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【スペック】A3 スポーツバック1.8 TFSI (FF/6AT):全長×全幅×全高=4292×1765×1423mm/ホイールベース=2578mm/車重=1320kg/駆動方式=FF/1.8リッター直4DOHC16バルブターボ・インタークーラー付き(160ps/5000-6200rpm、25.5kgm/1500-4200rpm)(欧州仕様車)

アウディA3シリーズ【海外試乗記】

次のステージへ 2008.06.12 試乗記 河村 康彦 アウディA3シリーズ

現行モデル発売から4年、アウディのコンパクトモデル「A3」がマイナーチェンジを受けた。内外装の小変更、エンジンのアップデイトなどが主な内容。ミュンヘンからリポート。
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直4ターボチャージャー+Sトロニック

「アウディA3」は、1996年に初代モデルがデビュー。2代目は、2003年に3ドア、翌年に“スポーツバック”を謳う5ドアモデルがリリースされた。その現行モデルは、登場から4年が経過した2007年、年間生産台数が新記録を達成するなど、依然として注目すべきセールスの勢いをキープしている。
そんな中おこなわれたマイナーチェンジは、各モデルに積まれるパワーパック、つまりエンジンとトランスミッションをそれぞれ新バージョンへと刷新したのが主なメニューだ。

A3シリーズのイメージリーダーともなる「S3」は、2代目として日本市場に初上陸。これまでの3ドアボディに加え、5ドアボディにも設定されたことが、この期に及びようやく日本での販売を実現した理由と推測される。

というわけで、「この秋から日本でも発売」という最新モデルが、すべて5ドアモデルというのは今と同じ。ただし、日本市場向けは6気筒モデルがカタログ落ちした。4WDの“クワトロ”シャシーは、2リッターのターボエンジンとの組み合わせになるなど、ラインナップは大きく変更された。日本のA3がすべて“Sトロニック”仕様となるのも今回のリファインを機としたニュース。

いずれにしても、アウディが展開する「直噴ターボ付きエンジン+Sトロニック」という最新パワーパック戦略は、まずは末っ子であるA3シリーズから明確になった。

ヘッドライトの上縁に沿って光るLEDは、ポジションランプの役割を果たす。
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日本導入モデル

そうは言っても、ミュンヘン郊外で開催された国際試乗会に用意されたテストカーの大半はまだMT仕様。同エンジンを積むA3のMT仕様とSトロニック仕様の価格差は2000ユーロ前後(約33万円)。トランスミッションにそれだけの高コストを支払うという人はたしかに彼の地ではまだ少数派だろう。“Sトロ”の未来はまずコストの低減にあるのかも知れない。

そんな数少ないSトロ仕様でテストドライブできたのは、日本に導入予定される「スポーツバック2.0T クワトロ」。
0→100km/h加速が6.7秒、最高速が236km/hというだけあって、想像以上のスピード性能の持ち主だ。アウトバーンでは120km/h付近からダウンシフトもなしにグングンと加速するトルク感が大きな魅力だが、残念ながら日本ではそんな領域は“ご法度”となってしまう。

テスト車には、磁性体を含む特殊なフルードにかける磁力をコントロールし、ダンピングフォースを制御する可変減衰力ダンパー“マグネティックライド”が装着されていた。ところが、それにもかかわらず乗り心地が「意外にファーム」と感じられた。これは、テスト車が標準サイズ比1インチアップの18インチのシューズを履いていた影響もあるだろう。ここまで活発に走ると、「S3」の立場をちょっとばかり危うくしてしまいそうだ。

ダウンサイジング戦略の1.4リッターモデル

次に試乗したのは、1.4リッターモデル。シングルターボ過給をおこなう1.4リッターの直噴エンジンは、すでに「フォルクルワーゲン・ゴルフ」がリリースをしているものと同ユニット。プレミアムブランドとしての意地?か、ゴルフに比べ何故か3ps増しの「最高出力125ps」をアピールする。
ボディは3ドアだったが、こちらも日本導入予定の“Sトロ”でテストドライブが実現。ただし、2リッター以上のエンジンに組み合わせるお馴染みの湿式クラッチによる6段に対し、1.4リッターに設定されるのは、「より高効率」を売り物とする新開発の乾式クラッチの7段仕様となる。

すでにドライブ経験のあるゴルフでも感じたが、このパワーパックで感心するのは“6段Sトロ”以上に滑らかな発進時や微低速時のクラッチワークだ。また、小排気量ゆえの絶対的なエンジントルクの小ささがプラスに作用をしているのか、どんなシチュエーションでも殆どギクシャク感のないこうしたコントロールは秀逸だ。

静粛性の高さには驚かされる一方、フットワークは突っ張り気味の印象否めず。このグレードには“マグネティックライド”の用意がないのに加え、やはり標準+1インチの17インチシューズを履いていたことが快適性にはマイナスの影響を及ぼした感アリ。

【スペック】A3スポーツバック 1.4TFSI (FF/7AT):全長×全幅×全高=4292×1765×1423mm/ホイールベース=2578mm/車重=1285kg/駆動方式=FF/1.4リッター直4DOHC16バルブターボ・インタークーラー付き(125ps/5000rpm、20.4kgm/1500-4000rpm)(欧州仕様車)
【スペック】A3スポーツバック 1.4TFSI (FF/7AT):全長×全幅×全高=4292×1765×1423mm/ホイールベース=2578mm/車重=1285kg/駆動方式=FF/1.4リッター直4DOHC16バルブターボ・インタークーラー付き(125ps/5000rpm、20.4kgm/1500-4000rpm)(欧州仕様車) 拡大
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プレミアムな「A3」と高性能版「S3」

上記2モデル以外で日本導入が予定されるA3は、1.8リッターモデルだが、テストカーの都合上MTでのテストドライブになった。
0→100km/h加速=9.5秒を謳う前出の「1.4T」でも、日常シーンでの動力性能にはまるで不満ナシ。だが「プレミアムなアウディ車には、プレミアムな加速の能力が欲しい」となると、同7.7秒というデータをマークする「1.8T」が脚光を浴びる。
今回のテストカーは標準のサスペンション仕様だったものの、このモデルならば“マグネティックライド”の選択も可能。ただし、日本での脚の仕様はまだ未決定とのこと。

最後に、今回日本初導入となる「S3」もMT仕様だがすこし試せたので紹介しよう。
1.5トンを下回る重量に最高265psのターボパワーは伊達ではない。例えばポルシェラインナップでも「ケイマン」「ボクスター」程度ならば楽に追い回せそうだ。
ただし、そんなパワフルさが売りの心臓も、アクセルレスポンスはそうシャープではなく、「MTを駆使する楽しさ」は今ひとつ。スタビリティやコーナリング性能など“走り”のフットワークは、“マグネティックライド”の採用で快適性を何とか確保しているという印象だ。

225/40という“薄いタイヤ”ゆえのエアボリュームの小ささを補う目的での、低負荷時でフロント3.1bar、リア2.7barと極めて高い空気圧の設定も、特に低速時の乗り心地にはちょっと悪さをしていそう。

(文=河村康彦/写真=アウディジャパン)

S3には、クロスとレザー素材のスポーツシートが採用される。
S3には、クロスとレザー素材のスポーツシートが採用される。 拡大
クロームメッキのラジエーターグリルがひときわ目をひくS3。ルーフスポイラーやサイドシルなどに、シャープなラインがはいる。スポイラーリップ付きのバンパーもスポーティさを強調。
クロームメッキのラジエーターグリルがひときわ目をひくS3。ルーフスポイラーやサイドシルなどに、シャープなラインがはいる。スポイラーリップ付きのバンパーもスポーティさを強調。 拡大
【スペック】S3スポーツバック (4WD/6AT):全長×全幅×全高=4302×1765×1402mm/ホイールベース=2578mm/車重=1495kg/駆動方式=4WD/2リッター直4DOHC16バルブターボ・インタークーラー付き(265ps/6000rpm、35.7kgm/2500-5000rpm)(欧州仕様車)
【スペック】S3スポーツバック (4WD/6AT):全長×全幅×全高=4302×1765×1402mm/ホイールベース=2578mm/車重=1495kg/駆動方式=4WD/2リッター直4DOHC16バルブターボ・インタークーラー付き(265ps/6000rpm、35.7kgm/2500-5000rpm)(欧州仕様車) 拡大
河村 康彦

河村 康彦

フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。

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