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【スペック】全長×全幅×全高=4605×1795×1465mm/ホイールベース=2625mm/車重=1470kg/駆動方式=4WD/2リッター水平対向4DOHC16バルブターボ インタークーラー付き(320ps/6400rpm、44.0kgm/3200-4000rpm)/価格=593万2500円(テスト車=596万4000円/特別塗装色サテンホワイトパール=3万1500円)

スバル・インプレッサS206 NBR CHALLENGE PACKAGE(4WD/6MT)【試乗記】

乗ってもプレミアム 2012.02.06 試乗記 下野 康史 スバル・インプレッサS206 NBR CHALLENGE PACKAGE(4WD/6MT)
……596万4000円

スバルのモータースポーツ部門を担うSTIが手がけた、“チューンド・インプレッサ”「S206 NBR CHALLENGE PACKAGE」に試乗。その仕上がりを富士山ろくの道で吟味した。
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人気も値段もハンパじゃない

発売は2011年11月24日。限定トータル300台の注文を2012年の春先まで受け付けるはずだったのに、あっというまに売り切れてしまったのが、「スバル・インプレッサWRX STI 4ドア」の特別仕様、「S206」だ。

とくに今回試乗した“大吟醸100台”の「S206 NBR CHALLENGE PACKAGE(ニュルブルクリンク・チャレンジ・パッケージ)」は、発売を知らせる11月24日付けのプレスリリースに早くも「受注が販売予定台数に達しました」と小さく書かれていた。なんだそりゃ。
ただ、関係者に聞いたところ、こういう場合は「とりあえず販売店が押さえた」というケースが多いので、必ずしもあきらめたものではないらしい。がんばってみてください。

そんなS206は言うまでもなく「WRX STI」の最高峰である。308psのノーマル2リッター水平対向4気筒ターボをさらに磨いて320psとしたほか、ビルシュタイン・ダンパーやSTI製コイルスプリング、BBSの19インチホイール、245/35の「ミシュラン・パイロットスポーツ」、レカロシート、空力パーツなど、S206の専用品、もしくは専用チューニングがふんだんに盛り込まれる。

さらにそれをベースにして、カーボンルーフ、ドライカーボン製リアウイングなどを装備したのが、2011年の「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」クラス優勝を記念したNBR CHALLENGE PACKAGEである。ノーマルのWRX STIは373万8000円だが、S206は540万7500円。NBRは593万2500円になる。


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「S206 NBR CHALLENGE PACKAGE」のトランクリッドには、ドライカーボン製の大型スポイラーがそそり立つ。素の「S206」にも、オプションとして取り付け可能。
「S206 NBR CHALLENGE PACKAGE」のトランクリッドには、ドライカーボン製の大型スポイラーがそそり立つ。素の「S206」にも、オプションとして取り付け可能。 拡大
専用のステアリングホイールや「S206」のロゴ入りインストゥルメントパネルが与えられるインテリア。シフトレバーの前方にはシリアルナンバー入りのプレートも備わる。なお、「S206」のトランスミッションはMTのみとなる。
専用のステアリングホイールや「S206」のロゴ入りインストゥルメントパネルが与えられるインテリア。シフトレバーの前方にはシリアルナンバー入りのプレートも備わる。なお、「S206」のトランスミッションはMTのみとなる。 拡大
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品のある速さ

S206も、ラインオフするのはほかのWRX STIやインプレッサと同じく、群馬県太田市の矢島工場だが、試乗車は東京都三鷹市にあるSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)の所有。シフトレバーの近くに貼られたシリアルナンバーは「000/300」だった。「売り物の300台とは別枠のクルマですよ」という意味だろうか。

専用のレカロシートは、体の当たり面がソフトなアルカンターラで、そのほかはレザー。バケットタイプだが、もちろんリクライン調節は可能。シートリフターも付いている。
今のWRX STIは、ワイルドスピードな蛮カラさよりスムーズさのほうにむしろ感心させられる。新宿スバルビルの地下駐車場をスタートしたS206 NBRの第一印象もまさにそうだった。

STIが腕によりをかけた320psユニットは、当然のことながらパワフルだ。7000rpmを超すと、回転計の中で赤ランプが点滅し始める。さらに踏み続ければ8000rpmでリミッターが作動する。トップエンドの1000rpmはさすがにやや苦しげになるから、黄色ではなく赤点滅というのは正直なウォーニングだが、とにかく回るところまで回すと、6段MTの1速でも70km/h出る。その一方、低速トルクも十分だから、早め早めにシフトアップしていってもついてくるし、速い。しかし、速く走らせても荒っぽさはない。

乗り心地もいい。硬いことは硬いが、いかにも初期作動の滑らかな高級ダンパーらしく、いやなゴツゴツ感がない。ノーマルWRX STIよりさらに好戦的なサンゴーを履くことを思えばなおさらだ。三菱の「ランエボ」と熾烈(しれつ)な“インラン競争”を繰り広げていた昔と比べると、スバルのトップガンもつくづくプレミアムになったものだと思う。

「S206」のシートは、グレーのレザーとブラックのアルカンターラからなる専用品。ダークレッドのシートベルトもスペシャルアイテムのひとつだ。
「S206」のシートは、グレーのレザーとブラックのアルカンターラからなる専用品。ダークレッドのシートベルトもスペシャルアイテムのひとつだ。 拡大

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ボールベアリング入りのターボなどでスペシャルチューンが施された心臓部。サスペンション取り付け部に見られるのは、車体の挙動を安定させる「フレキシブルタワーバー」。
ボールベアリング入りのターボなどでスペシャルチューンが施された心臓部。サスペンション取り付け部に見られるのは、車体の挙動を安定させる「フレキシブルタワーバー」。 拡大
4本出しの低背圧スポーツマフラーが迫力のリアビュー。黒く見えるルーフは、軽量なドライカーボン製である。
4本出しの低背圧スポーツマフラーが迫力のリアビュー。黒く見えるルーフは、軽量なドライカーボン製である。 拡大

見方によっちゃリーズナブル?

少なくともぼくのスピードでは、操縦性もひたすらスムーズである。コーナリング中、何をやっても許してくれる。掌(てのひら)の上で遊ばせていただいている感じだ。ただ、最近の高性能車の傾向からすると、パワステの重さがちょっと古臭い。もう少し軽くしたほうがクルマ全体のプレミアム感とも合う。

NBR特装品のカーボンルーフがどんな効果を上げているのかは、素のS206と乗り比べていないのでわからないが、屋根といういちばん高いところにある大きなパーツを軽くして悪かろうはずがない。東レと共同開発したこのカーボンルーフは、2011年1月に限定発売された「WRX STI tS」が初出だが、その試乗会でスチールルーフの「spec C」と比べた経験では、やはり明らかにクルマが低重心に感じられた。

そのとき、若いSTIのエンジニアと話していて、今のWRX STIのベンチマークが「BMW M3」だと聞いて驚いた。STIが持っている虎の子の実験車両も「M3」なのだそうだ。

でも、たしかにS206 NBRに乗っていると、このクルマの開発陣のアイドルがM3であることはうなずける。WRX STIがM3になっちゃうの!? とも思うが、造っている人がそれを目指しているのだから、仕方ない。目玉が飛び出るほど高い価格も、M3の半値と思えば、ぜんぜん高くないのだろうか。

(文=下野康史/写真=峰昌宏)


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ホイールは、大径19インチのBBS製鍛造アルミ。「S206 NBR CHALLENGE PACKAGE」にはブラックのものが、ノーマルの「S206」にはシルバーのものが組み合わされる。
ホイールは、大径19インチのBBS製鍛造アルミ。「S206 NBR CHALLENGE PACKAGE」にはブラックのものが、ノーマルの「S206」にはシルバーのものが組み合わされる。 拡大
「S206」のベース車体は先代「インプレッサ」の4ドアセダン。5人乗れてトランクルームも広いという、実用性の高さも自慢である。荷室容量は後席を倒すことで拡大可能。
「S206」のベース車体は先代「インプレッサ」の4ドアセダン。5人乗れてトランクルームも広いという、実用性の高さも自慢である。荷室容量は後席を倒すことで拡大可能。 拡大
「S206 NBR CHALLENGE PACKAGE」の車両本体価格(593万2500円)は、ノーマル「S206」の52万5000円高。ドライカーボン製リアスポイラー、専用デカール、カーボンルーフ、専用サイドシルプレートが装備の違いだ。
「S206 NBR CHALLENGE PACKAGE」の車両本体価格(593万2500円)は、ノーマル「S206」の52万5000円高。ドライカーボン製リアスポイラー、専用デカール、カーボンルーフ、専用サイドシルプレートが装備の違いだ。 拡大
下野 康史

下野 康史

自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。

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