよさ」が一番のウリらしいけど。
モテるからにはワケがある
コ:高速走行も安定してるよ。プラットフォームはA4と同じやのに、車幅とトレッドが7cmくらい広くなってるのが効いてるとみた。
せ:高さは20cmも高くなってるのに……空気抵抗を考えたデザインも、多少は効果があるのかも。
コ:……でもなぁ、だったら最初からセダンかワゴンを買っとけっちゅうハナシと違うん?
せ:色んな道を走れるって、クルマとしてはやっぱり大きなアドバンテージでしょう。床の間に飾ってるだけでも、Q5のデザインはなかなか秀逸だと思いますけど。
コ:まぁ、魅力はあるね。まずオフロードには行かへんけど、高めのアイポイントは都会でも嬉しかったりしますよねぇと……。カッコもよろしいでしょうと……。
せ:実際、荷室の容量(540〜1560リッター)がA4アバント(490〜1430リッター)より多いとか、実用のうえで勝るポイントはあるんです。
コ:値札の数字もそこそこええけどね……3.2リッター同士で、どっこいどっこい。2リッターターボで比べると、Q5はA4アバントより50万円くらい高くなる。
せ:で、今年の夏は、オフロード色を強めたクロスオーバーモデルの「A4オールロードクワトロ」が(本国で)出る予定。ますます悩ましくなるなぁ。
コ:Q5単体で見れば、大トルクと燃費との兼ね合いもあるし、2リッターモデルを選ぶかな。3.2リッターより100万円近く安いのも大きい。
せ:欧州じゃどっちも人気で、いまは3カ月分のバックオーダーかかえてるそうです。
コ:Q5に続いて、ボルボや日産からもこのクラスのSUVが出てくるし。2009年はハイブリッド一色になるかと思ったけど、SUVもずいぶん元気があるやん。
せ:ハイブリッドのSUVが、レクサスから出たばかりですけどね。アウディには、環境対策として力を入れているディーゼル版の日本導入にも期待したいところです。
(文=webCG近藤俊&関顕也/写真=アウディ・ジャパン、webCG)
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近藤 俊

関 顕也
webCG編集。1973年生まれ。2005年の東京モーターショー開催のときにwebCG編集部入り。車歴は「ホンダ・ビート」「ランチア・デルタHFインテグラーレ」「トライアンフ・ボンネビル」などで、子どもができてからは理想のファミリーカーを求めて迷走中。
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