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【スペック】TSIハイライン:全長×全幅×全高=4210×1790×1485mm/ホイールベース=2575mm/車重=1340kg/駆動方式=FF/1.4リッター直4DOHC16バルブターボ+スーパーチャージャー(160ps/5800rpm、24.5kgm/1500-4500rpm)/価格=312万円(テスト車=341万4000円/RNS510+ETC+Media-in+リアビューカメラ=29万4000円)

フォルクスワーゲン・ゴルフTSIコンフォートライン(FF/7AT)/TSIハイライン(FF/7AT)【試乗速報】

基準はさらに上がった 2009.04.14 試乗記 生方 聡 フォルクスワーゲン・ゴルフTSIコンフォートライン(FF/7AT)/TSIハイライン(FF/7AT)

……308万6000円/341万4000円


新型「ゴルフ」に国内初試乗。内外装のデザインをリファインし、インテリアの質感、静粛性の向上が謳われる6代目ゴルフの進化を試す。
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フルモデル(デザイン)チェンジ

走り出した瞬間、いや正確にはエンジンをスタートさせた瞬間から、新型「ゴルフ」の進化が伝わってくる。フォルクスワーゲンが「史上最高のゴルフ」と呼ぶのは、決して誇張ではなかった。コンパクトカーのベンチマークとして、つねに時代をリードしてきたゴルフが、フルモデルチェンジを経て、ライバルたちとの差をさらに広げたという印象だ。

そもそも先代の5代目ゴルフは、高い完成度を誇っていた。太いCピラーを特徴とする2ボックススタイルを受け継ぎながら、ゴルフとしては初めてリアマルチリンクサスペンションを採用することで、ハンドリングと乗り心地を一気に向上。
また、デビュー当時、直噴ガソリンエンジン「FSI」と6段ATという組み合わせだったパワートレインを、モデルライフ途中で一新。小排気量過給エンジンの「TSI」を6段または7段のデュアルクラッチギアボックス「DSG」と組み合わせることにより、燃費と走りを見事両立したのだ。

そんな5代目ゴルフのプラットフォームやパワートレインを基本的に踏襲し、細部にまで磨きをかけたのが6代目ゴルフということになる。あまりの手堅さに、フルモデルチェンジとしては面白みに欠けるものの、デザインさえハズさなければ、成功は約束されたようなものだ。

初代「ゴルフ」(右奥)と新型「ゴルフ」。
初代「ゴルフ」(右奥)と新型「ゴルフ」。 拡大
【スペック】TSIコンフォートライン:全長×全幅×全高=4210×1790×1485mm/ホイールベース=2575mm/車重=1290kg/駆動方式=FF/1.4リッター直4DOHC16バルブターボ・インタークーラー付き(122ps/5000rpm、20.4kgm/1500-4000rpm)/価格=275万円(テスト車=308万6000円/RNS510+ETC+Media-in+マルチファンクションステアリング+リアビューカメラ=33万6000円)
【スペック】TSIコンフォートライン:全長×全幅×全高=4210×1790×1485mm/ホイールベース=2575mm/車重=1290kg/駆動方式=FF/1.4リッター直4DOHC16バルブターボ・インタークーラー付き(122ps/5000rpm、20.4kgm/1500-4000rpm)/価格=275万円(テスト車=308万6000円/RNS510+ETC+Media-in+マルチファンクションステアリング+リアビューカメラ=33万6000円) 拡大
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変わるもの、変わらないもの

さいわい新型「ゴルフ」のデザインは、なかなかの男前だ。真横からの眺めは見慣れたゴルフスタイルだが、横長の水平グリルとやや切れ上がったヘッドライトがつくりだす表情は、先代とは対照的にクリアでシャープ。すでに海外で発表されている2ドアクーペ「シロッコ」や新型「ポロ」にも取り入れられるこのイメージは、おそらく多くの人から支持されるのではないだろうか。

室内を覗くと、一段と質感を上げたインテリアに目を奪われる。先代もダッシュボードなどの質感は高かったが、新型ではセンタークラスターまわりの素材が上質になった。また、円筒状のメーターデザインやクロームを施したエアベントなどがアクセントとなって、ひとクラス上のクルマに乗っている気分だ。とはいえ、先代と同一のホイールベースとわずかに5mm長い全長ゆえ、後席や荷室のスペースは先代とほぼ変わらない。

変わらないといえば、用意されるパワートレインは先代ゴルフまたは現行の「ゴルフヴァリアント」と同じタイプだ。エンジンは、排気量1.4リッターの直噴ガソリンユニットで、ターボが備わる“シングルチャージャー”TSI(122ps)が「ゴルフTSIコンフォートライン」に、ターボとスーパーチャージャーを組み合わせた“ツインチャージャー”TSI(160ps)が「ゴルフTSIハイライン」にそれぞれ搭載される。そして、どちらのモデルにも、2組の乾式クラッチを持つ7段DSGが組み合わされる。


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TSIハイラインのインパネ。
TSIハイラインのインパネ。 拡大
TSIハイラインに搭載されるツインチャージャーTSI(160ps)エンジン。
TSIハイラインに搭載されるツインチャージャーTSI(160ps)エンジン。 拡大

静粛性も快適性もワンランクアップ

箱根で開催されたプレス試乗会で、「TSIコンフォートライン」と「TSIハイライン」の両者を試すことができた。まずは売れ筋となるに違いないエントリーグレード、TSIコンフォートラインの運転席に滑り込んだ。

エントリーグレードといっても、従来の「トレンドライン」とは異なり、ステアリングホイールやシフトレバーには本革が施され、エアコンも2ゾーンのオートエアコンが標準装着となる。もはや廉価版というイメージはどこにもない。

ソフトな座り心地のファブリックシートを調節して、さっそくエンジンスタート。あれっ、エンジンが遠くにあるみたいだ! 同じパワートレインを積む現行「ゴルフヴァリアント」を日常の足にする私は、この瞬間、新型「ゴルフ」の高い静粛性を思い知った。
走り出すと、加速時にいつも気になっていた少しざらついたエンジンノイズが明らかに軽減されている。ロードノイズもまたしかりだ。遮音層を挟み込んだフロントウインドウや、厚みを増したフロントサイドウインドウなど、数々の遮音対策が功を奏しているのだろう。

シングルチャージャーTSIエンジンは、7段DSGとの組み合わせで、発進から十分な加速を示すだけでなく、箱根のような山道でも不満のない走りをもたらす。エンジンやDSGのフィーリングも、先代に比べて一段とスムーズに感じる。

これだけでも驚いてしまうが、乗り心地の進化はさらに著しい。先代でもベーシックグレードの乗り心地は快適かつ落ち着いたものだったが、新型ゴルフは先代より1インチ大きな205/55R16サイズのタイヤを履くにもかかわらず、さらに洗練された印象なのだ。サスペンションの動きもしなやかさを増している。ワインディングロードでは若干ロールスピードが速くなったように感じたが、先代以来の軽やかな身のこなしは健在だ。

TSIトレンドラインのインパネ。
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写真をクリックするとシートが倒れるさまが見られます。
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フォルクスワーゲン・ゴルフTSIコンフォートライン(FF/7AT)/TSIハイライン(FF/7AT)【試乗速報】の画像 拡大
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さらなる高みへ

上級グレードのTSIハイラインは、さらに鮮烈な印象だった。アルカンターラ&ファブリックのスポーツシートに陣取ると、TSIコンフォートラインとは対照的に座り心地は硬めで、サイドのサポート性も高い。ステアリングホイールにはパドルシフトが付き、このTSIハイラインが装備充実グレードというよりもむしろスポーティな位置づけであることがわかる。

動き出すと、ハイパワーに見合うよう少し締め上げられた足まわりのせいで、硬さを増した乗り心地。225/45R17サイズのタイヤがおごられるため、快適性が損なわれるのではないかと心配したのが、予想はまんまと裏切られ、低速でも実にマイルド。インチアップしたタイヤを無難に履きこなしていた。ワインディングロードでは踏ん張りが効くぶん、おのずとコーナリングスピードが上がってしまう。

TSIは、ごく低回転から力強いトルクを発生する。シングルチャージャーTSIが2リッター並みのトルクなら、こちらは2.5リッター相当というところだろうか。
その頼もしさは最大トルクを発生する1500-4500rpmの回転域ではもちろんのこと、さらに回転を上げてもさほど頭打ちになることなくトルクは持続。「ゴルフGTI」に搭載される2リッターTSIのように気持ちよく回転を上げる勢いこそないが、ワインディングロードやハイウェイで力不足を感じることはまずないだろう。
エンジンルームからのノイズはシングルチャージャーTSIよりも大きめだが、高い遮音性のおかげで、耳に障ることはなく、安っぽい感じは解消された。

というわけで、短時間の試乗とはいえ、ゴルフの進化は十分に実感できた。残念ながら実用燃費は確認できなかったが、すでに実績のあるパワートレインだけに、おそらく期待を裏切ることはないだろう。あらゆる面で洗練され、進化を遂げた新型ゴルフ。コンパクトカーのベンチマークの座は当分揺らぎそうにない。

(文=生方聡/写真=高橋信宏)


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TSIハイラインは、アルカンターラ&ファブリックのスポーツシートを標準装備。オプションで本革シートも選べる。
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生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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