三菱アウトランダー24G Navi Package(4WD/CVT)【試乗記】
ミニバンを卒業したら 2012.11.15 試乗記 三菱アウトランダー24G Navi Package(4WD/CVT)……318万4000円
「安全性」「低燃費」「上質感」が見どころと、新型「アウトランダー」はなかなか欲ばりなクルマである。「プレミアムツーリングSUV」の走りはいかに?
スッキリ立ち姿に電子デバイスを満載
2012年10月25日に販売が開始された2代目「アウトランダー」の眼目は3つ。「内外装の質感向上」「安全装備の充実」「環境性能アップ」である。
朝の丸の内かいわいで、新型アウトランダーを眺めると、なかなかのバックシャン(死語!?)。薄いハの字型のリアコンビネーションライトが、キレイにサイドの深いキャラクターラインにつながって、立ち姿がスッキリしている。
一方、好き嫌いが分かれそうなのが、フロントマスクだ。初代はわかりやすい二枚目顔だったから、「新しい顔は少々煩雑」と思う人が出そうだ。フロントフェンダーから顔の左右にまわり込む曲線のラインは特徴的だが、視覚的に外側への広がりを制限する。「できるだけ大きく見せたい」ことの多いSUVにあっては、珍しい手法だ。「三菱コルト」もヘッドランプの両側に余白をつくって左右への広がりを止めていたから、三菱車におけるデザイン上のひとつの流儀なのかもしれない。
全長4655mm、全幅1800mm、全高1680mmというボディーサイズは先代とほとんど変わらない。2670mmのホイールベースも同寸。新型アウトランダーは、初代の腰下を活用しつつ、大きくイメージを変えた上屋を載せ、電子デバイスを追加し、アップデートしたクルマといえよう。
日本でのラインナップは、2リッター(150ps、19.4kgm)と2.4リッター(169ps、22.4kgm)に大別される。エンジンはいずれも4気筒で、連続可変バルブリフトシステムを搭載したニューMIVECとなる。トランスミッションはどちらもCVT。駆動方式は2リッターがFF、2.4リッターが4WDである。ボンネットを開けて直列4気筒を収めたエンジンルームを見ると、ずいぶんと余裕があるから、国と地域によってはV6を積むのだろう。
価格は、最廉価の「20G」が242万7000円。今回の試乗車「24G Navi Package」は最上級グレードで、車両本体価格は310万円。オプションのS-AWCが8万4000円。S-AWCとは「Super All Wheel Control」の略で、旋回性や直進の安定性を上げるシステムのこと。AFD(アクティブフロントデフ)を介してフロント左右輪のトルク分配を加減、ヨー(回ろうとする力)をコントロールする。電子制御パワーステアリングやブレーキとの協調制御を採る、高度な4WDシステムだ。
説明が前後するが、前後間に電子制御多板クラッチを置く、ベースとなる4WDシステムに大きな変更はない。「4WD AUTO」「4WD LOCK」、そしてこれまでのFFモードに代わって「4WD ECO」が採用された。これは、できるだけFFで走る「4WD AUTO」である。
適度な「エコ具合」
新型アウトランダーに乗り込んでエンジンをかけると、回転計と速度計の間にエコマーク(ECOスコア)が点灯した。5枚の葉のうち、3枚が緑になっている。「直前までこのクルマを運転していたドライバーは、5段階評価の3か……」と思いながら、発進する。
センターコンソール、マルチインフォメーションディスプレイ下のいい場所に、ECOモードボタンが設けられている。ボタンを押すだけで、エンジン、エアコン、4WDの制御がエコ方向へシフトされる。具体的には、スロットル開度を制御して、やんわり発進、加速するようになり、エアコンは抑え気味に、駆動方式はできるだけFF状態で走る「4WD ECO」になる。
運転中は、ECOドライブサポートシステムが稼働する。バーグラフでエコ運転状況をリアルタイムで表示、ドライバーに「エコ」を意識させる仕組みだ。さらに、5段階評価のECOスコアで発奮を促す。アイドリングストップの累積時間を表示させる機能「AS&Gモニター」も用意される。
エコモードでの運転に関しては、一日「2.4リッター+CVT」のアウトランダーと付き合って、不満に感じることはなかった。街なか、高速道路とも、適度なエコ具合。走行中に痛痒(つうよう)を感じることはない。いざ加速が欲しいときは、ハンドル裏のパドルを引いて、ギアを落とせばいいだけである。一方、ECOドライブサポートシステムについては、ドライバーの意識の低さゆえか、あまり効果を感じられなかった。試乗開始時に青葉マークを意識したきり、あとはすっかり忘れていた。
「24G Navi Package」のカタログ燃費(JC08モード)は14.4km/リッター(ただし、テスト車は車重が1531kgを超えるために14.0km/リッターに低下する)。この日、東京から横浜までを往復して100kmほど走り、満タン法でチェックしたところ、実燃費は8.4km/リッターだった。
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敏感な「車線逸脱警報」は親心?
新しいアウトランダーには、グレードを問わず「前席左右」「サイド&カーテンエアバッグ」「運転席ニーバッグ」と7つのエアバッグが装着される。乱れた挙動を落ち着かせる「ASC」も全車装備だ。
さらに三菱自動車では、3つのアクティブセーフティー機能を「e-Assist(イーアシスト)」として、「24G Safety Package」と「24G Navi Package」に標準装備とした。車間距離を保持したまま先行車を追う「レーダークルーズコントロールシステム」、衝突直前に自動でブレーキをかける「衝突被害軽減ブレーキシステム」、そして白線をまたごうとすると警告する「車線逸脱警報システム」が含まれる。
前者2つは、グリル内に装着されたミリ波レーダーを使って、前走車(障害物)との距離を測るシステム。高速道路でクルーズコントロールを働かせると、速度を加減しながら前走車との距離を保ってくれる。割り込みがあると、しっかりブレーキをかけて減速する。「車間距離くらい、自分で保つわい!」と思わないでもないが、長時間、長距離のドライブで安楽を決め込むにはいいかもしれない。
衝突被害軽減ブレーキシステムは、いわばクルーズコントロールの応用編だ。前方のクルマや障害物との距離が迫ると、警報音、軽微な自動ブレーキに続き、最終的にはフルブレーキまで踏んでくれる。以前、クローズドコースで体験した際には、かなり強いブレーキが踏まれるのに驚いた記憶がある。幸いなことに、今回の試乗中に発動されることはなかった。
車線逸脱警報システムは、リアビューミラー付近に設置されたカメラで道路の白線を認識するもの。時速65km以上で作動させることで、一般道で警報音がうるさく鳴ることを防いでいるが、高速道路でも「意外とウルサイ」ことがわかった。大型トラックを追い越す際や、前方で工事をしていて、車線内で白線に寄ることがあると、すかさず警報音に怒られる。もちろん、白線との距離だけでなく、アクセルやハンドル操作も作動のパラメーターに組み込んでいるはずだが、もう一歩、洗練が必要と感じた。「本当に危ないときに鳴らないよりは……」との親心なのだろうが、煩わしいと機能をオフにされてしまったら、元も子もない。
初代アウトランダーがスマッシュヒットとなった理由は、手頃な大きさの「7人乗りSUV」ということがある。サードシートは、相変わらず膝を抱くような体育座りを強いられるが、シートの横幅が広がり、クッションが良くなったため、実用度が増している。セカンドシートを少し前にスライドしてもらえば、大人でも短距離なら我慢できよう。一般的なミニバンに飽き足らず、ちょっとアクティブなピープルムーバーを探している人は、チェックしてみてもいい。
(文=青木禎之/写真=小林俊樹)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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