ルノー・トゥインゴGT(FF/5MT)【海外試乗記(前編)】
小さな弾丸(前編) 2007.08.13 試乗記 ルノー・トゥインゴGT(FF/5MT)2007年のジュネーブショーで発表された「ルノー・トゥインゴ」。14年ぶりのフルモデルチェンジとなった新型のターボモデルに試乗した。
初代の完成度
フランスで人気を博したコンパクトハッチ「ルノー・トゥインゴ」の後継モデル、いわゆる「“ヌーベル”トゥインゴ」の本国での販売が、2007年夏から開始された。
初代トゥインゴは、1992年に登場した3ドアモデル。小さなボディに広い室内をもつ。リアシートを前後にスライドさせ、自在に後席/荷室のスペースを増減できる、まことに使い勝手のいいタウンカーだった。
1.2リッターエンジンは、非力ながらもそれなりにトルキーで、よく回った。狭い道、わずかな駐車スペース。カラフルなトゥインゴは、パリにもっともフィットするクルマの1台だったといえる。
10年を越えるモデルライフの間にさまざまなバージョンが登場した。エンジンは、当初のOHVからSOHCに変更されたが、基本的なキャラクターは変わらなかった。初代トゥインゴのポテンシャルとユーティリティの高さがうかがえる。
注目のターボユニット
トゥインゴが投入される、欧州でのサブコンパクト、コンパクトカーのセグメントは激戦区だ。各メーカーとも、自社モデルのサイズアップとプレミアム化を押し進めている。ご多聞にもれず2代目トゥインゴもサイズアップした。
ファニーなスタイルから一転、日本のハイトワゴン調のボディになったヌーベル・トゥインゴのサイズは、全長×全幅×全高=3600×1654×1470mm。ホイールベースは、22mm長い2367mmとなった。
ライフスタイルに合わせてグレードも豊富。一番シンプルな「1.2(トゥインゴ)」にはじまり、「オーセンティック」「エキスプレッション」「ダイナミック」、最上級モデルとして「GT」と「イニシアル」と6つの仕様が用意された。
エンジンは、ベーシックな1.2、その16バルブ版、1.5ディーゼル、そして注目のGT搭載ユニット「TCEターボ」がある。1149ccの排気量から、100ps/5500rpmの最高出力と14.8kgm/3000rpmの最大トルクを発生する4気筒16バルブである。
1.6/1.4、そして1.2
ご存知のように、欧州ではディーゼルエンジン全盛だ。ただ、原油から取れる軽油の比率と比較した場合、国によってはディーゼル車比率が高くなりすぎたといった観測もある。
一方、ガソリンエンジンでは、ターボを用いての燃費向上がひとつのトレンドになっている。燃料噴射の精緻化で、ターボエンジンの大きな出力はそのままに、高い圧縮比によって効率を根本的に上げることが可能になったからだ。低回転域からの太いトルクの恩恵で、ドライバーはエンジンをあまり回さずに走れ、結果的に燃費が向上するというロジックだ。
フォルクスワーゲンやBMWといったドイツ勢が、ディーゼル同様「燃費のよさ」を売り言葉に、新しい過給機付きエンジンを投入している。1970年代、ライバルに先駆けてF1マシンにターボを装着した過去をもつターボエンジンの老舗(!?)ルノーが黙っているはずはない。
「1.6リッターカー並の最高出力、1.4リッターカー並みのトルク、そして1.2リッターカー並みの燃費」を謳って、“Low inertia turbo”たるTCEユニットを、ヌーベル・トゥインゴのラインナップに加えた。このタイプのエンジンは、「クリオIII」「モデュス」にも積まれることが決定している。
(後編へつづく)
(文=沼口高幸/写真=野間智)

沼口 高幸
-
日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
-
アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
-
ドゥカティXディアベルV4(6MT)【レビュー】 2025.12.1 ドゥカティから新型クルーザー「XディアベルV4」が登場。スーパースポーツ由来のV4エンジンを得たボローニャの“悪魔(DIAVEL)”は、いかなるマシンに仕上がっているのか? スポーティーで優雅でフレンドリーな、多面的な魅力をリポートする。
-
ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
-
アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
-
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
NEW
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
NEW
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。 -
ホンダCR-V e:HEV RS
2025.12.4画像・写真およそ3年ぶりに、日本でも通常販売されることとなった「ホンダCR-V」。6代目となる新型は、より上質かつ堂々としたアッパーミドルクラスのSUVに進化を遂げていた。世界累計販売1500万台を誇る超人気モデルの姿を、写真で紹介する。 -
アウディがF1マシンのカラーリングを初披露 F1参戦の狙いと戦略を探る
2025.12.4デイリーコラム「2030年のタイトル争い」を目標とするアウディが、2026年シーズンを戦うF1マシンのカラーリングを公開した。これまでに発表されたチーム体制やドライバーからその戦力を分析しつつ、あらためてアウディがF1参戦を決めた理由や背景を考えてみた。






























