BMW X5 3.0si(4WD/6AT)/4.8i(4WD/6AT)【短評(前編)】
揺るぎない存在感(前編) 2007.07.24 試乗記 BMW X5 3.0si(4WD/6AT)/4.8i(4WD/6AT)……893万2000円/1144万4000円
7年ぶりのフルモデルチェンジを果たしたX5。
エッジの効いたデザインをまとった新型に、生方聡が乗った。
足元に注目!
7年ぶりにフルモデルチェンジした「BMW X5」。新しいところはたくさんあるけれど、私が注目したいのはランフラットタイヤを全車に標準装着した点だ。悪路走行を想定して、サイドウォールを強化してパンクしにくくしたうえに、万一パンクしても、最大積載状態で最高80km/h、最大150km走行できるというのは実に頼もしい。
人里離れた山のなか、コンパクトカーならいざしらず、でかくて見るからに重いSUVのタイヤを自分ひとりで交換するなんて、想像しただけでもゾッとする。そんな悪夢のような状況が回避できるランフラットタイヤは、間違いなくニューX5の重要なセリングポイントであり、これまで地道な努力を続けてきたBMWならではのアドバンテージである。
この他にも、車速と舵角に応じて、車庫入れや低速ではクイックに、高速ではスローなギア比になる「アクティブステアリング」が標準装着となっている。また、オプションではあるが、電子制御スタビライザーの「ダイナミック・ドライブ」に無段階に減衰力を制御する「エレクトロニック・ダンパー・コントロール」を組み合わせた「アダプティブ・ドライブ」が用意されるなど、これまでBMWが培ってきたシャシー技術がニューX5にも惜しみなく投入され、セダンやクーペと同じ“駆けぬける歓び”が受け継がれるのは想像に難くない。
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新たなベンチマークとして
1999年、オンロードのスポーティさを強調して“SAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)”を謳ってSUV市場に打って出たX5。そのコンセプトは多くの人々の心を掴み、北米を中心に58万台のセールスを記録する成功作になった。それは同時に手強いライバルを生み出す結果になり、同じドイツ勢の「ポルシェ・カイエン」「フォルクスワーゲン・トゥアレグ」「アウディQ7」などが、X5に追いつけ追い越せとばかりに攻めたてているのはご存知のとおり。
そんなライバルたちを蹴散らし、プレミアムSUVのベンチマークとして再びこの市場をリードしようというのがこのニューX5なのだ。
新型は、シルエットこそ旧型のイメージを踏襲しているが、キャラクターラインやフェンダーの峰など、エッジの効いたデザインが最新のBMWであることを物語っている。
フロントマスクはバンパーに精悍さが増し、牙を剥きながら猛進する猪のような表情となった。しかも、旧型に比べて全長で195mm、全幅で65mm拡大したボディのおかげで、その存在感は明らかに高まっている。なお、X5のフェンダーにはアンダーミラーが見あたらないが、これは助手席側ミラーに「サイドアンダーモニター」が内蔵されるためだ。
一方の室内は、5シリーズから乗り換えてもまるで違和感がないデザインと高級感漂う仕立ての良さが特徴だ。このクラスだから、本革シートやウッドパネルが標準装着されるのは当然のこと。HDDナビやリヤビューカメラなども備わり、これらをスマートに操作できる“iDrive”がセンターパネルのデザインをすっきりさせているのもBMWならではだ。
室内の装備で忘れるわけにはいかないのが、オプション設定される3列目シート。ふだんはフラットな荷室が、必要なときにふたりぶんのシートに変わり、身長168cmの私でもなんとか座れるので、いざというとき重宝しそうである。(後編へつづく)
(文=生方聡/写真=小林俊樹)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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